日本の国際政治学(3) 地域から見た国際政治

日本国際政治学会【編】

• 販売会社／発売会社: 有斐閣
• 発売年月日: 2009/02/15
• JAN: 9784641010284

商品レビュー

2021/05/04

地域研究と国際政治学は外部世界への関心というところでは同一であるが、出自や発展経路が異なり、近縁でも遠縁でもあるような複雑な関係にある。戦後に米国で学んだ日本人が地域研究を輸入したが、米国では衰退した地域研究が日本では独自の発展を遂げた。
各章はナショナリズム、紛争、欧州の地域主義、中国、ASEAN、中東、イスラーム等の宗教、アフリカ、ラテンアメリカ、中域ユーラシア、アメリカのそれぞれの地域研究のまとめ。

2012/01/31

地域研究と国際関係はライバルでもありパートナーでもある。
国際政治学は国家、地域間の関係性や外交文脈の解明に関心を持ち、地域研究が特定の国家や地域の内的文脈の解明に関心がある。

地域研究は政治学、国際政治学、法学、経済学、社会学、文学などの伝統的に学問体系が確立する分野とは異なり、あくまでも研究の方法論であって、学ではないとの批判がつきまとう。

20世紀の学術研究としてアメリカを中心に地域研究が形成された背景には超大国が新しい世界政策を必要としたという事情があった。その背景には19世紀以来の西欧の帝国主義的な進出とそれに伴う膨大な知識の集積にあった。

最近の欧米の中東研究においては理論中心の国際政治学とフィールド研究中心の中東地域研究の乖離を深刻視する議論が盛ん。