商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 祥伝社 |
発売年月日 | 2012/03/02 |
JAN | 9784396112691 |
- 書籍
- 新書
放射性廃棄物の憂鬱
商品が入荷した店舗:店
店頭で購入可能な商品の入荷情報となります
ご来店の際には売り切れの場合もございます
お客様宅への発送や電話でのお取り置き・お取り寄せは行っておりません
放射性廃棄物の憂鬱
¥858
在庫なし
商品レビュー
5
3件のお客様レビュー
著者は、1968年生まれ。動力炉・核燃料開発事業団(現在、日本原子力研究開発機構)において、高レベル放射性廃棄物の処理に関する研究開発している。廃棄物は、三種類ある。一般廃棄物、産業廃棄物、放射性廃棄物。一番面倒なのが、放射線廃棄物なのである。ゴミの中でも存在があり、ゴミの王様...
著者は、1968年生まれ。動力炉・核燃料開発事業団(現在、日本原子力研究開発機構)において、高レベル放射性廃棄物の処理に関する研究開発している。廃棄物は、三種類ある。一般廃棄物、産業廃棄物、放射性廃棄物。一番面倒なのが、放射線廃棄物なのである。ゴミの中でも存在があり、ゴミの王様なのだ。粗末に扱っちゃいけない。太陽の火は、簡単に消えてなくならない。 原発を反対する理由に、「トイレなきマンション」という言葉がある。小泉純一郎元首相のいう脱原発の理由がその言葉である。まぁ。題名に「憂鬱」と書いてあるが、著者の本音なんだろうね。 読みながら、姥捨山とか、象の墓場を思い出した。生き物や人間は微生物が解体してくれ、土に戻る。放射性廃棄物は、土に戻るには、10万年かかる。この10万年もなぜかかるというところは、あくまでも仮説なんでしょうね。それくらいの覚悟をせよということだけど、放射性廃棄物の処理の解決もできていないにも関わらず、原発を始めてしまったというのが、人間の愚かなところなんだろうね。世界中で、原発が動いているのだから、いかに人間は目の前のことしか考えないという象徴的な存在かもしれない。 核燃料の特徴は、核分裂を始めたら、どうにも止まらないのである。エネルギーを効率的に取れる時期だけ利用して、使用済みにしたにも関わらず、いまだに核分裂し続け、発熱しているのだ。 高レベル放射性廃棄物の先進国がフィンランドだ。意識高い系の国ということか。建築家アアルトやサウナとムーミンをうみ、ノキアもある。シュールストレミングという塩漬けのニシンの缶詰で その強烈な臭いから「世界一臭い食べ物」がある。私はこの缶詰を手に入れたが、開ける勇気もなく、どう処理していい解らないものだ。フィンランドは、そんな臭い食べ物を日常的に扱っているので、高レベル放射性廃棄物の処理なんて、お茶のこサイサイなのだ。フィンランドのオルキルオト島に、2004年から、最終処分場(オンカロ)として開発されている。地下400~450メートルに深く埋蔵するいわゆる地層処分をしている。フィンランドには5基の原発がある。その5つの原発の放射性廃棄物を埋めるのだ。フィンランドは、国民の意識が高く、そのうえ政府への信頼も厚い。国民の合意で進められている。ところが、日本では、そう簡単に行かない。福島の原発メルトダウンのように、政府や学者の言うことは、原発の絶対安全を言い続け、信用できない。まずは、著者の憂鬱は、政治不信も横たわっている。また地層処分のことがあまり知られていないことににも失望している。 日本では、2020年から北海道の寿都町で国内初の文献調査が始まった。2021年10月には、推進してきた片岡春雄町長が6期の当選をした。文献調査が終われば、概要調査、精密調査、建設すると言う段取りだ。 液体化した状態では、漏れたりするし、地上ではいろんな出来事がある。また放射性廃棄物を海洋投棄することは国際条約で禁止されている。そのため、ガラスで固化して、それを1000年もつ金属容器に入れて、緩衝材などを使って地中深くに埋め込むのだ。そして、10万年かかって、沈静化する。果たして、その金属容器は10万年も持つだろうかと言う著者の憂鬱がある。 たとえ、現在原発を停止したとしても、これまでの放射線廃棄物、そして廃炉した時の放射線廃棄物は、現在あるのだ。2012年段階で、ガラス固化体は、1700本ほど、もしガラス固化体にすると24000本あるのだ。1本が500kgなので、12000トンある。いやはや、大変な量だ。これに廃炉した放射性廃棄物がある。この憂鬱は、止めることのできない憂鬱である。原発を継続すれば、その憂鬱はさらに続くだろう。放射性物質から放射能を消滅させて安定な物質に変える技術が必要だ。原子力発電に向き合うとは、そういうことなのだ。 #放射性廃棄物 #地層処分 #楠戸香緒里
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2012年刊。◆著者は動燃(現日本原子力開発研究機構)の元研究員で、高レベル放射性廃棄物を封入し地層処分する金属容器開発と地層処分の自然類似現象とを研究。その著者の手による➀放射性廃棄物のレベル間相違、②それらの地層処分の意義、③日本を含む世界各国の処分方針、過去の経緯と現状、④将来(遠い将来も含む)における開発技術の概観を解説。◆問題は中高レベル放射性廃棄物の処理。確かに知るべき情報だが、"冗談"を大真面目に議論、の感が払拭できず。◆以下備忘録。➀国内の従前の使用済み核燃料の再処理化→ガラス固化体化。 約24000本のガラス固化体に相当。何もしなければ、向後、1300~1600本/年の割で増加。②ⅰ)ウラン廃棄物・発電所廃棄物の内、比較的低レベルの放射性廃棄物は浅地中ピット処分、管理期間3百~4百年(関ヶ原合戦~現代)。ⅱ)高レベル放射性廃棄物は余裕深度処分(~百m)で、管理期間数百年、安全評価一万年(後者し考古学的スパン。縄文時代早期?、ピラミッド建設より前)、ⅲ)極高レベル放射性廃棄物は地層処分(三百m強の深度に人工バリアを設置)、十万年以上隔離(ホモ・サピエンス誕生~現代。地質学年代スパン)。 ③天然ウラン鉱床の形成過程の解説あり。④反対派が少ない、あるいは声を挙げない反対派の多い地域に処分施設が設けられる世界的傾向。⑤施設導入の地方自治体への高額補助金は電力料金に跳ね返っている。一方、条例で反対を既に決めている自治体から、首長が誘致に積極的な自治体まで多様。⑥いわゆる再生可能発電の問題として、太陽光発電は、地震・落下物によるパネルの破損によるゴミ化・火災要因、さらにパネルによる反射光公害(光と熱の収斂)。⑦活断層のない所が処理施設候補地。日本にあるの?。
Posted by
放射性廃棄物が無害となるまで10万年かかる。地中深く埋めるとはいえ、10万年も隔離し続けるなんて、100年も生きられない人間に可能か?原発ヤバいな。
Posted by