天下一品 食いしん坊の記録 河出文庫

小島政二郎【著】

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社
• 発売年月日: 2012/07/06
• JAN: 9784309411651

商品レビュー

2018/05/11

日本の敗戦を、義理人情の敗戦と捉える向きは
商売の世界でとくに顕著だった
それに毒された人々は
あらゆるものを欧米式の合理主義で割り切ろうとした
すなわち、対等の「お客様」ではなく「消費者」を相手にする世界
動物化するなんとやら、消費者とは資本家に消費される存在でもあって
当然、そんなところに心のこもったサービスなどあろうはずがなく
人々は
極端化・奇形化した文化のもと
大量生産品をあてがわれる暮らしに甘んじていた
だからまあ、昔気質の文士としては
昔ながらの義理人情で
合理主義の常識にとらわれないものこそ魅力的と感じてしまうわけだ
それは食べ物にしても同じことである
しかしなにも華美を競ってほしいわけじゃない
大量消費に依存しない、「ふつう」がほしいだけなのだ
…っていう
大量消費社会も高度化した現代じゃ、とうに忘れられた感覚がここにある
作家の小島政二郎は北大路魯山人と親交があり
そちらからの影響もあったようだ
1978年に出版されたもので、「美味しんぼ」の五年前

2012/09/17

平松洋子の解説に惹かれて買った。当時８４歳の著者による食いしん坊の記録。うなぎ、ふぐ、ビフテキ等恐るべき健啖ぶりである。当時の文士の地位？の高さにも驚かされる。

2012/08/01

平松洋子さんの解説から読む。良い店などと言っている場合ではないのだ。「いい家（うち）」こそそそられるのである。元祖食いしん坊の小島政二郎の食べる先で「いい家」がでると待ってましたと拍手したくなる。