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戦争の時代の子どもたち 瀬田国民学校五年智組の学級日誌より 岩波ジュニア新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2010/07/21 |
JAN | 9784005006601 |
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戦争の時代の子どもたち
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戦争の時代の子どもたち
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○新書で「学校生活」を読む⑳ 吉村文成『戦争の時代の子どもたち 瀬田国民学校五年智組の学級日誌より』 (岩波ジュニア新書、2010年) ・分 野:「学校生活」×「歴史を読む」 ・目 次: はじめに 1章 学校の中の戦争 2章...
○新書で「学校生活」を読む⑳ 吉村文成『戦争の時代の子どもたち 瀬田国民学校五年智組の学級日誌より』 (岩波ジュニア新書、2010年) ・分 野:「学校生活」×「歴史を読む」 ・目 次: はじめに 1章 学校の中の戦争 2章 銃後をささえる少国民 3章 「貧しい国」の戦争 4章 学級日誌から見えてきたもの 5章 何が学級日誌を育てたか 6章 いまも生きる学級日誌 おわりに ・総 評 本書は、滋賀県にあった瀬田国民学校(現在の小学校)の五年生たちが作成した「学級日誌」を基に、太平洋戦争下の子どもたちの様子を考察した本です。著者は元朝日新聞社の記者で、龍谷大学の教授なども歴任した人物です。 この日誌は、太平洋戦争末期の一九四四年から四五年までの一年間を対象として、その日の出来事を文章と絵で記録しています。著者も指摘するように、学級日誌は「後で思い出して描いたものでなく〔…〕その日に描かれたもの」であることから「あの戦争の時代の学校生活を伝える、貴重な歴史史料」だと言うことができます。戦争という現実を前に、子どもたちはどのように日々を生き抜いたのか――この本を読んで面白いなと思った点を、以下の3点にまとめます。 【POINT①】子どもたちが描いた「戦争」のリアル 学級日誌には、頻繁に「お国のため」「兵隊さんに負けないように」といった表現が登場し、勉強や家のお手伝い、地域への奉仕活動などが全て“戦争に勝つため”という文脈で語られています。また空襲警報によって授業が中断したり、若い男性教員が戦争に行ってしまって教員数が不足したため、授業が「自習」になったりと、戦争の影響が学校生活全般に及んでいることが分かります。その一方で、子どもたちは「季節の移り変わり」などの自然の変化を正確に観察し、その様子を「明るく、自由で、生き生き」した筆使いで描いており、それが、この日誌が持つ非常に面白い特徴だと著者は指摘しています。 【POINT②】子どもたちが期待されたこと/我慢させられたこと 学級日誌を担当した生徒たちは、苦しい境遇にある自分たちを「お国のため」「兵隊さんに負けないように」と鼓舞し、敵国である英米を「たたきつぶしてしまえ」と激しい表現で批判しています。ただし、こうした言葉は「児童に我慢や忍耐を強いるため」に当時の社会が用意した“口実”であり、子どもたちの方でも、大人が期待する激しい言葉をくり返すことで、安易に「よい子」を演じてみせる“無意識の知恵”があったと言います。一見すると“健気”に「お国のため」に尽くそうとする子どもたちの背景には、そうした言葉を言わざるを得ない、社会の風潮による「抑圧の大きさ」があったと著者は指摘しています。 【POINT③】時代を超えた「教育」の価値とは 日誌には、戦争色が濃い文章や挿絵が目立つ一方で、周りの自然の変化を小学生らしい伸び伸びとした文章や絵で表現している箇所も多く見られます。これは当時の校長であった矢嶋正信氏の教育方針が影響していたと言います。矢嶋氏は「ほめること」を教育の軸としながら、学校が運営する畑を活用して「〔様々な植物を〕観察して科学的に記録する」という「総合学習」を行っていました(収穫した作物を使った調理実習も大人気でした)。戦争とは関係なく、子どもらしい視点で季節の移り変わりが描かれた日誌の背景には、そうしたことに関心を寄せる教師が「そばに付き添っていた」と著者は指摘しています。 ちなみに、独自の「総合学習」を実践した矢嶋氏は、終戦後も民主化された小学校の校長として、その手腕は高く評価されたと言います。戦時・戦後のいずれの時代にも、多くの生徒に支持された彼の「教育」について、著者は「時代を超えた普遍性を示している」と指摘しています。 一方で、そうした校長の下で、一年を通して「同じ教室で、同じ仲間で、このような日誌を描けた」こと自体が、当時においては「恵まれている」環境であったことも事実です。とは言え、この日誌が、戦争下における子どもたちの“リアル”な姿を伝えてくれる貴重な史料であることは変わりません。 ウクライナやガザ地区の問題によって「戦争」という言葉がより身近になった今、過去の子どもたちが戦争をどう受け止めていたのかを知ることも、立派な歴史の勉強になるのではないでしょうか。 (1579字)
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「戦争の時代の子どもたち」という暗いイメージの表題と、子どもらしい伸びやかな絵の学級日誌とのギャップに疑問があったが、読んでみて非常に納得させられた。 校長先生の教育理念が素晴らしい。 ただ戦争が続くにつれ、当時の風潮からして大変な逆風を浴びただろうことは容易に想像され、心中を思うと胸が痛む。 戦争を違う視点から見られる一冊。
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滋賀県大津市瀬田国民学校五年智組の女生徒7人が、昭和19年の4月から同20年3月まで書きつづけた絵日誌を紹介し、そこから当時の軍国主義日本、そして当時の国民学校教育を読み解き、さらに、この絵日誌のもつ不思議な明るさに迫っていこうとする本です。戦争による抑圧の中、臣民を作る教育、つまり自分で考えてはいけないという、枠にはめた人間作りが叫ばれた時代がこの太平洋戦争の日本です。本書で紹介される絵日誌にも、そんな空気のなかで、なんとか落ちこぼれずに空気と同化しようとする、ある意味健気な感じは読み取れます。しかし、どこか明るく、絵も文章も自由なところがある。その不思議さには担任の西川綾子先生の放任主義があり、矢嶋校長の「ほめる教育」が影響しているようです。それだけではなく、土に触れる教育なども好い影響を与えているようです。
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