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火を熾す 柴田元幸翻訳叢書ジャック・ロンドン

2,310円
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | スイッチパブリッシング |
発売年月日 | 2008/10/02 |
JAN | 9784884182830 |
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火を熾す
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商品レビュー
4.3
49件のお客様レビュー
“何しろひどく忙しいものだから、一人よるべなく雪の中に残っている祖父を思いやる暇はなかった。野営を畳まねばならないのだ。長い旅路が待ち、短い日は留まってくれぬ。死ではなく生が、生の責務が彼女を呼んでいる。そして彼は、死のすぐそばまで来ていた。”ー『生の掟』ー ずいぶん久しぶりに...
“何しろひどく忙しいものだから、一人よるべなく雪の中に残っている祖父を思いやる暇はなかった。野営を畳まねばならないのだ。長い旅路が待ち、短い日は留まってくれぬ。死ではなく生が、生の責務が彼女を呼んでいる。そして彼は、死のすぐそばまで来ていた。”ー『生の掟』ー ずいぶん久しぶりにジャック・ロンドンを手に取った。といっても「野生の呼び声」を読んだときのイメージしか思い出せない。 それでも、表題作の「火を熾す」を読むと、これぞロンドンという思いが湧いてくる。 昼中も日が昇らぬアラスカの雪原にて、凍死寸前の切迫した状況で焚火を熾そうとする男の苦闘が、直に見たまま、触れたままの体験として伝わってくるかのよう。 無駄な情感や過剰な情景描写を削ぎ取って描く文章には迫力と緻密さが同居しており、引き込まれる。 闘う相手は、無情なアラスカの自然であったり、ときには老いたボクサーの持てる技術と経験でも押し留められぬ若さからの挑戦であったりする。 力一杯闘い、敗れる。 その単純さに魅了されながら、人とはそれだけではないとの思いも浮かぶ。 冒頭に引いた『生の掟』の主題は、自然の摂理や厳しさというよりも、敗北が運命付けられた人という存在が示す心の移ろいや死生観なのではないか。 『生の掟』では、飢饉の年に養い口を減らすために置き去りにされる老人が描かれる。 一族の前では超然とした態度を示すものの、老人の心には生きることへの未練がまだある。しかし彼に残された時間は、せめてもの配慮で置かれた薪の量と一致している。 “命は何束かの木切れで量られる。一束、一束と火にくべられ、そうやって一歩一歩死が近づいてくる。最後の一本がその熱を明け渡すとともに、無情な寒さが力を帯び始めるだろう。” 老人の心に去来するもの。 彼が闘い殺した人。 かつて置き去りにした父親。 子供の頃に見た、狼の群れ相手に驚異的に闘って最期を迎えた老ヘラジカ。 覚悟を決めた老人は抗わずに死を受け入れる。 取り巻く狼たちに、己れの命を差し出すようにして。 それは動物としての本能に背く行いだ。 戦わないことは、老いることは、弱さであり敗北なのか。 いや、ここでは運命を受容する老人の尊厳を描いていると考えたい。 彼は長い人生で十分に戦ってきたのだから。 ロンドンらしく、そしてロンドンらしくないような、『生の掟』が最も心に残った。
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火を熾す (柴田元幸翻訳叢書―ジャック・ロンドン) 火を熾す|To Build a Fire 極北でのサバイバル。凍傷との戦い、火の価値。 メキシコ人|The Mexican ボクシングをしながら革命の資金稼ぎをする純粋な青年の夢。 水の子|The Water Baby ハワイイの伝説と漁師の知恵。 生の掟|The Law of Life 極北版姥捨て山の物語。 影と閃光|The Shadow and the Flash 意味通り終生のライバルの物語。 戦争|War 晴れやかな戦闘の影のやるせない戦いとその末路。 一枚のステーキ|A Piece of Steak 老いたボクサーの哀歌。 世界が若かったとき|When the World Was Young 二重人格の苦労と苦悩。 生への執着|Love of Life 極北の地でのサバイバル。「火を熾す」と対照的な結末。 正直言って、100年前の作品ですが、とても胸を打つものばかりです。自らの厳しい体験を元にしているようですが、それにしても力強い物語です。やはり、想像力で書くのと体験をふまえて書くのでは迫力が違うのかもしれません。どちらかというと日本の時代もの物語と共通している部分があるかもしれないなと感じました。命が今とちがって軽かった時代、だからこそ登場人物の生きる厳しさが表現できるのかもしれないなどととりとめのないことを考えている竹蔵です。 骨太な物語をご所望の方は是非ご一読を。 竹蔵
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#93奈良県立図書情報館ビブリオバトル「救い」で紹介された本です。 暁天ビブリオバトルと題して南都七大寺の大安寺で7時30分から実施しました。 2018.8.18 https://m.facebook.com/events/213162002701618?view=permalink&id=235562167128268
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