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放射能汚染ほんとうの影響を考える フクシマとチェルノブイリから何を学ぶか DOJIN選書
2,090円
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 化学同人 |
発売年月日 | 2011/08/01 |
JAN | 9784759813401 |
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放射能汚染ほんとうの影響を考える
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放射能汚染ほんとうの影響を考える
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商品レビュー
3.7
7件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
報告書や論文を読む限り、チェルノブイリ原発事故が旧ソ連にもたらしたものは、政府に対する不信感や慢性的なストレスであり、25年経った今も、多くの人びとが苦しめられている。
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広島県立図書館には東日本大震災のコーナーがある。期間限定だったはずが延長され、いまだ書籍が増え続けている。震災の記録とともに、放射能やエネルギーに関する本も充実しておりその姿勢には頭が下がる。図書館という限られたスペース、無尽蔵に本を増やせるわけではない。この本も、そこで手に取っ...
広島県立図書館には東日本大震災のコーナーがある。期間限定だったはずが延長され、いまだ書籍が増え続けている。震災の記録とともに、放射能やエネルギーに関する本も充実しておりその姿勢には頭が下がる。図書館という限られたスペース、無尽蔵に本を増やせるわけではない。この本も、そこで手に取った一冊。 長いこと、震災関連の記録には目を通せなかった。福島原発の報告書やいわきの地震・津波の写真記録本も入手はしてあるものの、開いていない。当時の写真を見れば涙が出てくるばかりで、時系列を追ったレポを読むとあの時期が鮮明に思い出されて息苦しくなり頭が痛くなる。今もあまり変わらない。それは、この未曾有の大災害を個人的な経験としてしか捉え切れていないからなのだと思う。ちゃんと向き合えていなかった。 最近は少しずつそうした本を読み始めている。人間と心・感情は切り離すことはできないけれど、知識がいかに大切かということもこの災害をとおして身に沁みて分かったから。 この本は小児科の先生が書かれているので、母親・子どもの立場に立った見解が多い。専門的な記述も多く一部難解だけれど、参考になる部分はたくさんあった。主に福島とチェルノブイリのデータとの比較。表やグラフが多く科学的に冷静な分析がなされている。しかしチェルノブイリはまだ25年分のデータしかないので、それ以上の予測となる部分には広島・長崎の例もしばしば登場する。 ○ リスクコミュニケーションの記述には大きくうなずいた。例えば基準値を引き上げるなら、科学的根拠を分かりやすく示す必要がある。原発事故のような目に見えない恐怖ならなおさら、誠実な態度を貫かねばパニックを引き起こすだけ。そういう意味で日本はリーダー不在だった。ジュリアーニ市長やケネディ大統領のリーダー手法が後半に詳しく紹介されている。 ○ 放射能が引き起こす(土地を離れること等を含む)ストレス問題。チェルノブイリでも、これが後々まで最大の問題となっている。母親の不安症と、子どもの情緒障害との間には明らかな相関がみとめられている。 ○ 不安をとりのぞくには、母親が自ら放射能をコントロールできていると自信を持つことが大切、とは著者個人の経験から。奥様はガイガーカウンターを手に、あらゆるものを測定して生活なさっているそうで、それが安定につながっていると。「そこまでしなくても…」と突き放してはいけない。そうすると母は孤立してしまう。不安をしっかり受け止めてあげるのが大事。 ↑ この部分はとても胸に突き刺さった。なんとか不安をおさめられればと自分がいろんな人にとった態度は、実はまったくの逆効果だったんじゃないかと思う。遅くなったけれど気づけてよかった。故郷の農家等の人々を思うと複雑な気持ちもあるのだけれど。 この本は事故後1カ月ほどで執筆されている。1年半以上が過ぎて、近頃はデータも増えてきて様々な分析がされている。子どもを持つ母親は10年以上も不安を抱え続けて過ごしたというチェルノブイリの記録もある。子どもがいないあなたには分からない、と言われると返す言葉がないけれど、少しでも理解したいと思い続けている。 放射能、という言葉が先走りして生活習慣に悪影響が出るのを、実際自分も経験し目の当たりにしてもきた。チェルノブイリでは、放射能の直接的影響よりもこの精神的悪影響が甚大だったと言われているが、家族や知人が福島にいる身としてもそのとおりだろうなと感じる。不安につけこんだ詐欺まがいの商売も横行している。 まったく同じではないとはいえ先例があるのだから、学べるところは学んでいかなければと思う。正解がない部分が多く難しくはあるけれど、「知識は困難に立ち向かう武器となる」という著者の言葉に共感する。
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本書は党派性を持たず、真摯に放射能汚染について科学的な吟味がなされており、かなり好感が持てる。前掲書のアジるスタイルに比べるとかなり誠実だ。もちろん、原発推進や過度な安全論とは何の関係もない話だ。もし一冊読むならこれがおすすめである。
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