商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 角川書店/角川グループパブリッシング |
発売年月日 | 2009/02/24 |
JAN | 9784041315330 |
- 書籍
- 文庫
あゝ、荒野
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あゝ、荒野
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商品レビュー
3.7
21件のお客様レビュー
屈託を持った登場人物たちが織り成す群像小説(筆者はジャズ的だと言っていた)です。 正直、小説としての仕上がりは不十分であると思います。 ただ、この小説にはその不十分さを大きく上回るものがあります。 寺山修司の熱意やエッセンスが煮詰まっているみたいです。 六十年代の主に新宿を舞...
屈託を持った登場人物たちが織り成す群像小説(筆者はジャズ的だと言っていた)です。 正直、小説としての仕上がりは不十分であると思います。 ただ、この小説にはその不十分さを大きく上回るものがあります。 寺山修司の熱意やエッセンスが煮詰まっているみたいです。 六十年代の主に新宿を舞台にしていて、そこには「生のるつぼ」「生のジャングル」「生の荒野」…なんと言うか、生きることに対する人間のドロドロとしたマグマが渦巻いているような小説です。 小説の後半に出てくる、新宿の朝方を描いた詩のような描写部分は白眉の出来でした。
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若い頃の青臭さといったら目をそむけたくなる。夢や妄想で頭がいっぱいになって高揚したり落ち込んだり、心と体が同時に異性を求めて悶々としたり。 「コンプレックスを抱えることは普通のことなんだよね」って大人の階段を踏み外しながらもちょっとずつ昇ってる今となっては微笑しながら言える。だけ...
若い頃の青臭さといったら目をそむけたくなる。夢や妄想で頭がいっぱいになって高揚したり落ち込んだり、心と体が同時に異性を求めて悶々としたり。 「コンプレックスを抱えることは普通のことなんだよね」って大人の階段を踏み外しながらもちょっとずつ昇ってる今となっては微笑しながら言える。だけど10代20代の若い頃なんて「なんだ自分だけこんなに悩んでるんだ」ってつい考えてしまう。 いつの時代でも人間の本性なんて同じなんだね。みんな一見普通に見えても、心の中はいろんな「ひずみ」を抱えている。 いやあしかし、やっぱり古臭さは否めない。どんなに新しい油も古くなると黒ずんでくる。いくらテラテラピカピカ輝いていても、時間がたてば劣化する。時間の暴力から逃れられるものなんて何ひとつない。時間の暴力にさらされたアンティーク小説、といってもいいと思うけど、だからといって読む価値がないなんて言わないよ。 「何かを見ないために目を閉じる奴もいるかも知れない。しかし、俺は見るために目を閉じるのだ」と禅問答のような分かったような分かんないような部分もあるけど、令和にはない世界観、空気感、「こんな時代も昔の日本にはあったんだなー」という遺伝子レベルでの懐かしさで温められたぬるま湯に、じんわりと足元を浸しているような心地良さもあるんだよね。それと、だいぶ変わってるけど憎めない登場人物たちにちょっと共感したりもする。 この小説の世界観は一過性のものかも知れない。でも人間の本質が今も昔もたいして変わんねえな、っていうありふれてるけど大切な何かがこの場所にはある。そんな気がする。
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詩人、劇作家、映画監督、写真家等、マルチに活動し47歳で逝去された寺山修司さん。 本書は1966年に刊行された著者唯一の長編小説です。ボクシングに関わる2人の若者と、周辺の人間模様が描かれ、中心に2人の絆、友情、成長、そして逃れられない宿命を置いた物語です。 寺山修司さん...
詩人、劇作家、映画監督、写真家等、マルチに活動し47歳で逝去された寺山修司さん。 本書は1966年に刊行された著者唯一の長編小説です。ボクシングに関わる2人の若者と、周辺の人間模様が描かれ、中心に2人の絆、友情、成長、そして逃れられない宿命を置いた物語です。 寺山修司さんといえば、1968年から連載が始まった『あしたのジョー』の主題歌の作詞を手掛け、ジョーのライバル・力石徹が死亡した際に、実際に喪主として葬儀を執り行い、弔辞を述べるという、今では信じ難い逸話もあります。 『あしたのジョー』がもつ若者の孤独、友情、挫折、再生といった普遍的なテーマが、何となく寺山修司さんの生き方と重なる気がします。 1960年代、新宿の猥雑な雰囲気とネオンを荒野に喩え、プロットも作成せずに即興描写による実験的手法作品とのこと。 全15話の冒頭に巻頭歌(?)が添えられ、ふんだんに名言・詩・流行歌等の引用がありますが、直接物語との関係性は? とやや困惑し‥。個人的には、その既成概念を壊すような挑発、退廃的な性、薄暗い新宿の土着文化が多い描写になかなか入り込めませんでした。泥くさいのはいいのですが‥。 寺山さんの遊び心が散りばめられ、時代と著者の考証には欠かせない作品には違いないと思います。
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