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豊乳肥臀(上)
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豊乳肥臀(上)

莫言(著者), 吉田富夫(著者)

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豊乳肥臀(上)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 平凡社
発売年月日 1999/09/24
JAN 9784582829389

豊乳肥臀(上)

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商品レビュー

4.3

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2025/10/14

一ページ二段構成にレンガの様な厚みからなる莫言『豊乳肥臀』は、スティーブンキングやトマスピンチョンを彷彿とさせるような大ボリュームの長編小説だ。想像される読破までの長く途方もない道のりに一時は辟易したが、読み始めてしまえばなんのその、最初に感じた懸念は嘘のようにどこかに消えてしま...

一ページ二段構成にレンガの様な厚みからなる莫言『豊乳肥臀』は、スティーブンキングやトマスピンチョンを彷彿とさせるような大ボリュームの長編小説だ。想像される読破までの長く途方もない道のりに一時は辟易したが、読み始めてしまえばなんのその、最初に感じた懸念は嘘のようにどこかに消えてしまった。 本書は間違いなく名作である。名作とは、一言で言い表せない深みと濃密さを持ち合わせた作品であると私は考えている。よって、複数の観点から作品を評価していきたいと思う。 まず歴史的な視点から本書を見ていきたい。莫言作品ではお馴染みの高密県東北郷を舞台にした本作は、その始まりを日中戦争初期に設定している。まさに盧溝橋事件が起きた直後だ。主人公である上官金童は、日本軍による血と暴力にまみれた侵攻の最中、彼の親類縁者が惨殺される中で生まれてくる。中国人作家が中国を舞台にして日中戦争の混乱を背景として小説を書いたとしたら、ある程度その作品は日本への憎しみを含むものになるであろう。しかし『豊乳肥臀』においてはそうはいかない。なんと主人公はその因縁の相手といっていい日本軍の医師の手によって生を受けるのである。この金童はスウェーデン人の宣教師と母親である上官魯氏の不義の関係の末に生まれてきた子供であり、その出生の秘密と誕生の瞬間もあってかなりアンバランスな存在として物語に登場してくるのだ。更に彼が生を受けた土地は日本軍の統治によって混乱していくのではなく、むしろ中国側の各派閥による主導権争いによって不安定な状況に陥っていく。日本軍から人民を守ることを口実に甘い汁を吸い、我がもの顔で闊歩する黒ロバ隊、そして時代は移り共産党軍による統治に変わり、戦争が終わると国民党軍がこの地を支配下に収める。そして国共内戦に至り今度は共産党軍が仕返しにやってきて、共産党軍と地主層との内戦へと突入していく。日本側による問題だけでなく、中国国内の混乱を主人公の出生の不安定さを暗喩としながら描き出しているところが本作の特徴で、自国の過ちに関しての反省が為されているのである。まずここに文学的価値の高さがある。 次に表現について取り上げていきたい。これに関しては莫言文学全てに共通していることだが、絶妙に土臭い。原始的な香りのする文体には本質的な力強さがあり、読者を根源的な領域へと誘う。残酷な描写から官能的表現まで、全ての場面で使われるこの生臭く艶かしい匂いの漂う文章はいつ目にしても魅力的だ。その筆致はまさに莫言にしか到達し得ない境地に至っている。 多くの点で本作品は優れているが、特にテーマが素晴らしい。『豊乳肥臀』というタイトルが示している通り、本書には、過酷な環境における女性の豊かさと力強さが一貫して示されている。日本軍が攻めてくるその瞬間まで夫と息子を叱咤してロバと娘婿の出産に立ち会い、気が触れて野人と化しても強く生き続けた上官呂氏、九児の母として、娘たちの子供も育てながら激動の時代を逞しく生きていく上官魯氏、そして時代に混乱を齎した多くの荒くれ者達の妻となり支えた彼女の娘たち...。魯氏以下全ての女性達は豊かな乳房で主人公を含めた男達を助け、時に男よりも逞しく時代に挑みかかっていくのだ。男性優位とされる中国社会においてこのような「母の強さ」を描いた作品がどれほどあるだろうか。それぞれが西王母のような暖かさと逞しさを兼ね備えている。 江藤淳『成熟と喪失』で言及されているような父系社会を生きてきた宣教師、その息子である主人公が、母親のミルクがないと生きていけないという設定も興味深い。所詮男は女がいないと生まれてくること、成長することもできないのだ。このプロットに人間の本質を鋭く抉る作者のメッセージが込められているように思えてならない。 本書はここまでで怖いほどに完成されているのだが、更に恐ろしいことに上下巻構成なのだ。これ以上の文学的奇跡がこの先待ち受けていると思うと胸が高鳴る。早く下巻を読み始めなければ、と思う次第である。

Posted by ブクログ

2020/01/30

一介の農民の視線から見た後日大、共産党時代(大躍進時代)市場経済時代を描いた作品。高密県東北号という地方の一代記であるがマルケスやフォークナー的な要素も持っている。上官魯氏などの母親の強さは、 100年の孤独のウルスラや千年の愉楽のオリュウノオバも、思い起こさせ、主人公はむしろし...

一介の農民の視線から見た後日大、共産党時代(大躍進時代)市場経済時代を描いた作品。高密県東北号という地方の一代記であるがマルケスやフォークナー的な要素も持っている。上官魯氏などの母親の強さは、 100年の孤独のウルスラや千年の愉楽のオリュウノオバも、思い起こさせ、主人公はむしろしたたかな母性なのではないかとも思わせる。

Posted by ブクログ

2013/04/17

中国のノーベル賞作家はどのような小説を書くのだろうかと思い、読んでみることに。内容理解できないかなあ?第一章「 日本鬼子がやってきた」までを何とか読んでみました。わずか数時間の時間経過を50頁を割いて描写されている。一つ一つの描写がとても長いのと普段目にしない漢字や言い回しが随所...

中国のノーベル賞作家はどのような小説を書くのだろうかと思い、読んでみることに。内容理解できないかなあ?第一章「 日本鬼子がやってきた」までを何とか読んでみました。わずか数時間の時間経過を50頁を割いて描写されている。一つ一つの描写がとても長いのと普段目にしない漢字や言い回しが随所に登場するため、一章を読み終えるとだけでもはやくも相当の疲労感に襲われる!何か受験の長文を延々読んでいるような、そんな疲労感。単に国語力がないだけなのでしょう(笑)

Posted by ブクログ