![アラブ革命はなぜ起きたか デモグラフィーとデモクラシー](https://content.bookoff.co.jp/goodsimages/LL/001671/0016710525LL.jpg)
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 藤原書店 |
発売年月日 | 2011/09/20 |
JAN | 9784894348202 |
- 書籍
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アラブ革命はなぜ起きたか
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アラブ革命はなぜ起きたか
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商品レビュー
3.6
17件のお客様レビュー
本書は、ネット放送局で行われたアラブの春に関するトッドへのインタビューを文字に起こしたものである。原題は『アッラーは関係ない』ということで、まぁすごいタイトル。内容は、相変わらずのトッド節だが、それでもインタビュアーのツッコミの鋭さや、そのやりとりの砕けた感などから、読みやすかっ...
本書は、ネット放送局で行われたアラブの春に関するトッドへのインタビューを文字に起こしたものである。原題は『アッラーは関係ない』ということで、まぁすごいタイトル。内容は、相変わらずのトッド節だが、それでもインタビュアーのツッコミの鋭さや、そのやりとりの砕けた感などから、読みやすかったり、ちょっとインフォーマルな冒険的発言などあったりして、おもしろい。 識字率の上昇、出生率の低下といった歴史的展開、すなわち近代化の波は、アラブ世界にも寄せており、おおざっぱに言えば、かつてヨーロッパが経験した道を(ずっと早く、ずっとうまく?)辿るだろうと言う。ヨーロッパに比べてまだまだ若者の多い、アラブ世界でも、とりわけチュニジアなどでは出生率の低下が起きていること、エジプトで内婚率が低下していることなど興味深い。 また、イラン革命は今のアラブの春の先発だとか、イスラーム全体とキリスト教と比較するようなナイーブな論に対してはそれよりもシーア派とスンナ派の区別が重要だとか、ちょっとギョッとするような視点も彼らしい。ただ、普遍主義と差異主義、つまり、左と右の対立では、彼は普遍主義を擁護して、ドイツ(とかブッシュ Jr. )をこけおろすところは、よい左と悪い右を対比しているようで、いささかどうかとは思う。けど、それは彼の価値への自由なのだろう。なお、誰もいないところで赤信号を待つのは、そりゃ権威主義的イデオロギーの発露なのよとかはっきり言われると、ちょっとへこむというか……、いや希望なのかな。 訳者による小論「トッド人類学入門」は、さすがに何度も解説を重ねてきた訳者によるもので、大変コンパクトにしかも分かりやすくまとまっていて、トッドについて知るには最も優れた小論だろう。トッドを読むのが初めてならばこの小論を先に読むとよい。さらに言えば、この小論があるから、アラブの春などのアクチュアルな問題をテーマにしている本書は、最初に読むトッドの一冊としても、優れていると思う。
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「今日の世界は、経済という強迫観念に取り憑かれた世界で、経済がすべてを為すと考える、裏返しのマルクス主義者たちの世界です(私が念頭に置くのは、ネオ・リベラリストたちのことで、彼らは基本的に裏返しのマルクス主義者であって、しかもマルクス主義者より頭が良いわけではありません)。」(p...
「今日の世界は、経済という強迫観念に取り憑かれた世界で、経済がすべてを為すと考える、裏返しのマルクス主義者たちの世界です(私が念頭に置くのは、ネオ・リベラリストたちのことで、彼らは基本的に裏返しのマルクス主義者であって、しかもマルクス主義者より頭が良いわけではありません)。」(p29)と語るエマニュエル・トッドが、人口統計学(デモグラフィー)のデータを基にイスラム世界の分析を行ったのが「文明の接近」。 本書は、同書の内容をめぐって制作されたテレビ・インタビュー番組を基にした対談本。 対談本だから読みやすい。字もあまり多くない。巻末にトッドに理論的基盤となる家族類型の要約もあり、トッドを知るための格好の入門書となっている。 それでも2,100円は高いので、本屋で立ち読みするか、図書館で借りて読むことをオススメ。 トッドの説を強引に要約すれば、女性の識字率が50%を超えると出生率の低下が起こり、それとともに社会の近代化が進む。それはキリスト教やイスラム教などの宗教の如何や、経済状況などとは関係なく進む。それを過去の歴史や世界各国の人口統計から示してみせる。 イスラム世界で今起こっていることは、イギリス革命、フランス革命、ロシア革命と同様のパラメーターの基で、起こるべくして起こった事象であり、西欧諸国が動乱から安定した社会に落ち着くまで数十年以上を要したように、今後イスラムでもさまざまな混乱や逸脱、宗教的専制や女性に対する厳しい抑圧のような近代化に逆行する現象が見られようとも、人口統計学的が示すところでは、避けがたく近代化の道を歩んでいる。 また同じ民主主義国家でも、フランス、イギリス、ドイツ、アメリカ、日本では、それぞれ異なった姿を取っているが、その違いは、基本的にその地域特有の家族類例が規定している。 一見すると唐突な感じがするトッドの理論は、不思議な説得力を持っており、アメリカ風の世界観に染まった頭をクリアにしてくれる。 それがトッドの魅力だ。
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2020/03/12:読了 対談が、断片的な情報のつながりで、読みにくいが、内容は「なるほど」と思えるものだった。 出生率・識字率などからみた、社会の変容。 それは西欧がイギリス・フランスの革命の時に、発生していた社会的な変化であり、その変化により、民主化が起きたと言うこと。 それと同じ事が、イスラーム社会で発生し、ロシアも中国も同じ道をたどっている。イランのイスラム革命は、過去に戻る確定でなく、出生率が下がり識字率があがっていた中で、必然的に起こったこと。その後の、西欧の圧迫がなければ、もしかすれば、さらに進んだ社会になっていた可能性がある。
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