商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 角川書店/角川グループパブリッシング |
| 発売年月日 | 2009/12/25 |
| JAN | 9784044241162 |
- 書籍
- 文庫
ダンタリアンの書架(4)
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ダンタリアンの書架(4)
¥649
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商品レビュー
3.4
11件のお客様レビュー
今回も寄宿学校に行ったり対の本に纏わる物語だったりと個性派揃い。この作品の特性上「○○の書」というタイトルのエピソードが多く含まれるが、そうでないときだって多々ある。特に今回はいつもの法則から外れたようなタイトルのエピソードが個人的に妙に印象に残った。 音楽だったり香りが関...
今回も寄宿学校に行ったり対の本に纏わる物語だったりと個性派揃い。この作品の特性上「○○の書」というタイトルのエピソードが多く含まれるが、そうでないときだって多々ある。特に今回はいつもの法則から外れたようなタイトルのエピソードが個人的に妙に印象に残った。 音楽だったり香りが関わってくるお話だったりと、紙の書籍に直接関わってくる、見る=読むとは少し違った感覚(聴覚とか嗅覚)が関わっていたからなのかな? タイトルからして異質さを感じさせられるけど、でもこの作品特有の幻書に絡めた物語に仕立て上げられていた。
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【収録作品】第一話 「間隙の書」/第二話 「幻曲」/第三話 「連理の書」/断章一 「催眠の書」/第四話 「調香師」/断章二 「屋敷妖精の受難」/第五話 「幻書泥棒」
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“ダリアンは不愉快そうに顔をしかめて、 「この女は、生きたまま腹を裂かれて殺された、というのですか」 「ああ。彼女の死因に不自然なところは何もないよ。これは普通の人間の犯行だ」 ヒューイが素っ気なく説明する。それを聞いて憤慨の表情を浮かべたのはジェシカだった。 「普通の人間の犯行...
“ダリアンは不愉快そうに顔をしかめて、 「この女は、生きたまま腹を裂かれて殺された、というのですか」 「ああ。彼女の死因に不自然なところは何もないよ。これは普通の人間の犯行だ」 ヒューイが素っ気なく説明する。それを聞いて憤慨の表情を浮かべたのはジェシカだった。 「普通の人間の犯行……!?これがまともな人間のやることだっていうの!?」 感情的になって詰め寄ってくるジェシカに、ヒューイは優しく微笑んで、どこか寂しげな口調でぼそりと告げた。 「犯人の精神状態がまともかどうかは僕には判断がつかないな。戦場では、これよりも悲惨な死体をいくつも見たよ」 ジェシカは一瞬、驚いたように動きを止め、 「……あなた、兵士なの?」 「まさか」 ヒューイは、軽く両腕を広げて微笑んだ。 ジェシカは無言で、彼の横顔を見つめた。いかにも育ちの良さそうな貴族風の青年が見せた思いがけない一面に、戸惑っている表情だった。 そんなジェシカの反応を、黒衣の少女が面白くなさそうに横目で睨み、 「普通ではないのは、死因以外のところなのです」 抑揚の乏しい声でそう言った。”[P.23] 「調香師」が一番良かった。挿絵の表情が素敵で泣きそう。 “「人を見た目で判断するから、そのような目に遭うのです」 アルマンは弱々しく肩を落とし、ひどく真剣な顔でぶつぶつと呟き始めた。 「ええ、ええ。そのとおりですよ。これからは慎ましやかで清楚な女性はやめにして、明るく活動的な女性を探すことにします。あと、そうだな、もう少し髪が長いほうが好みだな。ついでに胸も大きいほうが……」 そんなアルマンの様子を眺めて、ヒューイが呆れたように溜息をついた。 「あいつ、まったく懲りてないな」 ダリアンもやる気をなくしたように頷き、 「やつほどの大馬鹿は、どうやら死んでも治らないらしいのです」 「ああ、そうらしい」 ヒューイはそう言って愉快そうに笑った。そんな彼の横顔を見つめて、ダリアンは、不意に泣き出す寸前のような寂しげな微笑を浮かべた。 「死が二人を分つまで……ですか」 「え?」 「なんでもないのです」 ヒューイが振り返ったときには、ダリアンの儚げな微笑は幻のように消え去っていた。 彼女の艶やかな黒髪が、柔らかな月明かりに照らされてきらきらと輝いた。”[P.167]
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