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新しい労働社会 雇用システムの再構築へ 岩波新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2009/07/24 |
JAN | 9784004311942 |
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新しい労働社会
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商品レビュー
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濱口圭一郎さんは、今や世の中に一般用語として受け入れられた「メンバーシップ型雇用」「ジョブ型雇用」という用語を初めて使われた方で、キャリア官僚、大学教授などを経て、今は独立行政法人労働政策研究・研修機構の研究員。 本書は、2009年発行であり、私の記憶が間違っていなければ、濱口さ...
濱口圭一郎さんは、今や世の中に一般用語として受け入れられた「メンバーシップ型雇用」「ジョブ型雇用」という用語を初めて使われた方で、キャリア官僚、大学教授などを経て、今は独立行政法人労働政策研究・研修機構の研究員。 本書は、2009年発行であり、私の記憶が間違っていなければ、濱口さんが、「メンバーシップ型」「ジョブ型」という用語を使われるようになる前の著作だ。 職務を特定しないまま労働契約を締結することが、日本型雇用の本質である、と筆者はまず主張されている。数十年前、大学を卒業し入社した会社では、入社研修が終わり、「配属式」と呼ばれる式で配属先の発表を受けるまで、自分はどこで、どんな仕事をするのか分からなかった。今でも、新卒として比較的規模の大きな会社に入るとそういう状態のはずだ。説明の詳細は省くが、この日本型雇用システムにより、ある意味で、労働者がしわ寄せを受けているのではないか、というのが、本書の主張のメインの部分だ。 それは、色々ある。 日本的な長期雇用(終身雇用)を社会の仕組みとしてキープするために、労働者は、会社の決定により勤務場所や職務が決められる。それは、望まない転勤を招いたりする。特に家族持ちの場合には生活に対しての影響は大きい。しかし、判例では、相当な部分まで、労働者は会社の命じる転勤に従うべきであるという判断がくだされたりしている。そのようなことは数多い。 本書は、どちらかと言えば、そういった問題を、労働「行政」「法制」「政策」の視点で論じたものであり、割合と実際的・実務的な話が多い。人事管理の仕事等に関係している人にとっては、頭の整理にもなる。
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「正社員と非正規労働者、中高年労働者と若年労働者、男性労働者と女性労働者など、さまざまな労働者内部の利害対立」においては、利益配分問題よりも不利益配分問題が問われており、「様々な利害関係者の代表者が参加して、その利益と不利益を明示して堂々と交渉を行い、その政治的妥協として公共的...
「正社員と非正規労働者、中高年労働者と若年労働者、男性労働者と女性労働者など、さまざまな労働者内部の利害対立」においては、利益配分問題よりも不利益配分問題が問われており、「様々な利害関係者の代表者が参加して、その利益と不利益を明示して堂々と交渉を行い、その政治的妥協として公共的な意志を決定するというステークスホルダー民主主義」の必要性を説く。その場合、不利益な側(弱者)が堂々と意見を明確に示し、それが配慮されなければいけない。不利益を分かちあい、あとは、公的保証にゆだねるなりのセーフティネットが必要となるだろう。 この方向へと進んでゆくのに、日本的パートナーシップ型雇用形態(同氏による『ジョブ型雇用社会とは何か』によると、日本以外はジョブ型であるという)は、適切な形態ではない。なぜなのか。 日本では「雇用契約で職務が決まって」おらず、「ある職務に必要な人員が減少しても、別の職務で人員が足りなければ、その職務に移動させて契約を維持することができ」る。つまりジョブ型では職務によって雇用されるが、パートナーシップ型では、文字どおり、企業のパートナー(?)として雇用される。そして、前者では、職務と技能水準で賃金が決められるのに対して、後者においては、「企業のメンバーとしての忠誠心が求められる」という観点から、人事査定が行われている。これでは、労使関係の力関係で、「使」側が優位であることは、明白である。 そして、非正規労働者は「ジョブ型」の雇用形態であるから、パートナーシップ型雇用形態では、正規労働者との「同一労働、同一賃金」への道のりは困難であろう。 また、パートナーシップ型では、あらかじめ技能をそなえておく必要はなく、技能習得は企業が担っている。そして、さまざまな職種を経験した中高年労働者は、忠誠心が人事査定で評価される、ということになり、生活・年齢給として給付される。ここに日本独自の企業別労働組合の優位があり、職務・職種別労働組合の根付かなさがある。 ステークスホルダーとは「利害関係者」のことであるが、「会社は株主、労働者、取引先、顧客などの利害関係者の利害を調整しつつ経営される」という「ステークスホルダー的資本主義」が提唱されている。では、労働者内での正規と非正規の利害対立は?
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「ジョブ型雇用」みたいな関心で、著者の本を読み始めて、3冊目。 内容的にはこれまで読んだものとの被りはあるものの、あらためて日本の労働の現状を理解できた。 著者の他の本とも共通することだが、本のタイトルと内容が今ひとつフィットしない感じがある。 未来にむけての提言部分よりも...
「ジョブ型雇用」みたいな関心で、著者の本を読み始めて、3冊目。 内容的にはこれまで読んだものとの被りはあるものの、あらためて日本の労働の現状を理解できた。 著者の他の本とも共通することだが、本のタイトルと内容が今ひとつフィットしない感じがある。 未来にむけての提言部分よりも、現状の問題点の分析というほうに力が入っていると思う。 著者は、空想的なビジョンではなく、現実に根ざした取り組みを主張しているようなので、それは仕方がないといえば、仕方がないのだが、なにかもう一つなにかがほしい気がしてしまう。
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