商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2007/12/12 |
JAN | 9784480424037 |
- 書籍
- 文庫
文章読本さん江
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文章読本さん江
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3.9
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谷崎潤一郎をはじめとして錚々たる著者たちがこれまで刊行してきた「文章読本」とは、いったいなんだったのかということを検討している本です。 著者の文学批評の本領は、『妊娠小説』(ちくま文庫)などのフェミニズムの観点に立ってなされたものといえるように思います。それらの仕事は、文学とい...
谷崎潤一郎をはじめとして錚々たる著者たちがこれまで刊行してきた「文章読本」とは、いったいなんだったのかということを検討している本です。 著者の文学批評の本領は、『妊娠小説』(ちくま文庫)などのフェミニズムの観点に立ってなされたものといえるように思います。それらの仕事は、文学という「制度」に批判のメスを入れるというしかたでなされていましたが、本書でも同様の方法にもとづいて、「文章読本」が文学という「制度」に依存するとともにそれを再生産する役割を果たしてきたことが暴かれます。さらに著者は、明治以来の作文教育の歴史をたどり、谷崎の文章読本が登場する背景を明らかにしています。 巻末には、高橋源一郎、山崎浩一、石原千秋、中条省平の四人による、本書に対する書評が収録されています。この四人はいずれも「文章読本」に類する内容の本を書いているのですが、なかでも石原は受験現代文という「制度」の内実を明らかにする仕事をおこなってきたという点で、著者に近いスタンスに立っているように思います。さらに高橋も、文学という「制度」とその外部の境界に身を置きながら文学をたのしむというスタンスを示しています。こうして見ると、谷崎以来の文章読本と、著者の文章読本批判とのあいだに断絶は存在せず、連続的なスペクトルをかたちづくっていることが見えてくるように思われます。 「制度」批判は、まさしくそれが「制度」に対する批判であるというしかたで「制度」に依拠していることは、むろん著者自身もよくわかっているはずで、そうした構図のなかに入ることで優れた批評的実践が可能になることをみごとに示しているのが本書だといってよいでしょう。
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良書とは、自分がうっすら疑問に感じていたことを明快に解説してくれる本。 やはりそうですよね斎藤先生、と言いたくなるような解釈と論拠、さすがである。 谷崎、三島の文章読本をはじめ、気持ちいいくらい名著と言われてきた本たちを一刀両断にしていく。 いつか読もうかと本棚に置いてあった...
良書とは、自分がうっすら疑問に感じていたことを明快に解説してくれる本。 やはりそうですよね斎藤先生、と言いたくなるような解釈と論拠、さすがである。 谷崎、三島の文章読本をはじめ、気持ちいいくらい名著と言われてきた本たちを一刀両断にしていく。 いつか読もうかと本棚に置いてあった谷崎、三島の文章読本も、ようやくもういいかなと吹っ切らせてくれた本。
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巷間に溢れる「文章読本」の類を、その広範な資料の精査から歴史的に吟味し、その意図するところが奈辺にあるのかを暴き出している。快著である。
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