商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2008/10/27 |
JAN | 9784101331720 |
- 書籍
- 文庫
自壊する帝国
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自壊する帝国
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商品レビュー
4.2
55件のお客様レビュー
思想の左右問わず、佐藤氏に引き寄せられる人物と佐藤氏とのやり取りは、それを隣で聞いているかのような緊張感で読み進められた。 私も外国で数年間暮らしたことがあるが、佐藤氏ほどその国の人の懐に飛び込めたとおもった経験はそうそうない。佐藤氏の場合、キリスト教に対するバックボーンに加え、...
思想の左右問わず、佐藤氏に引き寄せられる人物と佐藤氏とのやり取りは、それを隣で聞いているかのような緊張感で読み進められた。 私も外国で数年間暮らしたことがあるが、佐藤氏ほどその国の人の懐に飛び込めたとおもった経験はそうそうない。佐藤氏の場合、キリスト教に対するバックボーンに加え、相手の思想に対して先入観を持たず、一人の人間として対峙しようとしていることが、赴任先で出会った人々の心を光らせる武器になったのだろう。 ソビエト連邦の仕組みやキリスト教の思想史などの知識があれば、より楽しめたと思われる。
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四読目、かな? やはり今回もサーシャさんの印象が強い。 神通力とでも言うべきか、深い知識と広い視野が基礎としてあれば、ここまで精度の高い未来予測が可能となるのか? なるほど、確かに「天才」だったのだろう。 あとアルクスニスさん、ポローシンさん、シュベードさん辺りも印象に残ったか...
四読目、かな? やはり今回もサーシャさんの印象が強い。 神通力とでも言うべきか、深い知識と広い視野が基礎としてあれば、ここまで精度の高い未来予測が可能となるのか? なるほど、確かに「天才」だったのだろう。 あとアルクスニスさん、ポローシンさん、シュベードさん辺りも印象に残ったかな。 まあとはいえ、今作の「視点人物」である佐藤さんだからこそ、この「物語」は描けたのだろう。 ソ連(ロシア)の大使館を拠点に現場で活動する外交官として、まずはモスクワ大学で、自らの専門知識と好奇心だけを携えて舞台を拡大していく。 そういえば、「外交官には好奇心が必要だ」と、いくつかの外交本で読んだ気がする。 そのことが本書で分かりやすく描かれていた、とも言えるであろう。 当時のソ連の社会とか、ロシア人を含む様々な民族の人たちの生き様や人間模様、あるいは「歴史的な国際的大事件」を内側から観察し、何が起きているのかこれからどうなるのか分からない状況でリアルタイムで判断・行動しなければならない大変さを疑似体験できたりとか、まあ色々見どころはあるわけだけど……。 かなりの良書なのは間違いないと思う。 今回も良い読書をした。良い時間を過ごした。 時間を置いて、また読み返したい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ウクライナ戦争でにわかにロシアやクレムリンの論理が騒がれており、積読棚から本書を引っ張り出しました。 とても面白い作品だと思いました。 著者の外務省入省から始まり、イギリスでの研修時代を経てロシアに赴任、ソ連崩壊前後を濃密なタッチで描いています。 イギリス研修時代に出会った裏の顔を持つ亡命チェコ人、ロシア赴任後に出会った知的だが個性の強烈な人々との交流。そしてロシアはペレストロイカを経て崩壊に向けて激動の時代に突入していきます。著者はその当事者として、その出来事を克明に記します。 内容的にはドキュメンタリーの部類に入るのでしょうが、その筆致は多分に物語調。そして登場人物たちはクセが強い一方で非常に魅力的に描写されており、読んでいて感情移入します。 著者の外務官としての職務もまるでスパイのようで刺激的。おそらく活動内容や事件・出来事の表現は盛られていることでしょう。しかしそれを割り引いても国際政治の壮大な物語を語られているようで、かなり面白く読むことができました。 またなによりもロシアやその他ソ連圏諸国の制度、風習、文化(特に食文化)に触れている点も特徴的だと思います。 著者はこれら懐かしい過去を愛おしく振り返っているように感じます。ソ連圏の人間や習慣だけでなく(何となく謎めいているが、観念的でシンボリックな)政治状況も含めて、ソ連圏での生活のほとんどが彼にとってはしっくりくるものだったのでしょう。 ある本で、ハルピンや奉天の特務機関長を歴任した土肥原賢二の行動を指して「外務・軍官僚はしばしば任地を偏愛する」と評しました。個人的にこれは著者にも当てはまるのだろうと思います。 ただそれだけに彼のロシアでの生活描写については非常に読みごたえがありました。
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