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円陣を組む女たち 中公文庫
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円陣を組む女たち 中公文庫

古井由吉(著者)

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円陣を組む女たち 中公文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 1974/03/10
JAN 9784122000834

円陣を組む女たち

¥416

商品レビュー

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2011/12/12

 本書におさめられた「木曜日に」、「先導獣の話」、「円陣を組む女たち」、「不眠の祭り」、「菫色の空に」の五つの短篇は、通勤客の群れ、不眠の悩み、一枚のシャツの紛失といった日常のいくつかの光景を取り上げつつ、自意識の瓦解という主題を通奏低音として、微妙に重なりあっていく。それぞれの...

 本書におさめられた「木曜日に」、「先導獣の話」、「円陣を組む女たち」、「不眠の祭り」、「菫色の空に」の五つの短篇は、通勤客の群れ、不眠の悩み、一枚のシャツの紛失といった日常のいくつかの光景を取り上げつつ、自意識の瓦解という主題を通奏低音として、微妙に重なりあっていく。それぞれの主人公ないし語り手は、ふと、自らを取り囲むすべてが一緒に融けて判然としなくなる、そんな世界をぼんやりと揺れ動くことになる。  とはいえ語り手の自我はうっすらと拡散しつつも、完全に消失するわけではない。それはまるで、「音もなく眠りから這い出す一頭の獣」(「木曜日に」)のように、あるいは「大きな深い眠りの中の一点の目覚め」(「不眠の祭り」)のように、深い眠りに陥りそうなその間際で、しかしまだ目覚めている。本書の、さらには著者の魅力は、そうしたギリギリの浮遊を「うっとり」とした陶酔感として掬い出す、語りのなめらかさだと思う。  ところで個人的に気になったのは、文中でときたま出会う「獣」という一文字。『水』など著者の他の小説でも出てくるこの語が用いられるとき、そこでは何かしら、言葉の彼方でひっそりと、だが確かな熱をもってうごめくむき出しの生命感のようなものが、象徴的に暗示されているのではないかと推測するのだが、どうだろうか。  清水徹の解説がとても参考になった。絶版にしておくには惜しい小説。

Posted by ブクログ

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