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蜘蛛女のキス 集英社文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 集英社 |
| 発売年月日 | 2011/05/20 |
| JAN | 9784087606232 |
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蜘蛛女のキス
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商品レビュー
3.9
46件のお客様レビュー
2人の会話劇という今まで読んだことのない形式で展開される話だった。モリーナの話す映画の描写が毎回とても細かく、記憶力が凄すぎる。映画の内容がメタファーになって2人の間柄に反映されているように感じた。映像を言葉で伝えるのがうまくて、その場面を想像しやすい。言葉の表現力の凄さを改めて...
2人の会話劇という今まで読んだことのない形式で展開される話だった。モリーナの話す映画の描写が毎回とても細かく、記憶力が凄すぎる。映画の内容がメタファーになって2人の間柄に反映されているように感じた。映像を言葉で伝えるのがうまくて、その場面を想像しやすい。言葉の表現力の凄さを改めて感じた。
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タイトルは知っていても、読んだことがない本はたくさんあります。本作もそんな本の中の1冊でした。ベストセラーになった小説だということは知っていたのですが、インパクトのある題なので、無意識に敬遠していたのかもしれません。 物語は、誰かがある映画の内容を、ほかの誰かに話して聞かせて...
タイトルは知っていても、読んだことがない本はたくさんあります。本作もそんな本の中の1冊でした。ベストセラーになった小説だということは知っていたのですが、インパクトのある題なので、無意識に敬遠していたのかもしれません。 物語は、誰かがある映画の内容を、ほかの誰かに話して聞かせている場面から始まります。最初は話し手が誰で、聞いているのが誰なのかわかりません。その場所がどこなのかも不明です。でも、物語が進行するうちに、やがてそれが、モリーナとバレンティンという二人の男の会話だということがわかってきます。 モリ―ナは未成年者に対する性行為で懲役8年の刑を宣告されたゲイ。バレンティンは社会主義運動の政治犯として逮捕された革命家です。ふたりは同じ牢屋に収監されているのです。 この小説は、ほぼ全編がこのふたりの対話形式で綴られています。途中、モリ―ナと所長の面談場面や、モリ―ナに関する報告書などが挿入されますが、それもほんのわずかです。いわゆる「地の文」にあたる箇所は、まったくありません。 ちなみに、ここで話されているのは、『キャット・ピープル』という1942年に公開されたアメリカ映画です。監督はジャック・ターナー、主演はシモーヌ・シモンでした。この映画は1982年にリメイクされ、そのときの監督はポール・シュレイダー、主演はナスターシャ・キンスキーです。 小説の中で語られる映画は全部で6本ありますが、実在するものとそうでないものがあるようです。 モリ―ナは寝物語に、あるいはバレンティンの体調がすぐれないときに、かつて観た映画のストーリーを話して聞かせます。それ以外にも食料や飲みものを分け与えたり、バレンティンが病気のときには寝ずの看病をしたりと、献身的な態度で尽くすのでした。 こうした暮らしの中で、ふたりの心情が徐々に変化していく様子が、巧みに表現されています。 作者のマヌエル・プイグはアルゼンチン出身の作家です。この物語には、当時の軍事独裁政権が背景にあると考えられます。作者自身が、亡命を余儀なくされ、アメリカ、メキシコなどを転々としながら作品を書き上げたことからも、そのことが想像されます。 物語の後半、バレンティンはモリ―ナに対して「あんたはえらく優しいから、真っ先に他人のことを考えるんだ。自分のことは二の次にしてね。そこのところは誇りにすべきだよ」と声を掛けます。しかしモリ―ナは「でもそれは公平なことなの?(中略)いつでもあたしには何ものこらないってこと…あたしはいまだかつて、本当に自分のものを持ったことがないってことよ(中略)あたしの人生、いつ始まるのかしら?何かがあたしのものになるのは、あたしが何かを持てるのは、一体いつなの?」と返します。 この会話が、物語の核心部のひとつであるように思えます。 その後、物語は悲劇に向かって進んでいくのですが、「起きたことはそのまま受け入れる、それができなくちゃいけない、そして自分に起きたいいことは大事にする。たとえ長続きしなくてもだ。というのも、永遠に続くことなんて何もないからだよ」と語るバレンティンの言葉は、理想を掲げる革命家にしては軽過ぎます。 モリ―ナと一緒に過ごすことで、バレンティンのアイデンティティや価値観が崩壊しているのです。革命というと言葉は、響きは良いかもしれませんが、彼の思想はとても薄っぺらいものだったように感じられました。 挙句ふたりは非業の最期を遂げるのですが、バレンティンに比べてモリ―ナの方が、少しは得るものがあったのではないでしょうか。 この物語は、政治的抑圧に反逆を試みるバレンティンと、ホモセクシュアリティ―であるがゆえの弾圧に耐えるモリ―ナを同時に描くことで、深い意味を生じさせています。 戦うことの虚しさ、生きることの切なさが問われているようにも思えました。けっきょく世界を複雑にしているのは、人間なのですね。 https://note.com/b_arlequin
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※このレビューにはネタバレを含みます
長い!読みにくい!1割位読んだあとは流し読みした。 アルゼンチンの刑務所で同室になった同性愛者モリーナと政治犯バレンティンが少しずつ心を通わせていく話…なのだが、モリーナが毎晩語る映画のあらすじが長くて長くて…分かりにくいし… ほとんどが囚人2人の会話文で進んでいく。 以下、ネタバレ モリーナは看守からバレンティンについて仲間達について聞きだすようスパイをさせられていた。 刑務所側はバレンティンの食事に毒を入れるなどして彼を弱らせようとしていたが、モリーナは母からの差し入れとしてまともな食事を手に入れバレンティンに与える。 本編の9割位のところでようやく心を開いたバレンティンはモリーナへ仲間達の秘密を伝える。 その頃、モリーナは出所することになる。 出所したモリーナは、警察から監視&盗聴されていた。バレンティンの仲間と連絡をとり(?)待ち合わせ場所へ行くと警察が現れ、それを見た仲間たちに組織の秘密を守るため銃で狙撃されモリーナは死んでしまう。←出所後の動向は新聞記事のような書き方でこれまた読みにくかった。
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