商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2008/04/22 |
JAN | 9784004311317 |
- 書籍
- 新書
疑似科学入門
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疑似科学入門
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商品レビュー
3.4
57件のお客様レビュー
2008年4月に発行された本です。私が手にしたのは2018年に印刷された第17刷でした。 筆者は疑似科学を3つに分類しています。 第一種疑似科学は、人の欲望や悩みにつけ込み、科学的根拠のない言説によって人に暗示を与えるもの。 第二種疑似科学は、科学を援用・乱用・誤用・悪用したも...
2008年4月に発行された本です。私が手にしたのは2018年に印刷された第17刷でした。 筆者は疑似科学を3つに分類しています。 第一種疑似科学は、人の欲望や悩みにつけ込み、科学的根拠のない言説によって人に暗示を与えるもの。 第二種疑似科学は、科学を援用・乱用・誤用・悪用したもので、科学的装いをしていながらその実体がないもの。 第三種疑似科学は、「複雑系」であるがゆえに科学的に証明しづらい問題について、真の原因の所在を曖昧にする言説で、疑似科学と真正科学のグレーゾーンに属するもの。 何事も自分でしっかりと考えて、人の話を鵜呑みにしないことが大切だと思いました。 カール・ポパーは、科学が有するべき要件として「反証可能である」ことが第一、「こうやれば仮説や法則が成立していないと証明できる」方法の提案が必要だ、と主張しているそうです。 まさしく、このことがとても大切だと思いました。
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792 今なお存在しているのが「相対性理論は間違っている」とする人 たちである。研究会を組織し(会誌まで発行されている)、アインシュ タインの特殊相対性理論を否定し続ける人たちの集団だ。おそらく 世界中で1000人はいると思われるが、自分たち自身が問違って いる(論理の誤解、計...
792 今なお存在しているのが「相対性理論は間違っている」とする人 たちである。研究会を組織し(会誌まで発行されている)、アインシュ タインの特殊相対性理論を否定し続ける人たちの集団だ。おそらく 世界中で1000人はいると思われるが、自分たち自身が問違って いる(論理の誤解、計算間違い、思い違いなど)にもかかわらず、飽きず に主張し続けている。 実際には、各社ともマイナスイ オン効果を厳密に実証しておらず、根拠は至って薄弱であった。 イナスイオンという言葉が客の気を惹きつけられることに目を付け て、こぞって売り出したのが真相だろう。事実、マイナスイオン効 果はあっても微々たるものでしかなく、本質的に意味がないことが 判明している"。そのことが科学者によって明らかにされるにつれ マイナスイオンを謳った商品は減少してきたようだ。 例えば、最近宝くじの一億円以上の当選者が五〇〇〇人を突破し たという宣伝があった。ちょっと聞くと、実に多くの人が幸運に恵 まれたと錯覚するから、自分も宝くじを買おうという気になってし まう。しかし、これは戦後六〇年の間の全ての宝くじの当選者数を 足したもので、数だけ聞かされると大きいが、長い期間の積分なの である。その間に恐らく何十億という人が宝くじを買ったであろう ことは省かれている。あるいはまた、人生を一〇〇年と言うか、 万六五〇〇日と言うか、三一億五〇〇〇万秒と言うか、さてどれが 一番短く感じられるだろうか。 実数を比較するだけでは間違うことになる。同じような例で、子ど もを虐待する母親の実数の三分の二は実母で、継母は三分の一しか いなかったというデータを発表し、「実母の方が危険」と書いた新 聞記者がいた。児童相談所に届けのあった数の比がそうであったた めだ。しかし、虐待をしていない母親の数を比べると圧倒的に実母 の方が多い。すると、割合から言えば継母の方が虐待確率は高いの である。実数と割合を区別せず、事実を逆様に報道したのだ。 日本の一年間の自殺者が三万人を越えていて、実に深刻な事態に なっている。しかし、せっぱ詰まった感じを与えないのはなぜなの だろうか。これを、小さな都市の全人口が消えてしまうとか、東大 の全学生がいなくなるとか、東京ドームの観客がすべて死んだとい うふうに表現すれば、その深刻さが少しは実感できるかもしれな い 情報を得るにしても「お任せ」の態度ではないだろうか。テレビや新聞、そして今や インターネットから情報を得ることが多くなっている。しかし、果たしてその情報が正 しいと言えるのだろうか。むろん、私たちは独力ですべての情報を収集して真偽を確か めることができないから、それらのメディアに頼らざるを得ない。であるからこそ、 いっそうメディアの言うことは眉に唾をつけて受け取らねばならないのだ。複数のメ ディアを比較したり、メディアでは報じられない事実を探ったりする努力が必要なので ある。 最近、親の小中学校への見方も変わりつつあると言われる。家庭ですべき躾や日常 生活で獲得すべき知恵も、全て学校で教えることを要求する親が増えているようなの だ。教育の「お任せ」化である。果ては、親の勝手な都合を先生に押し付けて平然とし ているらしい。それでは先生の身体がいくつあっても足りないだろう。事実、家庭から の無理難題に耐えられず心身のバランスを崩す先生が続出している。普通、学校と地域 と家庭が力を合わせて子どもを見守らないと教育効果が上がらないと言われる。しか し、地域は都会化の進行で分断されて機能しなくなり、今や家庭も学校に「お任せ」し てしまう体質になって、学校だけが教育の場になってしまった。それでは学校も悲鳴を あげるしかない。 科学の修練には積み上げが必要であり、それには長い訓練の時間を要する。基礎的な 学習から自立まで、数年間の訓練を経なければならないからだ。ところが、インター ネットによって「瞬間」で世界とつながることに馴れると、時間を使う営みが時代遅れ に見えてしまう。疑いを持ち、考え得るすべての可能性を検討する時間を無駄とみな し、直ちにシロ・クロの決着を明確につける方を高く評価する。そうでなければチャッ トができないこともある。それは疑似科学との相性が良いことを意味している。インタ ーネットが現代科学の粋でありながら、科学の否定ともつながっているのは皮肉なこと である。
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近代の科学は今ここの現実にしか興味を持たない。科学の誕生前には現実には変えることが有ると信じられていた仮想がいつの間にか変わって、現実が変わると信じていた世界全てが否定されている。科学が進歩し続ける以上、昔のように待っている時間を仮想には使わず現実化していってしまうのだろう。
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