商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 青土社 |
発売年月日 | 2010/06/10 |
JAN | 9784791765485 |
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アマリアの別荘
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アマリアの別荘
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商品レビュー
3.7
4件のお客様レビュー
2006年作。 札幌のジュンク堂で、このパスカル・キニョールという未知の作家の小説本が沢山並んでいた。「現代フランスを代表する作家」等と帯に書いてあり、私が知らないだけで結構注目されている小説家なのだろうか、と思い、とりあえず1冊買ってみた。 とにかく知らない作家で予備知識...
2006年作。 札幌のジュンク堂で、このパスカル・キニョールという未知の作家の小説本が沢山並んでいた。「現代フランスを代表する作家」等と帯に書いてあり、私が知らないだけで結構注目されている小説家なのだろうか、と思い、とりあえず1冊買ってみた。 とにかく知らない作家で予備知識もないので、読んでいて勝手が掴めなかった。夫の不倫を知ったことをきっかけに、家を売却し、「過去をすべて捨てて」旅に出る女主人公アン(作曲家)の物語。過去を捨てて転生しようとする辺りから、文章はいよいよ詩的になり、短い断章が積み上げられてゆく。こうした文章は、どこか多和田葉子さんの文体と似ているように感じられた。 しかし、作者の意図したところがやはりどうにも掴めない。結局主人公は「過去を捨て」きることができず、母の逝去に駆けつけ、幼い頃に出奔した父親と再開する。結局は「過去」の延長上以外の場所に、彼女はいないのだ。 ただ、この物語が多くの人物の死によって彩られていることだけは分かったが、その先に作家により構想されたフォルムはよく分からないままだった。 そんなに悪くない作品だとは思ったが、もう少しこの作家のものを読んでみないと、作品の立ち位置がはっきりしないようである。
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夫の不倫をきっかけに、ピアニストの女は自分の居場所をもとめ、さまよう。 夫に悟られずに家を売り、家具を売り、ピアノを売り…。 そして、男友達をフランスの地に残したまま、彼女はイタリアに旅立つ。 そして、逗留先のホテル、火山の近くにひっそりとただずむ、家に恋をして…。 安らぎの地を見出すために駆けぬけた、彼女の人生は報われたといえるのだろうか? 読後には、もの悲しくも美しいノスタルジーを感じた、たびたび読み返したい良作だった。
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★★★ 変わった女だった。 極端に受身なのだ。内に篭るといってもいい。だがこの見かけの消極性には独自の積極性が含まれていた。彼女は芯から物静かだった。穏やかなところのまったくない静けさ、ひたすら頑固で内向きの静けさ。 ★★★ 恋人の浮気を知った女が、自分の全てを消し去り新しい生...
★★★ 変わった女だった。 極端に受身なのだ。内に篭るといってもいい。だがこの見かけの消極性には独自の積極性が含まれていた。彼女は芯から物静かだった。穏やかなところのまったくない静けさ、ひたすら頑固で内向きの静けさ。 ★★★ 恋人の浮気を知った女が、自分の全てを消し去り新しい生活を始める。 多面性を持ち安定しない女を掘り下げた小説。
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