商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2009/04/10 |
JAN | 9784480092045 |
- 書籍
- 文庫
精神科医がものを書くとき
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精神科医がものを書くとき
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【目次】 Ⅰ 精神科医がものを書くとき わが精神医学読書事始め 宗教と精神医学 私に影響を与えた人たちのことなど 近代精神医療のなりたち 知られざるサリヴァン Ⅱ 統合失調症問答 統合失調症についての自問自答 公的病院における精神科医療のあり方 精神保健の将来について ...
【目次】 Ⅰ 精神科医がものを書くとき わが精神医学読書事始め 宗教と精神医学 私に影響を与えた人たちのことなど 近代精神医療のなりたち 知られざるサリヴァン Ⅱ 統合失調症問答 統合失調症についての自問自答 公的病院における精神科医療のあり方 精神保健の将来について Ⅲ 微視的群れ論 危機と事故の管理 エピソード記憶といわゆるボケ老人 「いいところを探そう」という問題 家族の方々にお伝えしたいこと ストレスをこなすこと 成長と危機の境界――相互作用とカタストロフィーの力学 あとがき 解説「システム」に拮抗する「箴言知」(斎藤環)
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中井久夫さんは、精神科医でありながら人文科学への造詣が深く、好きだ。元々京大の法学部に入学したが結核に罹って、確か就職に不利だとかでいわゆる理転をして医学部に入り直したという、文理両刀型の才人である。 斎藤環さんがあとがきで述べているように、中井さんは常に歴史を参照される。本書で...
中井久夫さんは、精神科医でありながら人文科学への造詣が深く、好きだ。元々京大の法学部に入学したが結核に罹って、確か就職に不利だとかでいわゆる理転をして医学部に入り直したという、文理両刀型の才人である。 斎藤環さんがあとがきで述べているように、中井さんは常に歴史を参照される。本書では精神医学と宗教の歴史的関係性、感染症の歴史等が分かりやすく語られる。 人類は、ペスト、梅毒、コレラ等の感染症によって定期的に大量の人口を失ってきた歴史を持つ。14世紀に流行したペストでは4年間で2億人、1520年の天然痘は5000万人の死者を出した。一方、COVID-19の死者数は約3年間で685万人。決して少ない数ではないけれど、過去の感染症事例に比べれば、テクノロジーの進歩ーー医療技術に加えチャットツール等の「距離を克服する」技術ーーによって死者数を抑制することに成功している。中井氏は感染症の歴史を引き合いに「距離を克服することは危険を伴うこと」と述べるが、進歩し続けるテクノロジーは我々の歴史に地殻変動をもたらしている。 所謂、日本の昭和~平成初期のサラリーマンのキャッチフレーズ、仕事観ーー「猛烈社員」「24時間働けますか」ーーは太平洋戦争で形成された価値観ではないかと中井氏は言う。それ以前の日本人というのはもっと気楽に働いていた。戦時下の「お国のために」という総動員法が、会社への滅私奉公スピリッツ、勤勉なワークスタイルへとシームレスに引き継がれた。「みんな、戦争の時の例外的な労働慣習をそのまま持ち越して、今日まで来たと思うのです」(p309) 日本人特有の働きすぎによって精神を病む人々が後を絶たないというのは、つまるところ、日本はまだ潜在的に戦争の後遺症を引きずっているということなんじゃないか。そう考えると空恐ろしい。戦争体験者が戦争を知らない世代へ、そういうスピリッツを意識的ないし無意識的に引き継いで縮小再生産されてきた。働き方改革等の制度はできても人々の意識や思想はなかなか変わらない。しかし、数世代先になるとだいぶ希釈されて過去の遺物になっているかもしれない。例えば「武士道」というスピリッツを、現代の我々は何となく理解しているが身体化されていないのと同じように。 ある民族の精神の傾向というのは、風土、気候、政治体制等色んな条件によって形成され、変化していくのだと思うが、戦争のような大きな外的要因が加わるとと、一気に負荷がかかって変形するのかもしれない。 ○メモ ○精神科医がものを書くとき 15.書くこととは…表現衝動の減圧 「弱さによって」(ヴァレリー) フィロバティズム(対象の道具化、甘えの拒否)とオクノフィリア(対象への固執、甘えの病理的形態) byバリント ○宗教と精神医学 31.西欧精神医療の起源 体制側の医学、非宗教的(施設収容)と悪魔払い起源(自然神学) ○私に影響を与えた人たちのことなど 56.精神病院の建物 自殺予防の建築学 ○近代精神医療のなりたち 62.日本の歴史の分岐点 応仁の乱前後、1960年頃(文化のパラダイムシフト) 江戸時代「医は仁術である」(儒教者が医療にあたる、×神官、仏教) 67.西欧医療の歴史 カウンセラーとしての哲学者 70.感染症の歴史 ○統合失調症についての自問自答 140.治療は科学ではないと思う 定石を超えたところからプロフェッショナルな人間としてのしごとがはじまる 152.夢は心の消化器 ○公的病院における精神科医療のありかた 160.社会的事例性 171.精神医学の歴史 183.精神の影が脳であり、脳の影が精神である。心は精神から出発し身体や環境を含めたもの ○精神保健の将来について 191.病院が満床率を気にした結果、入退院を遅らせる結果に ○微視的群れ論 205.人間は7,8人の群れが最適 中間的な群れ(30人くらいのクラス)が一番苦手 209.芝居っけのある都市 211.人間とは孤独ではあり得ないが、かといって群れの中でも安心できない不思議な生き物である(バートランド・ラッセル) 215.群れることは触れることから始まる ○危機と管理 240.自殺に向かうひとの行動傾向 250.往診のリアル ○成長と危機の境界 308.日本の滅私奉公スピリッツ 太平洋戦争以後 314.距離が相互作用を阻止する
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わかりにくいことはわかりにくいままで 体系化するということは例外を捨象することだから 自分の能力を過信せず、患者に真摯に向き合う その、中井先生の真摯な姿勢が何より感じられる。 個別の記述内容より、それこそ多く学びのある本著の要素だ
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