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離脱の寓話 叢書・ウニベルシタス152
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 法政大学出版局 |
| 発売年月日 | 1985/03/01 |
| JAN | 9784588001529 |
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離脱の寓話
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離脱の寓話
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殺さなければ殺される。王はつねに前の王を殺すことで王権を手にし、彼は自分が殺されるまで王の座に居続けることができる。逆に自分こそが王たらんとする者は、彼を殺さなくてはならない。そして自分が王であり続けるために、果てしなく殺し続けるしかない。殺戮によってのみ生は獲得される。 ば...
殺さなければ殺される。王はつねに前の王を殺すことで王権を手にし、彼は自分が殺されるまで王の座に居続けることができる。逆に自分こそが王たらんとする者は、彼を殺さなくてはならない。そして自分が王であり続けるために、果てしなく殺し続けるしかない。殺戮によってのみ生は獲得される。 ばかばかしいと思うだろうか? 思うだろう。それはあなたがこの寓話を外から眺めているからである。枠組みを外すこと。外側へ出ること。それが離脱である。 読書家と呼ばれる人たちがいる。彼らはその称号を名乗るために、月二十冊の本を読んでいる。もし三十冊読むという者が現れれば、負けじと四十冊読む。中身は問題ではない。読んだという事実が大事なのだ。たとえそれが苦痛しか生まなくとも、誇りを保てたことに満足しなくてはならない──。 おわかりのように、これは上に書いた殺し合う王たちの相似形である。殺戮者は生きるために自身の生を犠牲にする。死闘が彼らに生の本質を忘れさせる。同じように、虚栄が僕らに読書の本質を忘れさせる。読書家諸氏を見習う必要はない。僕は王にならなくていいのだ。読書家をやめたとき、読書は悦びに変わる。これも一種の離脱と言える。 離脱──それは権力・支配・欲望にとって、まったく新しい態度である。それは反抗や服従とも違うし、諦めとも異なる。ナポレオン・ボナパルトのように、支配/被支配という枠組みの中では革命すら、位相を反転させるだけでかえって枠組みの維持と強化に従事してしまう。勝者も敗者も等しく関係の存続に奉仕する。 金がすべての世の中、弱者を切り捨てる競争社会、不平等と格差。僕たちはこれらを当たり前か、せいぜい仕方のないものとみなして、他人を出し抜くことを考えたり、あるいは一発逆転のチャンスを窺っている。そうしたすべては、自分たちが憎むものの継続を願っている。 例えるなら、僕らは芝居を演じる演者で、あるいはそれを眺める観客である。どちらも劇場の中にいることを知らず、劇場が世界そのものだと思っている。だから配役をめぐる競争や座席の希少性も、劇場が作り出していることに気づかない。 あるいは、もしかしたら気づいているのかもしれない。ここが劇場に過ぎないことに。でも、去ることで失うものにビクビクして、決心がつかないのだ。脱出は容易ではない。実際、冒頭でばかにした殺し合いを、世界は相変わらず続けているではないか。 世界が失くなれば、当然劇場も消える。僕らは認識から目を背けている。世界が終わる時まで、この狂った芝居を続けるのだろうか。
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