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歩いて見た太平洋戦争の島々 岩波ジュニア新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2010/04/22 |
JAN | 9784005006526 |
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歩いて見た太平洋戦争の島々
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歩いて見た太平洋戦争の島々
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商品レビュー
3.6
5件のお客様レビュー
夏の強烈な日差し、地面が陽炎のように揺れて、吸い込む空気の熱ささえも喉が感じる様な夏の一日。幹線道路沿いに居ながら、まるで世界から音が消えてしまったかの様に、耳を外側から押し付ける様な静けさすら感じる。今日も38度近くまで気温が上昇し、少し窓に近づけばガラスを通してキーンという甲...
夏の強烈な日差し、地面が陽炎のように揺れて、吸い込む空気の熱ささえも喉が感じる様な夏の一日。幹線道路沿いに居ながら、まるで世界から音が消えてしまったかの様に、耳を外側から押し付ける様な静けさすら感じる。今日も38度近くまで気温が上昇し、少し窓に近づけばガラスを通してキーンという甲高い耳をつんざく様な音と一緒に太陽が差し込んで来る。暑い。 今から70年以上前の出来事、太平洋の島々を舞台に日米が繰り広げた死闘の数々。既にそれを身をもって経験し、幸運にも生き延びることができたた人々もその殆どが鬼籍に入ってしまった。 日本は1941年12月8日、太平洋に浮かぶハワイ島真珠湾を攻撃し戦争に突入する。諸説あるものの、アメリカからすれば奇襲、日本からは実質的にABCDラインによる経済封鎖時点で戦争突入は避けられなかったから必然の流れと、戦わざるを得ない両国が太平洋でぶつかり合った。 本書はそうした太平洋の島々で繰り広げられた太平洋戦争の戦跡を巡り、写真と戦闘について振り返っていく内容となっている。少し詳しい人であればよく知った歴史ではあるが、岩波ジュニア文庫から出版されており、これから戦争を学ぼうとする小中学生にも写真付きで解りやすく解説していく。写真の力は凄い。勿論沢山の戦史を読んだ方ならどこか頭の中に南国の島々と、そこで繰り広げられた凄惨な戦い、そして飢える兵士、絨毯の様に転がったまま海岸を埋め尽くす死体をイメージする事は出来るであろうが、そうした予備知識の薄い若い方には中々写されているビーチやまさに南国情緒溢れる景色から想像は難しいだろう。そこにただ一つ、錆びた戦車や砲台があるだけでその場所がかつて何百人何千人が命を落とした場所である事を証明する。 錆びて朽ち果てた鉄の塊が動いていた時代に耳をつんざく様な轟音と、闇に放たれるいくつもの閃光を潜り抜け、沼地やジャングルの生い茂る草や木に足を取られながらも必死に進軍する兵士たちがいた。こちらは大和魂と銃剣、敵は最新の装備に圧倒的な人員と火力で迎える。とても近代の戦争とは思えない様な、圧倒的な差がありながらも、幾つかの島々では日本軍も善戦している。 本書最初に紹介される小笠原兵団が守った硫黄島や米海兵隊史上最悪の戦地といわれたペリリューなどだ。何れも埋められない攻撃力の差を、戦術と最終的には精神力で埋めたといわざるを得ないが、多くの血が流れ未だに砂の下、洞窟に眠る日本兵が沢山いる。 遺骨収集は今もなお続いているが、当時を経験した人々や遺族も高齢化が進み、また平和な世に生まれた後の世代たちには戦争があった事自体を理解することも難しく、年々活動は縮小していく。 本書の目的はこうした、時の流れと共に物理的にも記憶からも消えかけている「戦争」そのものを後の世代に伝えていく事以上に、亡くなった多くの英霊たちへの鎮魂歌なのではないかと思う。 写真の力を借りて、後の世代にしっかり映像として伝えるだけで無く、今は平和に見える陽気な南国の地がまたいつか再びその様な景色にかわらない様にしっかりこれからを生きる若い世代の心に刻んでいきたいのではなかろうか。 私も随分と歳を重ね、勿論リアルな戦争などは知らず、文字や映像から学んだ「血の匂いがしない」歴史としての知識しかない。それでも兵士だけでも230万人が亡くなった戦争の記憶は決して消えてはならないと考える。単に平和を望むだけでなく、未だ祖国へ帰る事のできない兵士たちを記憶から消してはいけない。 本書は太平洋戦争の主要な戦場を写真と共に紹介し、是非その場所を訪れる事で当時の兵士たちと同じ空気感を味わって欲しいと願う。そこにある戦争の跡を見て少しでも後世に記憶が語り継がれる事を願う。「戦争の"跡"の時代」を平和に生きていくために。
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ジュニア新書と言うだけあって(当たり前だが)ジュニア向け。 著者の感想が随所にあるが、反戦の言辞はあまりに多くのところで言われているため、何を言っても陳腐な常套句に聞こえやすいのが残念。たとえ陳腐でも繰り返し言うのも大事だけれど。
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この本は戦争の惨禍を伝えたいと言うより、戦争遺跡巡りというか、朽ち果てていく高射砲やら戦闘機やら戦車やらの写真を撮ることが目的なんじゃないだろうか。果たしてこれを読んだ少年少女が戦争は悲惨だ、悲劇を繰り返してはならない、と感じるかどうかは微妙。「廃墟萌え」に近い気がする。 ...
この本は戦争の惨禍を伝えたいと言うより、戦争遺跡巡りというか、朽ち果てていく高射砲やら戦闘機やら戦車やらの写真を撮ることが目的なんじゃないだろうか。果たしてこれを読んだ少年少女が戦争は悲惨だ、悲劇を繰り返してはならない、と感じるかどうかは微妙。「廃墟萌え」に近い気がする。 ただし、おっさんがそう感じるだけで、感受性の豊かな若い人には十分に兵士の悲劇は伝わるかもしれない。 ガダルカナル島を「餓島」という意味を大人は当たり前のこととして承知しているが、子供が読んだらたぶん感じ方が違うだろう。戦闘で死んだ兵士より、病気と飢えで死んだ兵士のほうがはるかに多かったなんて、大人はまず大本営のアホさに憤るだろうが、子どもは兵士の苦痛に思いを馳せ、心を痛めるかもしれない。 だから子どもは読んで良いと思うが、大人は読まなくてもいいと思う。もともとジュニア新書だし。 表紙を見ればわかるように、写真がずいぶん上手いなと思ったら、著者はカメラマンだった。
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