商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2008/08/29 |
JAN | 9784488478032 |
- 書籍
- 文庫
仲のいい死体
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仲のいい死体
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商品レビュー
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「そうだろう。きみの考えそうなことだ。しかし,きみはその2人がほんとうに心中したと思っているのか」 「ちがうんですか」 「死体を見たのはきみだ。わたしは見ていない。だからきみにたずねている」 「おかしいですね」 「何がおかしいんだ。きみはうらやましいくらい気楽な男だぜ。警察官にな...
「そうだろう。きみの考えそうなことだ。しかし,きみはその2人がほんとうに心中したと思っているのか」 「ちがうんですか」 「死体を見たのはきみだ。わたしは見ていない。だからきみにたずねている」 「おかしいですね」 「何がおかしいんだ。きみはうらやましいくらい気楽な男だぜ。警察官になって何年になるか知らないが,そんなことで刑事の飯が食えると思っているのかね。死んだ女は持田加代,町でも評判の美人だ。しかもブドウ畑から温泉が噴きだして,明日にも大金持ちになろうという未亡人だ。世の中が楽しくてしようがなかったにちがいない。一方,心中の相手は駐在にくすぶっている草場巡査,五十二という年よりも老けてみえる。見栄えのしないじいさんだ。事件がないから勤まっていたが,事件があればまったく役にたたぬ巡査だった。そのかわり品行は方正,妻があり三人の子供がある。健康で病気ひとつしたことがない。仕事の余暇をみては畑の手入れをしている男だった。その草場巡査と持田加代が,月夜に恋を語らったあげく,世をはかなんで心中したというのか。こんなことは刑事じゃなくても,ひげの生える男ならだれだって考えつく」 「……なるほど」 長山刑事の返事は遅かったが,頷く首は大きく振った。 (本文p.63-64)
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