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時間様相の形而上学 現在・過去・未来とは何か
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時間様相の形而上学 現在・過去・未来とは何か

伊佐敷隆弘【著】

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時間様相の形而上学 現在・過去・未来とは何か

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 勁草書房
発売年月日 2010/02/25
JAN 9784326101931

時間様相の形而上学

¥3,850

商品レビュー

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2010/12/12

現代形而上学に基づく時間論の研究書。初学者にも理解しやすいていねいな叙述でありながら、議論のレヴェルを下げることはせず、時間に関する哲学的問題への確かな導きを与えてくれる。 本書は、時間についての三つの問題に答えることを課題としている。第一の問題は、過去が確定しているとはどうい...

現代形而上学に基づく時間論の研究書。初学者にも理解しやすいていねいな叙述でありながら、議論のレヴェルを下げることはせず、時間に関する哲学的問題への確かな導きを与えてくれる。 本書は、時間についての三つの問題に答えることを課題としている。第一の問題は、過去が確定しているとはどういうことなのかという問題だ。過去の想起においては、その内容が確定しており、現在の行為によって想起内容が変動することはありえない。これは、想起内容には出来事トークンへの指示が含まれているためだとされる。物トークンは変化するが出来事トークンは変化しない。色白のA氏が日焼けして色黒になることは可能だ。また、解散していた合唱グループが再結成するように、復活することも可能である。だが、出来事トークンについてはこうしたことは生じない。「バン」という音の発生にAという固有名をつけるとする。このAはけっして復活しない。どれほどよく似た音が生じても、それは別の出来事トークンとみなされる。このことが、想起内容の確定性の理由を与えると考えられる。 では、出来事トークンはいつ生じるのか。たとえばA氏という物トークンは、誕生と同時に成立し、変化し、存在する期間が過ぎると消滅する。他方、北京オリンピックという出来事トークンは、開会式から閉会式までのあいだ発生の途上にあり、その期間が完了することではじめて出来事トークンとして成立する。 このことが、なぜ現在から過去への移行を目撃することができないのかという第二の問題への手がかりを与える。現在から過去への経過を見ようとして机を見つづける。だが、現在から過去への移行は観察されない。ところが、「いや待てよ、観察を始めたのは確かに過去のことだ!」と気づくとき、過去が完了し、出来事トークンとして成立するのである。 さらに、完了した過去との対比によって、「過去でないものとしての現在」が、ある程度の幅を持つものとして現われる。これが、現在は瞬間なのかは場を持つのかという、第三の問いへの回答とされる。 こうした著者の立場の根底には、「原型的〈現在〉」という発想があることが明らかにされる。時間的遠近構造をもった私たちの経験の場であるこの〈現在〉において、私たちは同一性をもった物トークンとの出会うことができる。そしてこのことが、世界が時間的に広がりながら「同じ一つの時間」であることを保証すると著者は考えている。

Posted by ブクログ

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