商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2011/09/29 |
JAN | 9784102451144 |
- 書籍
- 文庫
幻影の書
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幻影の書
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商品レビュー
4.2
55件のお客様レビュー
理不尽とも独りよがりとも思える作品だけど自分の中でオースターの中で好きな作品上位に入るな。 小説を読む時に各章の切れ目を意識することはあまりなく、区切りがいいから続きは明日読もうくらいのものだったけれども本作は各章の区切りをとても意識しながら読むこととなりました。 そして、先...
理不尽とも独りよがりとも思える作品だけど自分の中でオースターの中で好きな作品上位に入るな。 小説を読む時に各章の切れ目を意識することはあまりなく、区切りがいいから続きは明日読もうくらいのものだったけれども本作は各章の区切りをとても意識しながら読むこととなりました。 そして、先日うっかり海外小説の翻訳は忠実に訳さなくてもいいしなんなら勝手に日本語付け足してるみたいなことを言ってる訳者の人を見つけてしまったのだけれども、柴田元幸さんに謝れと思ったよね。
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あの本、読みました?という番組で鈴木保奈美と九段理江がこの『幻影の書』について「すごくいいですよね~」的なことを言っていて気になって購入した。この作者の作品はこれが初めてになります。 語り手であるジンマーの思考とか物事の描写がとても細かく、ジンマーからずっとこの語りを聞いているよ...
あの本、読みました?という番組で鈴木保奈美と九段理江がこの『幻影の書』について「すごくいいですよね~」的なことを言っていて気になって購入した。この作者の作品はこれが初めてになります。 語り手であるジンマーの思考とか物事の描写がとても細かく、ジンマーからずっとこの語りを聞いているような気分だった。小説内で登場する『マーティン・フロストの内なる生』という映画は、え?これ一つだけでも面白い小説(映画)一本になるのでは?というものだった。と思って最後解説読んだら現実世界でちゃんと映画化されたというのだから凄い。
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否応なく連想するのはビクトル・エリセの映画「瞳をとじて」。あちらは映画についての映画、こちらは映画についての小説。オースターの映画への視点は、キャラクターに対するそれと同じく微細で、映画が映像をもって語るものを文章で表現してみせている。 家族を失い、喪失を埋め合わせるように仕事に...
否応なく連想するのはビクトル・エリセの映画「瞳をとじて」。あちらは映画についての映画、こちらは映画についての小説。オースターの映画への視点は、キャラクターに対するそれと同じく微細で、映画が映像をもって語るものを文章で表現してみせている。 家族を失い、喪失を埋め合わせるように仕事にのめり込む。それが終わってしまうと、次は焦燥に駆られるが誰かれ構わず傷つけるわけではなく、女にだけ怒りを向ける。女を罵倒し論理をぶつけて支配してそれに飲まれる、そんな弱さの埋め方が生々しくてしんどい。前に読んだムーンパレスも傷心男が女を罵倒して癒そうとするシーンが出てきたのだが、オースター流の傷ついた男の表象なのだろうか。ある時代に定着した観念で、今読むと古いノスタルジックな男の描き方に思える。古いんだから当たり前だが。 理不尽な悲劇から再起する物語ではあるが、そこよりも悲劇から逃げ自罰のために多くの人の人生まで巻き込んだ男の悲劇の果てがあまりに壮絶で、その姿が強く印象に残る。逆に主人公の復活はあんまり思うところが浮かばなかった。
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