商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 笠間書院 |
| 発売年月日 | 2011/07/12 |
| JAN | 9784305706126 |
- 書籍
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伏見院
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伏見院
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伏見院は鎌倉後期九二代天皇(1265~1318)、父は後深草天皇で持明院統である。京極為兼を和歌の師として、和歌の宗家二条派とは対立する京極派の代表歌人となった。 京極派について、この本に書かれていることを取り上げてみる。 ・二条派の和歌にふさわしい言葉を使用し、決められた枠の中...
伏見院は鎌倉後期九二代天皇(1265~1318)、父は後深草天皇で持明院統である。京極為兼を和歌の師として、和歌の宗家二条派とは対立する京極派の代表歌人となった。 京極派について、この本に書かれていることを取り上げてみる。 ・二条派の和歌にふさわしい言葉を使用し、決められた枠の中で歌を詠む、平明温雅な歌風に対して、心を重視し、心の思うとおりに自由に言葉を用いて歌を詠む、革新的な歌風 ・叙景歌が多く、実景に即した写実的な歌というより、実景を心の中で再構築し、具体的にイメージされた歌である。 ・藤原定家や漢詩の表現に触発されて、実景の新たな美しさを発見している。 ・伝統的和歌では、例えば稲妻は一瞬のはかない時間、松は色を変えない不変性から天皇の徳とその御代の長きことへの祝意などの例えに使われるのに対して、純粋に風景として詠む。 ・通常の恋歌は、縁語や掛詞など、文飾を用いて、景物に心情を託すものだったのに対して、そうしたものはほとんどなく、ただ心の中を見つめ、分析説明しようとする。 こうして書いてみると、京極派が中世の伝統的和歌の中でいかに異彩を放っているか分かるだろう。 伏見院の歌の本領も、時間経過や対比に注目した細やかな観察を生かした叙景歌にあると思う。いくつか歌を挙げておく。 春や何ぞきこゆる音は軒の雨むかふ形は夜半のともしび 枝もなく咲き重なれる花の色に梢も重き春の曙 かすみくもり入りぬとみつる夕日影花の上にぞしばしうつろふ 風はやみ雲のひとむら峰こえて山みえそむる夕立のあと すずみつるあまたの宿もしづまりて夜深けて白き道のべの月 月にゆく夜道すずしみ小車のすだれを風はふきとをすなり こぼれ落つる池の蓮の白露はうき葉の玉と又なりにけり 見渡せば秋の夕日の影晴れて色濃き山をわたる白鷺 宵のまのむら雲づたひ影見えて山の端めぐる秋の稲妻 吹きはらう嵐の庭に音まぜて木の葉かろきに秋の村雨 入りがたの峰の夕日にみがかれてこほれる山の雪ぞひかれる 入相の鐘の音さへうづもれて雪しづかなる夕暮れの庭 我も人も恨みたちぬる中なれば今はさこそとあわれなるかな 思う人今宵の月をいかにみるや常にしもあらぬ色にかなしき 小夜ふけて宿もる犬の声高し村しづかなる月の遠方 更けぬるか過ぎ行く宿もしづまりて月の夜道にあふ人もなし 雨の音のきこゆる窓は小夜ふけてぬれぬにしめるともしびの影
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