樋口一葉 新潮日本文学アルバム3

前田愛(編者), 河野多恵子

• 販売会社／発売会社: 新潮社
• 発売年月日: 1985/05/20
• JAN: 9784106206030

商品レビュー

2024/10/12

樋口一葉の生涯とその作品世界をビジュアルでたどる。貴重な資料が盛りだくさんで一葉への思い入れがいっそう深まった。
写真に添えられている解説もたいへん有益だった。『たけくらべ』のとくに解説は、小説評論として深い内容で、作品理解に役立った。

末尾に河野多恵子氏の小論も良かった。「彼女の創作衝動は、誇り高く、勝ち気で、不如意な女である自分の気分の解放衝動なのである」。
一葉は、書かずにはいられなかった。士族の誇り、古典文学の素養、勝ち気な性格、一方で女世帯で貧困にあえぐ暮らしぶり。明治社会の矛盾の只中で、彼女の創作衝動が奇跡の期間を作り出した。

2020/10/17

「新潮日本文学アルバム№３　樋口一葉」、１９８５．５発行。明５（１８７２）３．２５（新暦５．２）～明２９（１８９６）１１．２３、結核で病没（２４歳）。早逝の文学者は多いですが、樋口一葉はその筆頭でしょうか。立原道造２５、透谷・啄木２６、中也３０、梶井基次郎３１、中島敦３３、芥川龍之介３５・・・。本郷菊坂町に住んでたそうですね。短い生涯に、２２編の短編、数10冊の日記、４０００首超の和歌を残したと。葬儀の会葬者は10数名。陸軍軍医の制服に騎乗での葬列参加を申し出た鴎外は妹の邦子から丁重に断られたそうです。
　現代語訳があるので、「にごりえ」（明２８．９）、「たけくらべ」（明２９．４）、読もうと思います。