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気違い部落周游紀行 冨山房百科文庫31
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 冨山房 |
| 発売年月日 | 1993/07/08 |
| JAN | 9784572001313 |
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気違い部落周游紀行
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気違い部落周游紀行
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商品レビュー
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14件のお客様レビュー
八王子郊外の集落で戦中から戦後にかけて参与観察を試みた一冊。 「気違い部落」というのは当該集落を具体的に説明した語句ではなく、日本の集落の一般的な姿であることを示す意図による「仮名」みたいなものらしい(商業的な効果は狙っていたのだろう)。 最終章は戦後初めての村会議員選挙におけ...
八王子郊外の集落で戦中から戦後にかけて参与観察を試みた一冊。 「気違い部落」というのは当該集落を具体的に説明した語句ではなく、日本の集落の一般的な姿であることを示す意図による「仮名」みたいなものらしい(商業的な効果は狙っていたのだろう)。 最終章は戦後初めての村会議員選挙における人々の投票行動を述べたもので実に面白い。 建前と地縁血縁の兼ね合いがあり、露骨な買収は違法だと認識しながらも、非金銭的な貸し借りがある。候補者に求められるものが、若い女性たち嫁ぎ先を見つけることだったりする(若い男性の人口が少なくなっていた時期だから)。 民主主義に希望をもった若者たちが立会演説会の開催を求めるが候補者たちは乗り気じゃない。そんなもので投票行動が変化する浮動票はわずかだし、演説などできない候補者に対して他の候補者が「気の毒」だと言ったりする。結局、演説会は実現しない。 そして選挙が終わり26人の候補者のうち2人の落選が明らかになると、当選した24人が2人のための慰問金を集める。 そういった「村社会」の有り様がさまざまな角度から描かれる。 面白いのは確か。ただ、参与観察としては不徹底な印象を受ける。「面白いノンフィクション」という感じ。 インテリの自意識が邪魔しているような気もする。 著者のきだみのるは、本名:山田吉彦。ファーブル『昆虫記』の翻訳者であり、デュルケムの著作の翻訳もしている。 ソルボンヌ大学でマルセル・モースに師事しており、翻訳家というよりは社会学者というのが自己認識なのかもしれない。だけど「きだみのる」名義で書いているものは文化人類学、参与観察というよりはルポライター仕事に感じられてしまう。 そのつもりで読めばよいのだけど、本人が学術的であると言いたいみたいなのでミスマッチを感じてしまう。 なお、きだみのるがモースに師事した時期は岡本太郎とは5年ぐらいずれているのかな。 なんか、きだと岡本は似ている気がする。
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おすすめ。 #興味深い #日本人論 #考えるヒント 書評 https://naniwoyomu.com/27724/
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マルセル・モースのもとで人類学を学んだ著者が、戦中から戦後にかけて暮らすことになった山村での人間関係を、エスプリの利いた筆致でえがいた本です。 近代的な社会に生きているつもりの日本人にとって、本書で明かされている閉鎖的な集落の掟が、遠い世界のことであるように思える一方、現在のわ...
マルセル・モースのもとで人類学を学んだ著者が、戦中から戦後にかけて暮らすことになった山村での人間関係を、エスプリの利いた筆致でえがいた本です。 近代的な社会に生きているつもりの日本人にとって、本書で明かされている閉鎖的な集落の掟が、遠い世界のことであるように思える一方、現在のわれわれの行動もこれに類する暗黙の了解に束縛されていることに気づくことになるのではないかと思います。人類学を学んだ著者は、そうした前近代的な社会のしくみをただ批判しているのではなく、現代社会の深層を掘り起こして、普段は忘れ去られているものの今なお根強く存在している構造を明らかにしています。 吉本隆明は、柳田國男などの民俗学に学びつつ、「大衆の原像」という拠点に立って丸山眞男に代表される戦後の啓蒙主義的な社会像に対する批判をおこないましたが、著者は閉鎖的な集落の境界に位置をとることで、吉本が見ようとしていた大衆のとらえがたい性格にせまろうと試みたということができるのではないかと考えます。
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