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イスラームへの回帰 中国のムスリマたち イスラームを知る7
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イスラームへの回帰 中国のムスリマたち イスラームを知る7

松本ますみ【著】, NIHU(人間文化研究機構)【監修】

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イスラームへの回帰 中国のムスリマたち イスラームを知る7

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 山川出版社
発売年月日 2010/05/30
JAN 9784634474673

イスラームへの回帰

¥1,320

商品レビュー

2.5

2件のお客様レビュー

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2011/01/10

最初に「本書ではとくに、女性のためのイスラーム宗教学校(本書では「女学」と略す)とそこに集うムスリム女性たち(ムスリマ。アラビア語でムスリムの女性形)に注目して、現代中国におけるイスラームへの回帰現象と、女性の能力開花、自信回復・自立について考えていくことにする。」(7ページ)と...

最初に「本書ではとくに、女性のためのイスラーム宗教学校(本書では「女学」と略す)とそこに集うムスリム女性たち(ムスリマ。アラビア語でムスリムの女性形)に注目して、現代中国におけるイスラームへの回帰現象と、女性の能力開花、自信回復・自立について考えていくことにする。」(7ページ)と述べているように、社会主義国家中国における“辺境”に位置する西北地域(甘粛・陝西・内モンゴル自治区・寧夏回族自治区)における、中国の“マイノリティ”イスラーム教徒(回族)における、“抑圧”された女性ムスリム(ムスリマ)に焦点を当てて著述されています。 毛沢東の「宗教はアヘン」という言葉を紹介するまでもなく、中華人民共和国では宗教は抑圧され、とくに1950年代の反右派闘争と1960年代半ばから1970年代半ばにかけての文化大革命の時期に宗教は大打撃を受けています。今でも宗教に対する政府の管理は行われていますが、憲法や党の指導方針内での自由は一定程度認められているということです。 そうした中で、イスラーム教徒たちの女子教育は(国家が男女の平等を掲げているにもかかわらず)ほとんど行われていませんでした。その背景として著者は「回族女児の非識字・非就学、中途退学率の高さの原因についてはさまざまな議論があるが、おおむねイスラーム(宗教)、ジェンダー、エスニシティ、伝統、貧困という階層の問題が複雑にからみあっている」(39ページ)と指摘しています。しかし今では政府の指導で女児の就学率はほぼ100%となり、大体解消されたとされています。 しかしこれら公教育機関では、もちろん宗教教育はなされません。男性イスラーム教徒たちはこうしたムスリマの教育機関である女学建設に反対するものも多数いました。こうした保守派の反対理由として「道を説くはずの男性宗教指導者が家庭内では妻・娘に対する抑圧者であり、イスラームの男女平等を女性が知れば、従来の家庭内での独裁的地位が保てなくなる恐れがあった」(67ページ)からだそうです。しかし、文革など非常時におけるリスクの分散(男性が連行されても子供たちにイスラームの教えやアラビア語を伝える役を女性が担うことができる)、外部知識の流入(他地域における女子イスラーム教育の現状など)、改革開放後の急激な社会変化で文革後のようやく再生しかかった家族や宗教共同体が再び危機を迎えたこと、などを理由に次第に女子に対する宗教教育が広まっていったと指摘しています。 こうして広まっていった女学の女性たちは、さらなる解放と発展をめざすエージェンシーを発揮しているということです。つまり「「女性の解放」は、非識字からの解放、自信のなさからの解放、そして倫理や公正さを知らないことからの解放をも意味している。「女であること」は男性に奉仕し従属する二級の性としておとしめられることではなく、神から女性だけに命じられた「世直し」のために与えられた特徴という読み替えをしている。彼女たちは女性の再生産機能という社会進出を従来阻害してきた生理的根拠を逆手にとって、女性の社会的自立と発言力を深めている」(96ページ)としています。そして「彼女たちの活動は伝統主義的な性別役割分担も、また毛沢東主義や西欧フェミニズムの男女平等も反転させ、また、女性を二級市民にとどめおこうとする厳格なイスラーム主義の女性言説をも留保する。一方で中国の社会主義的権威主義体制はイスラームを絶えず周縁化しようとしているということも知っている彼女たちは、主流の体制にひそかに抗ってよりイスラーム的であろうとする。家庭価値と再生産を大事にしながらも、家庭外でも自己実現をはかり、コミュニティの尊敬を獲得しようというという(原文ママ)彼女たちの模索は、彼女たちに厳しい時間管理と賃労働・家庭内労働をしいながらも、今のところ高い満足度を保障している」(98~99ページ)とし、これおw「中国のイスラーム・フェミニズム」とよんでいます。 今、「女学」で学んだ女性たちは、都市部で需要の高まっているムスリム商人らの通訳として、また女学などの教師として自立し、家計を助け、周囲の尊敬をあつめています。 と、ここまで内容をまとめてはみたものの、現代中国におけるイスラームの宗教共同体における女子教育について知ることができましたが、全体に通底する著者自身のフェミニズムが読んでいて少なからず違和感を与えます。私自身がフェミニズムについてあまりいい感情を持ってないこともあるのですが、何となく自分の思想に研究対象を乗っけたような文章は、人文科学として?という印象でした。

Posted by ブクログ

2010/10/03

面白いけれど題材の魅力に負うところが大。 本としてはいろいろ荒い。 研究者にしてはずいぶん脇が甘い。 たとえば子どもに夢を尋ねるとき、答を期待しながら質問をするなんてのは学者にあるまじき心構えなんじゃないだろうか。 調査ではなく雑談中のエピソードかもしれないけれど、状況を明記し...

面白いけれど題材の魅力に負うところが大。 本としてはいろいろ荒い。 研究者にしてはずいぶん脇が甘い。 たとえば子どもに夢を尋ねるとき、答を期待しながら質問をするなんてのは学者にあるまじき心構えなんじゃないだろうか。 調査ではなく雑談中のエピソードかもしれないけれど、状況を明記しないのもゆるい。 西欧式ではなくイスラームの作法にのっとった女性の自律・解放について知りたかったので、その辺が書いてあるのは嬉しい。 でも西欧のフェミニズムが「男並みを目指すもの」ってなんだ。 ムスリマたちがそう見ているならムスリマの意見として書くべきだし、著者自身がそう思っているなら勉強不足だ。 母性をはじめとする「女性」を武器にして闘うことの利点と、それによって男女役割の固定に寄与してしまう危険性を指摘するなら、(西欧の)フェミニズムに与することによって欧米(キリスト教)中心主義に取り込まれてしまう危険にも目を向けるべきだ。 ムスリマから見ればベールを被せようとする男も剥ぎ取ろうとするキリスト教徒も、ムスリマの意思を無視していることに変わりはないのだから。 とりあえず文章が前後したり説明不足なのをどうにかしてほしい。 前提をはしょってA型B型とか言われてもなんの分類なのかわからない。 そもそもの見方が軽ーく無自覚に蔑視を含む気がする。 下層を観察する目線。 これを発表することによって取材対象が危うくなったりはしないのかな? 研究倫理に無頓着っぽくて心配になる。

Posted by ブクログ

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