ガルガンチュアとパンタグリュエル(5) 第五の書 ちくま文庫

フランソワラブレー【著】, 宮下志朗【訳】

• 販売会社／発売会社: 筑摩書房
• 発売年月日: 2012/05/11
• JAN: 9784480429216

商品レビュー

2023/12/25

これは凄いとしか言いようのない，荒唐無稽かつ超博識な文章である。カタログが延々と続くところなど，テキストの驚異の入り乱れがまたとれる。

また，ルネサンス文学の研究において，だいぶ前の翻訳者の渡辺一夫から，現代の宮下志朗へと継がれていったことも良いことだと思う。

2013/02/20

他の作品に比べて「わたし」がでしゃばりすぎ
パニュルジュ、ジャンら魅力的な登場人物が急に動きをやめて色あせる
著者(ラブレーに在らず)の自己主張の必死さが表に出てる

2012/06/23

　この「第五の書」はラブレー自身の書いたものでないことははっきりしていて、「第４の書」まで読んできた私も、これは読むかどうかちょっと迷った。しかしせっかくなので・・・。
　訳者解説によると、ラブレーの残したわずかな「草稿」（ボツ原稿？）を全然別の人が好きなように編集したもののようだ。１６世紀。当時は著作権の尊重なんてほとんどなかったから、ある本が有名になるとそのまがい物が出回るのはごく普通のことだった。まるで現在の中国みたいなものだ（笑）。
　この「パンタグリュエル」シリーズはもともとナンセンスでスカトロふくんだ文学で、この「第五の書」も文体はそうなっているけど、やはり、本家よりつまらないような気がした。
　まあ、真の才能＝ラブレーと、ただの凡才との違いを味わうためには役立つ本かもしれない。