商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 藤原書店 |
発売年月日 | 2009/12/01 |
JAN | 9784894347212 |
- 書籍
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天安門事件から「08憲章」へ
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天安門事件から「08憲章」へ
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天安門広場で起きた中国の民主化運動は、これまでに2回。1976年と、1989年。1976年は僕はまだ出生していない。1989年は遊び盛りの小学生。テレビのニュースはおろか、新聞の記事さえそっちのけの、自分とその周囲数mが、自分の世界。ましてや、天安門事件は、自分の国の事件でさえな...
天安門広場で起きた中国の民主化運動は、これまでに2回。1976年と、1989年。1976年は僕はまだ出生していない。1989年は遊び盛りの小学生。テレビのニュースはおろか、新聞の記事さえそっちのけの、自分とその周囲数mが、自分の世界。ましてや、天安門事件は、自分の国の事件でさえなかった。『対岸の火事』という言葉の歯牙にすらもかからない、違う国ではなく、違う次元の出来事。 大人になり、歴史の紐を解き、ようやくその事件に着目するも、既に20年が経過。とっくの昔に解決したかに思っていた事件。そう思っていたが、その火種は今も尚、暗い帳の中で辛抱強く燃え続け、瞬く間に煙が四散されそうな無慈悲な強風に煽られながらも、『民主化』という煙と共に燃え盛っている。 たとえ風に煽られなくても、煙は自然と空気の中に溶け込み、隅々まで行き渡ることなくその姿を消してしまう。まるで何事もなかったかのように。 僕にとっての天安門事件は、対岸の火事にすらならなかった異次元の世界。今は違う。通信網の発達によって、その詳細を克明にすることが出来る。ただ、まだ日常にニュースを溶け込ませるに至らなかった、僕と同世代の人達は、もしかしたらこの事件を、未だに異次元の事件として捉えているのかもしれない。いや、事件の存在すら皆無なのかもしれない。 2010年12月、中国で初めてのノーベル平和賞にして、初めてのノーベル賞受賞者が誕生した。劉暁波氏。 このニュースを見て、彼のことを知った。逆に言えば、このニュースが無ければ、劉暁波氏のことも、08憲章のことも、ましてや天安門事件で犠牲になった人達の、本当に訴えたかった、叶えたかった願いなど知らなかっただろう。いや、知ろうともしなかったと思う。 かつてのノーベル平和賞の功績を全て記憶しているわけではない。それでも、アパルトヘイトを終息に導いたネルソン・マンデラ氏や、ミャンマーの民主化活動家のアウンサンスーチー氏、冷戦を終結に導いたゴルバチョフ氏のことはよくニュースに取り上げられていた。勿論、ノーベル平和賞を受賞する前から。なのに、劉暁波氏に関しては、それまでの功績は勿論、『08憲章』をネット上に配信したことでさえ、ほとんど公にされたことが無い。きっと僕と同じように(僕だけかもしれないが)、彼のノーベル平和賞の受賞で初めてその存在を知った人が多いように思う。 しかし、それだけ中国の報道・言論の統制が厳しく、また中国の経済成長を当てにして擦り寄る国からすれば、中国の逆鱗に触れるような報道はご法度、といったところだろうか。 彼の文章は、恐ろしく静かで、激情に満ちたところが無い。ただ、あまりにも抱えきれないくらいの、身を切り裂くような悲壮感が漂っている。08憲章の起草者である以上に、誰よりも中国の民主化を望んでいるから。そして、同じように望んだ数多くの人が死に、その屍と魂の上に自分の生があるから、なのかもしれない。 そして彼は、『国家転覆』を企てた罪として投獄されている。 08憲章の内容は、至極真っ当な、民主主義の国に生きるものであれば当然の権利がそこに書かれている。どこかの国のお偉いさんに読ませたいくらいに。 国家転覆ということは、『中国』という国を、自分の私利私欲のために亡き者にしたり、どこかの国に売り飛ばそうとしているのだろうか。しかし、そんな記述はどこにも無い。今の共産党と方向性は違えど、彼とて中国を愛する一人の人間。なのになぜ、一体どこが、その『愛』を『犯罪』と結び付けられるのだろうか。 さらに彼は、民主主義を東アジアでいち早く成し遂げた日本についても、少ないが言及している。彼らが皆笑顔で陽の光の下で暮らしていけるために、僕達には何が出来るだろう。そしてその考えは、いずれ自分達の国とその未来を作るきっかけにもつながる。 厳しく険しい道のり。簡単には見つからなくても、必ずどこかに、その突破口があるものと信じたい。
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私たちが想像を絶するやり方ですが、もともとデモも集会も禁止されているはずなのに、命令一下、傭兵のように反日デモを繰り広げる学生たちが数千という異様な光景。このやらせに何の意味を負荷しようというのでしょう。 このたびの劉暁波のノーベル平和賞受賞をどう受け止めるのかは、今の中国の世...
私たちが想像を絶するやり方ですが、もともとデモも集会も禁止されているはずなのに、命令一下、傭兵のように反日デモを繰り広げる学生たちが数千という異様な光景。このやらせに何の意味を負荷しようというのでしょう。 このたびの劉暁波のノーベル平和賞受賞をどう受け止めるのかは、今の中国の世界の中での立場性をどうしていくのか、ということだと思います。 つまり、非難ごうごうでもあくまで制覇大国主義でごり押しするのか、それとも責任ある良識的なリーダーシップを発揮する思想的・経済的に優れた中国として浮上するのか、その試金石なのだというのが、どうやら当の本人たちはわかっていないようですね。 百歩譲って、たとえば純粋に社会主義国家から共産主義共同体へ移行しているような過渡期の中国でもしあるなら、頑なに対資本主義陣営への対抗策としての極端な民族主義的鼓舞や団結を扇動する古臭いやり方も、一応の正当性があるかも知れませんが(それも相当なアナクロニズムですが)、どうみても世界中が周知のように、社会主義とは名ばかりで共産党がすべての反対意見を封じ込めて、党の幹部たちが裕福なのはあらゆるビジネスチャンスにも恵まれているという階級差別が厳然と存在し、挙句の果ては、極端な資本主義の導入で、金儲けのためには公害は垂れ流し、食品汚染は平気、少子化政策逃れは多く生まれても出生届を出さず、などという規制も統制も出来ず人民の数も把握できていない近代国家としての体もなしていないようなひどい有様です。 私たちは、古来より文化・思想・宗教だけでなく、日常生活のあらゆる場面で中国から恩恵を受け、影響を元に独自の発展を遂げて来た者として、けっして争うなどということが二度とあってはならないと思い、友好以外の何も望んではいません。 中国には、この劉暁波のような真に民主的な行き方を志向している人が大勢いて、一部の首脳部の古臭い頑固なやり方をする人たちに反対しているのだと思います。 試金石といい、良い方向にむかうことを渇望してはいますが、ふと頭をよぎるのは極端な例です、彼は国家転覆罪の犯罪者なのですから、国家としてはいつ死刑にしても当然の行為、世界中の世論を無視して強行に実施するようなことがないとも限りません。そういう底知れぬ恐怖的なものを今の中国には感じます。どうか単なる心配で終わってほしいと願うばかりです。
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目次 天安門事件と「08憲章」を一つにする存在―序にかえて 子安宣邦 劉暁波について 及川淳子 Ⅰ〈詩〉天安門事件―墳墓からの叫び 劉暁波 十七歳へ 〔2周年を迎えて〕 記憶 〔6周年を迎えて〕 ぼくのからだのなかの天安門事件 〔12周...
目次 天安門事件と「08憲章」を一つにする存在―序にかえて 子安宣邦 劉暁波について 及川淳子 Ⅰ〈詩〉天安門事件―墳墓からの叫び 劉暁波 十七歳へ 〔2周年を迎えて〕 記憶 〔6周年を迎えて〕 ぼくのからだのなかの天安門事件 〔12周年を迎えて〕 六四、一つの墳墓 〔13周年を迎えて〕 Ⅱ 天安門事件の真相隠蔽に抗する―中国民主化の原点 劉暁波 忘却に対する記憶の闘い 〔15周年を迎えて〕 「天安門の母たち」―受難が生んだ高貴で堅固な思想 歴史の真実を恐れる独裁権力 〔17周年を迎えて〕 文化大革命から天安門事件まで―中国民主化の挫折 これは「住民虐殺」である―真の友好は真相究明を求めること 〔18周年を迎えて〕 「転換期の正義」―変革に暴力革命は必要ない 〔18周年を迎えて〕 Ⅲ 希望は民衆の自治・共生にあり―中国民主化への突破口 劉暁波 寛容精神にもとづく抵抗に無力な独裁権力「箱舟教会」 一人一言の真実が独裁権力を突き崩す―言論の自由こそ民主化の出発点(及川淳子訳) 四川大震災の受難に見る希望の光―民間による自発的な自治・共生(及川淳子訳) 民間組織はすべて「非合法組織」なのか―結社の自由をめぐって Ⅳ「08憲章」とは何か―中国民主化の方途 「08憲章」(全文)(及川淳子訳) 我々と劉暁波を切り離すことはできない―劉暁波を釈放せよ(及川淳子訳) アジアにおける「08憲章」の意義 余傑(及川淳子訳) なぜ私は「08憲章」を支持するのか 子安宣邦 編者解説 劉燕子 編者あとがき 劉燕子
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