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キーワード30で読む 中国の現代史
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キーワード30で読む 中国の現代史

田村宏嗣【著】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 高文研
発売年月日 2009/10/01
JAN 9784874984291

キーワード30で読む 中国の現代史

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2009/11/17

 タイトルは「中国の現代史」となっているが、主に「中国の外交・政治史」といった感の内容になっている。30の項目に分類されており、独立にそれぞれ完結しているので興味のある項目だけを読むこともできる作りになっている。また著者が北京大学留学経験、元朝日新聞北京・台湾・シンガポール特派員...

 タイトルは「中国の現代史」となっているが、主に「中国の外交・政治史」といった感の内容になっている。30の項目に分類されており、独立にそれぞれ完結しているので興味のある項目だけを読むこともできる作りになっている。また著者が北京大学留学経験、元朝日新聞北京・台湾・シンガポール特派員だったこともあり、経験談等も交えてリアルに雰囲気が伝わるように配慮されている。  30項目の内、主に日本との関係性で話が展開する項目の主な内容を挙げると「抗日戦争」「日中国交正常化」「教科書問題」「靖国問題」「天皇訪中」「対中ODA」等が取り上げられている。「抗日戦争」以外はほぼ今現在の政治の話の範疇といっても過言ではないだろう。  日本との関係性における歴史事項を一つ一つ指摘していくと際限がなくなるが、本書を通じてうつし出される歴史観は現代の日本人(戦後の学校教育を受けているであろう世代)が学校で習った内容とほぼ合致しているといえるだろう。   細かい疑問点等は読者の持っている知識背景で様々になってくるであろうが、私が見た限りで気づいた点を挙げてみる。  まず南京大虐殺に関して現状では「あった」「なかった」両方の見解があり、「あった」とする側でも人数規模に様々な見解があるようだが、本書では中国の教科書ではとの前提付きで「南京大虐殺30万以上」と記載されていることを紹介し、異論には一切触れられていない。  また近年新しい史料が出てきて見解が変わってきている歴史事項に関しても新しい変更を加えたような見方は特に無く、従来通り(学校教育的歴史)の歴史観に徹している印象を受けた。  日中関係以外の他国間関係(中ソ、中越、中台、中米)も取り上げられているが、日中関係と比較すると冷静な分析であると感じたが、常に親中国スタイルの記述では一貫している。中朝関係のみを扱った項目が皆無だったが、「人海戦術」という項目が事実上朝鮮戦争に関する話となっており、ここが唯一中朝関係史となっている。中国ではこの戦争のことを「抗美援朝戦争」と称しており、この戦争で延べ300-500万人を動員し、装備面での劣勢を人数でカバーしたことから、「人海戦術」となっている。ちなみに、抗美の美とは美国=米国のことである。  一方、中国の国内に関する歴史記述の概略は主に国共内戦から、中華人民共和国成立、そして初期の共産党を中心として民主系も含めた連合政権があったこと、文化大革命を経て中国共産党一党独裁になり、経済的側面だけを社会主義から開放する政策へと変遷していく様を綴っている。その間中国を主導した人物をいえば、文化大革命までが毛沢東、文革後の改革開放から90年代までが鄧小平、そして現在の中国ということになるだろうか。  再び日中関係になるが、日中国交正常化以降の問題に関しては右派左派中道さまざまな視点からいろいろな憶測が出されて分析されている事項ではあるが、あまりにも新しい話題であるため政治的裏事情が史料として公開されてない部分が多い為にかえって表面的な事実のみを伝えている感が否めない内容であると感じた。  本書の最後30番目の項目として、昨年から今年にかけて起こったデモを取り上げて、チベット・ウイグル問題が記述されているが、背景説明等触れるべき範囲や表現等苦慮が伺われる内容となっていた。デモや騒乱による死傷者数等のデータは中国当局発表とチベット・ウイグル側発表の双方の数字を並べるような配慮はされていた。  他に、比較的近年の話題として、北京オリンピックが取り上げられてはいたが、中国当局による法輪功弾圧事件も近年の話題の中では無視できない大事件だと思うのだが、取り上げられていなかった。  本書全般に言えることであるが、項目毎に数ページの読みきりスタイルであることもあり、各項目の深い背景説明や事情の記述にいまひとつ不足は感じたものの、中華人民共和国60年の歴史を概観するのには最適な読みさすさに仕上がっていると感じた。ただ、個別の歴史事項に関しては本書に限らず歴史物全般にいえることであるが、何冊かの様々な立場からの本・情報に当たって無矛盾であることを素人眼にも最低限の事実認定ラインとしたいと感じる。

Posted by ブクログ

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