商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 医学書院 |
発売年月日 | 2012/03/09 |
JAN | 9784260015493 |
- 書籍
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驚きの介護民俗学
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驚きの介護民俗学
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商品レビュー
4.4
59件のお客様レビュー
本書で作者の六車さんが提唱する「介護民族学」は介護者の知的好奇心を原動力にし、多種多様な利用者の人生を教えていただくものです。教えていただくことで知らなかった過去の人々の生活や人生訓を介護者は学べ、利用者も教える側という優位な立場を得ることで尊厳を守れるというもの。 回想法のよう...
本書で作者の六車さんが提唱する「介護民族学」は介護者の知的好奇心を原動力にし、多種多様な利用者の人生を教えていただくものです。教えていただくことで知らなかった過去の人々の生活や人生訓を介護者は学べ、利用者も教える側という優位な立場を得ることで尊厳を守れるというもの。 回想法のようにテーマに沿わなければいけないとするものよりは、その場の流れで話が進むほうが利用者としても楽しめるのも魅力的に感じました。 本書を読んで多種多様なその人の人生を見出し、その人の活力に繋げることを考えるとたしかに回想法よりも有意義に感じました。その一方で、介護士の人手不足などを考えるとやはり難しいのではという思いは拭い去ることができませんでした。 ただ、具体例のなかで語られる人生の先輩方の話はどれも面白く「驚き」に満ちていました。自分も介護士となりたいと思ったときに、こんな風に歴史を紐解くような人になりたいと思ったことを思い出せたことで方向性を少し見出だせたように思えます。 本書はその人のことをもっと知りたいと思う介護士に新しい方法論を示してくれました。このなかで語られる六車さんの活動はとても魅力的で、それを実践するにはどうすれば良いかを考える機会となりました。
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大学で民俗学を研究していた著者が縁あって老人ホームで介護職員として働き始めた。介護の過程でこれまでの経験を活かし「聞き書き」の手法で利用者の人生の来し方を聞く。 認知症を患い意思疎通が困難とされていた高齢者は記憶が蘇り、聞き手である著者は忘れ去られそうな時代背景、風俗・習慣を驚き...
大学で民俗学を研究していた著者が縁あって老人ホームで介護職員として働き始めた。介護の過程でこれまでの経験を活かし「聞き書き」の手法で利用者の人生の来し方を聞く。 認知症を患い意思疎通が困難とされていた高齢者は記憶が蘇り、聞き手である著者は忘れ去られそうな時代背景、風俗・習慣を驚きを持って知ることができる。利用者の行動がその人の生活史を知る手掛かりとなることもある。 もともと、介護現場には話を傾聴することで利用者の心の安定や支えにしようという「回想法」があった。だが、著者にとっては、それはあくまで予定調和を繰り返す「技法」に過ぎない。そこには、知識や技法で利用者の行動変化を「促す側」にある介護職員が「促される側」の利用者に対し優位に立つという非対称的な関係が生じる。 著者が行う民俗学上の手法「聞き書き」では、聞き手は話者と対等の関係に身をおき、「教えを受ける」という意味では「回想法」上の関係と逆転することもあり得るとも説く。 この手法は、利用者の心や状態の変化を目的とせず、利用者を師として社会や時代、そこに生きてきた人間の暮らしを知るという学問的好奇心と探究心に基づくもので、結果的にターミナル期を迎えた高齢者の生活をより豊かにするのではと語る。 また、著者は、民俗学を学ぶ学生の進路の一つに介護現場を勧めたい反面、職場環境の過酷さ、疲弊感、社会的評価の低さという現実の壁を感じている。 読み終えて、問いかけたいと思ったのは、著者が介護士など現場の福祉職との間で解離感に苛まれていないのかということ。人手不足で多忙かつストレスのたまりやすい介護現場に従事する通常の福祉職員は正直、著者をどう見ているのだろう。介護と民俗学の融和という取り合わせに非常に興味を感じながらも高尚な学問的アプローチをベテラン福祉職員がどう感じているのか、現場がプラスの方に向かっているのかを知りたい。
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介護と民俗学って、なるほど相性がいい。どんな人もその生涯はやはり本になるような紆余曲折があり、その人生の厚みを、民俗学の聞き書きのスキルを使って残していくって凄くいい。リハビリ介助の上手い下手だけでなく、聞き手と語り手という関係性で育む場を持てるかどうかというのも、高齢者の人生に...
介護と民俗学って、なるほど相性がいい。どんな人もその生涯はやはり本になるような紆余曲折があり、その人生の厚みを、民俗学の聞き書きのスキルを使って残していくって凄くいい。リハビリ介助の上手い下手だけでなく、聞き手と語り手という関係性で育む場を持てるかどうかというのも、高齢者の人生にはよほど大きな影響があり、介護者のプレゼンスにもなっていくと思う。が、現実問題として、ケアワーク自体が劣位の立場になってるのがほんと悩ましい。介護だけでなく保育でもそうだし、それはしいては、女性を戦後日本がどう扱ってきたかというのにも繋がってるんだろうなぁ。 介護民俗学を当たり前のこととして普及できるかどうかも、ケアワークの地位向上にかかっている。これが書かれたのは今から10年以上前だが、その時と比べて悲しいかな現場は改善しているとは思えないが、著者が最後に書いた(物理的&精神的)介護準備はアラフォーの私にとっても今から取り組むべき概念と思える。終わりを意識することは、よりよい生を生きることに繋がる。そんなことを考えさせられた本でした。
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