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むかし原発 いま炭鉱 炭都“三池"から日本を掘る
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2012/03/24 |
JAN | 9784120043437 |
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むかし原発 いま炭鉱
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商品レビュー
4.7
4件のお客様レビュー
著者は閉山後の三井三池炭鉱のドキュメンタリー映画を撮った方。撮影の始まりから映画完成までのことをまとめている。 もともとは炭鉱のあった大牟田市からの依頼で映画製作を始めたのだという。 「負の遺産」といわれ、閉山後の今でも関係者のわだかまりや確執が残るという「炭鉱」をテーマにする...
著者は閉山後の三井三池炭鉱のドキュメンタリー映画を撮った方。撮影の始まりから映画完成までのことをまとめている。 もともとは炭鉱のあった大牟田市からの依頼で映画製作を始めたのだという。 「負の遺産」といわれ、閉山後の今でも関係者のわだかまりや確執が残るという「炭鉱」をテーマにするのには大きな葛藤や障害があった。 そんな中で静かに、粘り強く撮影を後押しした市担当者たちの情熱にはすごいものがある。 関係者・当事者たちのしがらみもある中、「炭鉱は決して『負の歴史』というだけではない」ということを理解してもらえるのか、「当時のそれぞれの立場を超えて語り、残していく」ということの意義を受け入れてもらえるのか。 市で暮らし、市民の生活に密着している市職員という立場では、他所から来たもの(著者やカメラマンたち)とは違った葛藤があったことと思う。 だからこそ、他所から来たものたちとタッグを組んだ意味も大きかったと思う。「内側からだけでは引き出せなかったものが引き出せた」というところもあったのではないか。 著者自身も、完成し、試写会を終えた後でも「あれでよかったのか」と思い悩む日々が続いたという。それだけ真剣に、正面からこのテーマに向き合ったのだろう。
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原発事故や原子力ムラは、原発という特殊な産業で生まれたものではなかった。2004年(平成16年)にようやく決着(原告勝訴)した筑豊じん肺訴訟は、国に対し「石炭政策を推し進め、炭鉱企業と共同し、劣悪な粉じん職場を作り出し、かつ国としてじん肺防止のための対策をとらなかった責任」を問い...
原発事故や原子力ムラは、原発という特殊な産業で生まれたものではなかった。2004年(平成16年)にようやく決着(原告勝訴)した筑豊じん肺訴訟は、国に対し「石炭政策を推し進め、炭鉱企業と共同し、劣悪な粉じん職場を作り出し、かつ国としてじん肺防止のための対策をとらなかった責任」を問いかけた。この時点で「国」を代表していたのこそ、あの「原子力安全・保安院」である。 現時点では、「原子力政策を推し進め、電力企業と共同し、劣悪な放射能職場を作り出し、かつ国として被曝防止のための対策をとらなかった責任」は認めていないが。 本書を読むまで、炭鉱というのは前近代の話であり、いまの原発と結びつけたタイトルは、興味を引くためのつりだと思っていた。だが、本書で丹念に掘り返されていく三井三池炭鉱をめぐるエネルギー産業の裏歴史は、そのまま現在の原子力産業に引き継がれている。「人命や健康や安全よりも経済を優先し、原因究明も進まず、修復もできないうちから原子力発電をはやく再開し、輸出までしようとする人々の姿も。産学協同の悪い構図が、近代国家となった明治以降150年間、なにも変わっていないではないか、と思った。」(P.404) まさに、そのことが本書を通じて浮かび上がってくる。 さらに、本書は強制的に連れてこられた朝鮮人、中国人および戦争捕虜、さらには与論島からの移住者まで対象となった奴隷のような労働までえぐりだしている。誰かの想像で作り出された従軍慰安婦問題など問題にならないほど強烈で劣悪な環境での労働を強いられた人々。しかし、それもエネルギー政策の裏歴史として葬られ、人々の知るところとはならない。 本書は、国の原子力政策の背景等に興味のある方なら、ぜひ読むべきだと思う。
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炭坑節はあっても原発節はない、原発には文化がないのだ、という言葉に引き込まれるのですが、ではその炭鉱の現実は。三池百年の計といわれながら、エネルギー政策が原子力に切り替えられて、見捨てられていく。労使紛争やCO事故、じん肺訴訟。 地元には「負の遺産」と吐き捨てる人もいた、三池炭鉱...
炭坑節はあっても原発節はない、原発には文化がないのだ、という言葉に引き込まれるのですが、ではその炭鉱の現実は。三池百年の計といわれながら、エネルギー政策が原子力に切り替えられて、見捨てられていく。労使紛争やCO事故、じん肺訴訟。 地元には「負の遺産」と吐き捨てる人もいた、三池炭鉱のドキュメント映画制作の背景をところどころ原発と重ね合わせる。国の政策、企業の都合。ハードな本です。
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