「菅原伝授手習鑑」精読 歌舞伎と天皇 岩波現代文庫 文芸199

犬丸治【著】

• 販売会社／発売会社: 岩波書店
• 発売年月日: 2012/04/19
• JAN: 9784006021993

商品レビュー

2019/08/02

資料を博捜しており、感心した。八瀬童子から梅王丸、松王丸、桜丸の三ツ子を着想したのではないかと説く。

読んでいて一つ疑問に思ったのは、駕籠丁と舎人は同じなのだろうか？また八瀬の資料も昭和の資料を引用していたりと、やや強引に思えた。

2013/11/21

『菅原伝授手習鑑』を通しで観劇しなくても、丁寧に読み取っていくと、いかなる内容であるか、リアルに伝わってくる。まさに「精読」である。
「歌舞伎と天皇」と副題がついているが、松王丸は八瀬童子をモデルにしたという仮説が、実証的に証明されてスリリングでもある。菅原道真の天神伝説を取り上げ、「聖と俗」の両極を結びつけるのは、天皇制の近代性に陥らないのが素晴らしい。

2013/03/16

　題名の通り，菅原伝授手習鑑の精読本。

　著者が歌舞伎に精通した人らしく，細かい点までその面白味を伝えてくれる。
　「菜種御供」の七笑なんかは実際に見たことあるけど，この本を読んだ後にもう一度見ると，更に面白いと思う。

　明治以降に加えられた改変点は，非常に気に入らないな。現代では江戸版と明治版どちらで演じられているんだろう。

　八瀬童子と松王との類似点に関しては，どうだろうなあという感じ。作られた時代背景を鑑みると，道真を天皇に見立てたというのはあんまり腑に落ちないかなあ。

　この本を読んで，更に自分の仮説を強化出来たので，満足です。