こなごなに壊れて

ジェイムズフレイ【著】, 武者圭子【訳】

• 販売会社／発売会社: 講談社
• 発売年月日: 2010/10/21
• JAN: 9784062158763

商品レビュー

2023/08/20

ローティーンで酒を覚え、すぐにドラッグにハマり、体も頭も、文字通り粉々に壊れてしまった著者が、リハビリ施設で得たものについての話。

大変高額なリハビリ施設ではあるが、卒業後もクリーンで居続けられる人はほんの僅か。

中毒の話は、弱くて愚かな部分が強調されてしまうけど、彼らが特別に弱くて愚かなわけではない。誰だって同じようなものだ。

ただ、酒や薬物は、その弱さや愚かしさに巣食って、人をダメにしてしまう。神様の助けで戻れる人が僅か、自力で戻れる人はほとんどいない。

ちょっと昔の話でもあるので、全体的に平和な牧歌的な感じはある。

2013/09/03

身体も精神もボロボロになったアルコール、薬物依存症の主人公（著者）の更生施設での長い日々。誰も信じず、誰の言葉も受け付けず、怒りに支配され、周りに牙を向いて暴れまくる主人公。人に出会い、本に出会い、行きつ戻りつしながら自分を取り戻して行く様子は、感動的。アルコール依存症克服にはただ一つ有効と言われる12のステップを最後まで受け入れず、自分の強い気持ちだけで乗り越えようとする意固地な彼に、不器用さと強さを感じつつ、どうか一生を依存症に戻らず過ごして欲しいと願わずにはいられない。

2013/07/17

全米で300万部のヒットとか言われているノンフィクション作品。バロウズの再来とうたわれているが、前半はひどい壊れ切った主人公の生きざまは吐き気がするほど凄惨で陰鬱で孤独である。そういった意味である意味バロウズを彷彿とさせたけど、後半からは人間性を取り戻していくメロドラマが展開されていく。心の温かい人間との数々の出会いを通し人間性を再生させていく主人公の蘇生のドラマは感動的である。超オススメ作といえる。