破滅 梅川昭美の三十年 幻冬舎アウトロー文庫

毎日新聞社会部(編者)

• 販売会社／発売会社: 幻冬舎
• 発売年月日: 1997/06/25
• JAN: 9784877284848

商品レビュー

2022/11/04

挟まっているレシートを見ると2000年に購入して読んだから、約20年ぶりの再読。
この事件の起きた昭和54年といえばネットもなく、新聞社が元気な頃で、さすがによく取材されている。
そして、犯人に撃たれ籠城中の銀行で放置されている被害者（実は即死している）家族にドア越しにコメントを取るとか、「報道の自由」を盾にした「記者」の特権意識も相変わらず。読むとわかるが、このくだりは無くても全体に支障は来さないんだから、「コメントとってきた俺、優秀」的な
とはいえ、この事件はたしかにそれまでの「銀行強盗」とは異なっていることがわかり、犯人が何をしたかったのか理解に苦しむ。この「理解に苦しむ」凶悪犯罪が今や中心になっているところが怖い。

そして４人も殺して籠城している犯人に48時間の説得を試みる、という日本の警察の「優しさ」はやはり異様に映る。
日本の死刑制度を非難している国は、こうした凶悪犯人は逮捕するよりすぐ射殺する。そうした国が日本を避難されるのは筋違いと思うが、凶悪犯罪に対する対処は見習うべきだろう。すぐに射殺していれば人質の心的外傷もまだ浅くてすんだろうし、警察も１億8000万円もの経費（税金）を負担しなくてすんだのに。

で、何かと「話し合いで解決を」という人たちは特に本書を読むべきだろう。「話し合い」が通じない相手がいる、ということの好例がこの事件でもあるからだ。

2020/08/23

1979年、大阪の三菱銀行北畠支店に猟銃を持って強盗に入り、銀行員や駆けつけた警官を射殺し、店内に閉じこもった梅川昭美。日本中を震撼させた大事件の一部始終を描くドキュメント。

誰に薦められたのか忘れてしまったがすごく面白かった。

梅川は15歳の時に、白昼人妻を金のため殺害し、広島家庭裁判所は、「病質的性格は容易に矯正し得ない段階に来ている」と決定し、広島少年鑑別所は「社会に放任することは極めて危険(中略)矯正教育を施すことが必要である、と家裁に通知した。

その決定の是非について正しくなかったと後から言うのは簡単なのだが、事件を起こす以前に、猟銃を所持する免許を取れたというのが不可解である。住吉警察署は厳しいのだそうだ。

未成年の時に犯した犯罪はその後の人生ではチャラになるので真っ当に生きていれば猟銃所持免許は取れるのかも知れない。それは正しいのかも知れないし正しくないのかも知れない。

少年院(もしくは刑務所で)で何が矯正され治療されるのか実体験がないので他人から聞いた事しか分からないが、犯罪を起こす「病気」を治しているのではないらしい。となると刑務所は一体何のために存在してるのかという話になるが、午前2時酔っ払いつつ眠いのでこの辺で失礼。

2019/10/29

昭和54年1月に発生した大阪の三菱銀行北畠支店人質籠城事件。当時私は小学校四年生でしたが、事件の模様をテレビ中継で見ていたと記憶しています。

小学校四年生だったので事件の詳細はよく分かりませんでしたが、犯人が担架で運ばれて現場を出て行く映像が頭の片隅に残っています。

事件から40年経ったいま、大人になって事件の詳細をこの本で知り、当時の凄まじい様子を感じることができた気がします。

読みながら、小4冬に見た中継映像がボンヤリですが、よみがえってきました。