商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 1986/10/01 |
JAN | 9784004203537 |
- 書籍
- 新書
美の近代
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美の近代
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美における「近代性」の特質とそれが孕んでいる矛盾を、詩人や画家、音楽家の精神のうちにさぐる試みがなされています。 第一章では、ともに1840年生まれの画家である、クロード・モネとオディロン・ルドンの二人がとりあげられています。執拗に外光の効果を追求しつづけたモネに対して、ルドン...
美における「近代性」の特質とそれが孕んでいる矛盾を、詩人や画家、音楽家の精神のうちにさぐる試みがなされています。 第一章では、ともに1840年生まれの画家である、クロード・モネとオディロン・ルドンの二人がとりあげられています。執拗に外光の効果を追求しつづけたモネに対して、ルドンはひたすら内部の闇をのぞき込むことに情熱を傾けました。著者は両者を対比させることで、かつては均衡を保っていた内的なものと外的なものとのあいだに成立する秩序がゆらぎ、解体する危機の時代としての「近代」の姿を浮き彫りにしています。 優れた芸術家や詩人は、この危機に身を引き裂かれながらもそれを乗り越えようとする試みをおこなっており、第二章以下ではそうした芸術家として、ゴーギャンとゴッホ、マラルメとランボー、クレーとピカソがとりあげられます。 さらに第五章では、「近代」の危機を極限まで突き詰めた精神としてワグナーがとりあげられています。ボードレールが指摘したように、ワグナーの作品には詩人の精神と批評家の精神が同居しており、あらゆる細部を全体に奉仕させる絶対的で専制的な性格が、彼の作品への陶酔といらだちを引き起こすのだと考えられます。著者は、こうしたワグナーの音楽に惹かれながらもそこから詩的精神をみずからのもとへとりもどそうとした、ボードレール、マラルメなどの詩人たちについての考察をおこないます。さらに、ワグナーの音楽にアポロン的なものとディオニュソス的なものとの調和を見いだし熱狂的な敬愛を向けながらも、その後デカダンスという「近代の病」を嗅ぎつけたニーチェの批評を読み解くことで、「近代」の美的精神が孕む問題を展望する試みがなされています。
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