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首都デリー
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クシュワントシン【著】, 結城雅秀【訳】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 勉誠出版
発売年月日 2008/05/20
JAN 9784585053989

首都デリー

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2012/02/01

本書は21章で構成されている長編小説である。 そのうちの半分の章題は、「バーグマティ」。 「バーグマティ」とは、主人公の愛人の名前なのだ。 バーグマティは、ヒジュラ(両性具有者)で、顔に痘痕がある貧しく、礼儀などは何も知らない娼婦で、ひょんなことからバーグマティと知り合った主人...

本書は21章で構成されている長編小説である。 そのうちの半分の章題は、「バーグマティ」。 「バーグマティ」とは、主人公の愛人の名前なのだ。 バーグマティは、ヒジュラ(両性具有者)で、顔に痘痕がある貧しく、礼儀などは何も知らない娼婦で、ひょんなことからバーグマティと知り合った主人公は、彼女と長い関係を続けている。 外国によく行く主人公は、デリーという街とバーグマティに多くの共通点を見出す。 この小説は、長いが、第1章1ページの文章は秀逸だ。 デリーはまるで壊疽に罹った塵芥のようで、喧騒や、不衛生や、貧困や、さまざまな不便がある。 アフロディーテのような美しさや優美さとは無縁で、ハイソな雰囲気も一切ないその街を娼婦のバーグマティを愛するように主人公は愛している。 主人公はバーグマティと共に月日を重ねる。 関係が濃厚になるというわけではなく、彼はバーグマティ以外の女性とも平気でベッドを共にするが、バーグマティとデリーはやはりイコールで関係は続くのだ。 バーグマティと主人公のことと、デリーの歴史が実際の人物の語りで交互に行われる。 デリーが年を重ねるように、主人公とバーグマティも月日を重ね、物語もいつのまにか成熟し厚みを増していく。 著者のクシュワント・シンは、1915年現在はパキスタン領になっている小さな村で生まれ、ケンブリッジ大学を卒業後、弁護士、外交官を経て新聞社の編集長、インド議会の議員を勤めた人物だという。 25年の歳月を費やしたこの長い小説は、著者が、綿密且つ精密に計算されつくした感のある風格のある書物であり、結城雅秀さんの訳もそれに十分に応えるものであった。 世界を何カ国か旅をした国のなかに、インドが含まれている人は、必ず、インドにもう一度行きたいという。 それらの人に、理由を尋ねても明確な答えは返ってこない。なぜか、もう一度インドを訪れたいの一点張りで、どうも無意識の領野における恋慕らしい。 ヨーロッパに惹かれる私には、それらの感情は理解できず、とてもデリーは遠い街である。 『首都デリー』は、見事にデリーの歴史を詳細に描きつつ、その深い精神性をバーグマティを媒体にして表現している書物だ。 前書きにも記されている著者のデリーを知り、愛して貰いたいという意図を私も汲みつつあるような気がする。

Posted by ブクログ

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