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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 新潮社 |
| 発売年月日 | 2010/10/30 |
| JAN | 9784103284611 |
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商品レビュー
3.4
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入り込んでいるような、俯瞰しているような。輪郭がはっきり見えてきては曖昧になり、その寄せては引く波の静けさが、平安に心を満たしていく。 小筆でするすると描かれたような美しさの後にやってくる、その絵が剥がれ落ちるかのような寂しさ。 この人物の心が捕らわれたものの不穏さに、読み手...
入り込んでいるような、俯瞰しているような。輪郭がはっきり見えてきては曖昧になり、その寄せては引く波の静けさが、平安に心を満たしていく。 小筆でするすると描かれたような美しさの後にやってくる、その絵が剥がれ落ちるかのような寂しさ。 この人物の心が捕らわれたものの不穏さに、読み手の心がザラリとする。 ぞっとするような青白さと、闇に溶けてゆく薄暗さ。生温かく湿ったものが肌に張り付くような感覚を味わった。 静寂のなかに集められる何かの気配、匂い、身体に流れる血液の熱さ、そういったこと全てが現実と夢との境をゆらゆらと蠢いている。 光一つ、闇一つ。 体を横たえるその動き一つの描写に、これほど魅了される表現ができることに、いつも驚いてしまう。 潤いが広がり、言葉は隅々まで生を受ける。 不確かなものを不確かなまま隅々まで描ききるという、ある種矛盾にも取れるような、彼女の紡ぐ言葉の力は底しれない。 生から死への危うい線引き。 今生きているのか、死んでいるのか、それとも死へと向かっているのかもわからないまま、平安と不穏とが混じり溶け合うことに美しさを感じる。 幻であるからこそ心は囚われ、架空のものを見る眼そのものを意識がつくりだす。 人や人でないものたちが、行きつ戻りつ、たゆたうように物語を輪廻する。 結んではするりと解ける絹糸のような、滑らかでいて存在感のある言葉の羅列。 分岐していく川のような、流れ滴る雨のような静寂のなかに潜む鬱々とした美しさを何度も味わいたくなる一冊。
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川の流れのように分岐しながら一見脈絡のない短いお話が続いてゆく何とも不思議な小説。 流れに乗ってゆくともはや私もその一部であるかのような感覚に襲われる。 作中、雨上がりの水溜まりの中にだけ焼却炉の煙突の幻影が見える…というあまりに美しいイメージが紡がれており、しばし身動き出来な...
川の流れのように分岐しながら一見脈絡のない短いお話が続いてゆく何とも不思議な小説。 流れに乗ってゆくともはや私もその一部であるかのような感覚に襲われる。 作中、雨上がりの水溜まりの中にだけ焼却炉の煙突の幻影が見える…というあまりに美しいイメージが紡がれており、しばし身動き出来ないほど痺れた。 この流れゆく世界に溺れながら静かな興奮を覚えた一冊。
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流れるように語り手から場面、時代までもが移り変わる風変わりな小説。温度を感じられない無機質な文体。100ページちょっとの短めの作品ではあるが、もっと分厚い作品を読んだ時のような達成感というか、読んだなあという気持ちになった。 そして、朝吹真理子さんの文章は綺麗。日本語の美しさと単...
流れるように語り手から場面、時代までもが移り変わる風変わりな小説。温度を感じられない無機質な文体。100ページちょっとの短めの作品ではあるが、もっと分厚い作品を読んだ時のような達成感というか、読んだなあという気持ちになった。 そして、朝吹真理子さんの文章は綺麗。日本語の美しさと単語のリズムを感じながら読む読書時間は嗜好のひと時だった。 独創性や先進性を評価するドゥマゴ文学賞らしい作品であると感じた。独創性が作品からあふれるようで、これは朝吹真理子さんにしか書けない作品だと思う。美しい文体とリズミカルな文章、そしてタイトルの通り流れるような作品展開、これらの要素が合わさったからこそ、この作品が小説として成り立つのであろうと考える。
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