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源氏物語の結婚 平安朝の婚姻制度と恋愛譚 中公新書
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源氏物語の結婚 平安朝の婚姻制度と恋愛譚 中公新書

工藤重矩【著】

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源氏物語の結婚 平安朝の婚姻制度と恋愛譚 中公新書

924

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2012/03/24
JAN 9784121021564

源氏物語の結婚

¥924

商品レビュー

4.4

21件のお客様レビュー

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2025/12/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

感想を一言で言うと、紫式部すっげえな!!に尽きる、が、もう少し書いてみる。 最初の1章はくどいくらい正妻と妾の違いについて繰り返し繰り返し述べられており、早く本題に入ってくれ!このままでは源氏物語に辿り着けずに挫折しそうだと思ったが、2章目からは面白くて面白くて仕方がなかった。 この本を全編通して読んでみて、『源氏物語』では紫式部が最後の最後までずっと、執拗なくらい「身の程」にこだわり続けていたことに、(『源氏物語』は原文も何度も読んでいたにもかかわらず)新鮮な驚きを感じた。 そしてだからこそ生まれる(当時の人にとっても違和感がないくらいの)リアリティは、やはり自身が身の程をわきまえざるを得ない階級出身で、自分も妾の立場で会ったからなのだろうか、とやはり考えてしまう(勿論『源氏物語』の全編を全て紫式部1人が書いたという説をとればの話だが)。 また、紫式部が規定の展開(これだって複数ある)から逆算して構想を練るだけでなく、無理のない展開にするための工夫や、本筋とは異なるサイドストーリーを自然に入れる(そしてこちらも読み応えがある)手腕は天晴と言うしかない。 そのほか、『源氏物語』は敬語が多くて難しいとよく言われるが、誰が誰にどんな敬語を使うかで見えてくる世界があるということも再確認した。 下克上など(基本的には)ありえない、絶対的で不可逆な身分制度、上下関係のある、敬語ありきの世界だからこそ、女三宮に“きちんと”へりくだった敬語を使う紫の上を、私は見ていられない。 そういう点で当時の読者と感覚を同じくすることができた気がして読んで良かったと思う。『源氏物語』好きの友人全員に勧めて回りたい。

Posted by ブクログ

2024/06/15

著者の工藤氏は国文学者。平安時代の婚姻制度を法的側面で検証したうえで、源氏物語の構造と男女関係における人物設定のされかたを述べる。これがとてもおもしろかった。目からうろこの感。 なにせ源氏物語は「あさきゆめみし」を20年位前に読んだだけなので、光源氏が満たされない愛を求める愛の...

著者の工藤氏は国文学者。平安時代の婚姻制度を法的側面で検証したうえで、源氏物語の構造と男女関係における人物設定のされかたを述べる。これがとてもおもしろかった。目からうろこの感。 なにせ源氏物語は「あさきゆめみし」を20年位前に読んだだけなので、光源氏が満たされない愛を求める愛の遍歴物語、という認識でいた。ところが、律令的には平安時代は一夫一妻制であり、正妻とそれ以外の女性とでは大きな格差があった。紫式部もそのことを踏まえ筋を構築しており、「正妻の座」をめぐる葛藤が物語展開の主軸になっているという。 まず工藤氏は、平安時代の婚姻の法的側面を検証する。 従来、平安時代の婚姻は妻問い婚で一夫多妻制といわれてきたが、平安時代の婚姻制度は養老律令にのっとっており、それによれば一夫一妻多妾制と言え、男が他の多くの女性のもとに通っていたとしてもそれは非法的な関係で、愛情のみの関係。結婚すれは基本は夫は正妻の家に住み、それ以外の女性はひたすら夫の訪れを待つ。そして正妻とそれ以外、また子供も正妻の子と、それ以外の庶子とでは昇進などで大きな差があった。事実道長の子たちは正妻倫子と妾明子の子とでは明らかに差がある。 また、愛情を和歌のやりとりで行うが、それは正妻とはしない。また婚姻は自身が幼いうちから親が決めることが多く、大人になってこれはと思う人が現れる頃にはすでに正妻がいる。ゆえに愛の和歌は、法的に許されない関係の者で行うことになり、多くの文学作品で描かれているのは正妻以外との愛情関係である。 前半は婚姻制度の法的検証、後半はそれにもとづいた源氏物語のストーリー検証。紫の上についていえば、恋愛物語としての「源氏物語」は、正妻葵の上の死後、再婚候補者は何人か出現するが、誰とも正式な再婚をしようとしない源氏の愛に守られて、親の庇護もなく、正妻でもなく、子も産まなかった紫の上が、ついには正妻に等しい社会的待遇と幸福とをつかむに至る物語(藤裏葉巻まで)として構想された。 ところが、好評のゆえか、第二部(若菜上巻~幻巻)が構想され、光源氏は女三宮と再婚し、女三宮が正妻となった。この事態に紫の上はこれまで自分の立場を誤解していたと思い知らされ、病になるほど傷つくが、正妻女三宮は柏木との密通により出家して、紫の上は再び源氏のただ一人の連れ合い・パートナーの地位を回復し、この世を去る。 婚姻の側面から見れば、紫の上を正妻と設定しないことによって「源氏物語」は紫の上と源氏との愛の物語になり得ている。恋愛物語としての「源氏物語」は「妻(嫡妻・正妻)」の座がストーリー展開の要になっている。紫の上は源氏の連れ合いとしてどのような立場であったのか、紫式部は、紫の上の立場をどのように設定して、この物語を構想したか、それが「源氏物語」理解の要点であり、それによってはじめて紫の上をはじめ「源氏物語」の女性たちの悲しみ苦しみを、紫式部の時代に即して深く読むことができる。 著者は「平安朝の結婚制度と文学」風間書房1994年で、一夫一妻制度からみた平安文学の男女関係を扱い、本書はこの本を踏まえて書かれている。 ・婚姻制度史 著者が上記の本を出版した当時、平安時代の婚姻制度は妻問婚の一夫多妻制、という趨勢だったが、研究面において「妻」「正妻」の定義が統一されいない。高群逸枝は母系制の立場により、平安時代を群婚の名残のある一夫多妻制の時代と定義し、文学研究、法制史研究でもお互いが疑問点をはっきりさせなかった。 ※母系制:現在は世界的に双系制説が通説となっており、我が国に関しても双系制、あるいは父系を中心とする双系制といわれる。 工藤重矩:1946生まれ。九州大学大学院文学研究科博士課程。博士。福岡教育大学名誉教授 2012.3.25発行 図書館

Posted by ブクログ

2024/03/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日本の平安時代の婚姻制度が「一夫多妻制」ではなく「一夫一妻制」であることを源氏物語を題材として示した本。古代の婚姻関係の内容が主ではあるが、源氏物語の第1部と第2部の詳解もなされているので、他の源氏物語解説本無しでも読める。それと「紫の上は妾であるにも関わらず、嫡妻に近い立場を(紆余曲折を経つつも)如何にして保てたか」を描くのも本書の目的。 源氏物語の舞台は平安時代中期つまり古代。本書はそのころの婚姻に関する社会常識や律令などを引いて、一夫多妻制としたときの矛盾点(主に嫡妻と妾の格差)を明らかにしている。よって当時も一夫一妻制(で妾を許す一夫一妻多妾)であったことが納得できる。光源氏の振る舞いの特殊性(嫡妻葵の上の家にあまり住んでいないことなど)が一夫多妻制と解釈してしまう要因かと。 そしてまた、光源氏の嫡妻二人(葵の上と女三の宮)や明石の君などの存在が紫の上の立場にどのように影響したか、についても時間推移を追って分かりやすく解説している。 ただし源氏物語の解説部分で「著者紫式部の意向・筋立てにより、この登場人物が現れてこのような行動をしている」との意味合いの記載が多くて(紫式部は実際そのように書いてるのだろうけど)少しうるさく感じる。源氏物語の全体構想は当初から出来ていたとの話についても同様。 また夕霧と妻たち(雲居の雁と落葉の宮)との関係については触れておらず、更に第三部の解説は全く無いので少し物足りない面もある。 とはいえ、平安時代が一夫一妻制だとの説得力は十分な本だと思われる。また源氏物語の解説本としても優れている。今年は大河ドラマ「光る君へ」の年でもあるので、一読をお勧めしたい。

Posted by ブクログ