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与太郎戦記ああ戦友 ちくま文庫
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与太郎戦記ああ戦友 ちくま文庫

春風亭柳昇【著】

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与太郎戦記ああ戦友 ちくま文庫

880

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2011/02/10
JAN 9784480427953

与太郎戦記ああ戦友

¥880

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2015/05/05

南の島に雪が降る』をフトamazonで見たら、これを買った人はこんな本も買ってますというところに、春風亭柳昇の『与太郎戦記』が出ていた。 加東大介が「兵隊ってのは世の中の縮図だから、たいていの職業がある」(『南の島に雪が降る』、pp.9-10)と書いていたように、兵隊に行った落...

南の島に雪が降る』をフトamazonで見たら、これを買った人はこんな本も買ってますというところに、春風亭柳昇の『与太郎戦記』が出ていた。 加東大介が「兵隊ってのは世の中の縮図だから、たいていの職業がある」(『南の島に雪が降る』、pp.9-10)と書いていたように、兵隊に行った落語家もいるんやろうと思っていたら、これが逆で、春風亭柳昇は陸軍の歩兵として出征、傷痍軍人となって帰り、兵隊になる前の職には戻れなくて、落語家になろうと決意したのである。六代目春風亭柳橋の長男と戦友だった縁で、という。 巻頭の「開口一番」にこんなことが書いてある。 ▼私(秋本安雄)の兵隊生活は五年でしたが、何だかとても長かったように思えます。  毎日、今日は死ぬか、明日が最期かと追われて生きた一日、そんな生活が、長く感じさせるのでしょう。  さて先日、落語家になって何年になるだろう、そんなことをふと考えてみましたら、何と三十年経っていました。  とてもそんなに長いとは思えません。兵隊生活が三十年で、落語家生活が五年くらいと反対に思えてなりません。(pp.3-4) その兵隊時代のことや、落語家になってからのことが、あれこれと書いてあるなかで、真打に昇進するときに、お金がなくて借りにいった話が私にはおもしろかった。真打になるのはお金がかかる。紋付袴を新調せんならんし、配り物も作らなあかんし、披露宴もどこかでせなあかん。贔屓客も金主もいない柳昇さんは、どこかでお金を借りられないかとめぼしい所へあたりにいく。 たまたま伺った先の、初対面の長唄のお師匠さんから「お金がかかるんでしょ」と言われ、誰かに借りなければと考えていると言うと、そのお師匠さんはこう言った。 ▼「お金というものはね、友だちや、後輩から借りては絶対ダメよ。一度でも借りれば生涯その人に頭が上がらなくなるのよ」  「そうですか」  「そうよ。だからどうせ頭が上がらないのなら初めから頭の上がらない人から借りるのよ」  「なるほど」  「それでね、いちどに返せても返しちゃダメ、帳面をこしらえて、毎月、日を決めて月賦にして返すのよ。それでその決めた期日には槍が降っても返しに行くの。もしその日がダメなら前日。どんなことがあっても遅れてはダメよ。そうすれば信用はつくし、また毎月顔を合わせているうち、だんだん親しくなれて、一挙両得よ」  「あ、そうですか」  私はいつしか杯を下に置いて、このお師匠さんの話を感心して聞いていた。(p.193) 私もなるほどなあと思う。柳昇さんは、このお師匠さんの話をすぐ実行にうつして、寄席のご主人、鈴本演芸場の大旦那から10万円を借り、毎月20日に5千円ずつ返し… だんだん馴染みになり、完済して信用もできたところで、その大旦那が急逝してしまう。お葬式から帰って「もう少し生きててくれればいいのに」と思ったことまで書いているのが、この人の人となりなのだろう。 図書館にあったのは、『与太郎戦記』の古い単行本と、文庫の『与太郎戦記ああ戦友』で、とりあえず文庫本を借りてきたら、これは、『与太郎戦記』と『陸軍落語兵』に続く第三作なのであった。まぁいっかと三作目から読んだもの。 (4/12了)

Posted by ブクログ

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