商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社/中央公論新社 |
発売年月日 | 1966/09/26 |
JAN | 9784121001139 |
- 書籍
- 新書
日本の外交
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日本の外交
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商品レビュー
4.3
18件のお客様レビュー
最近、封建主義社会についての別の本を読んだばかりという所為もあることを認めつつも、この本によく言われる「日本にはイデオロギーがない」という問題、まさに封建主義から脱出できていないのが原因なのではないかと思ってしまった。封建社会は階層が決まっていて、上は自分の立場や地位を守るために...
最近、封建主義社会についての別の本を読んだばかりという所為もあることを認めつつも、この本によく言われる「日本にはイデオロギーがない」という問題、まさに封建主義から脱出できていないのが原因なのではないかと思ってしまった。封建社会は階層が決まっていて、上は自分の立場や地位を守るために頭を働かせることはしても、それ以外のことに積極的に動くことはしない。つまり、思想がない。明治の西洋化で封建社会は確かに解体されたが、しかし人間の思考や習慣はそう簡単に改まるものではなく、それがとどのつまり国際社会という舞台にあがってみて、思想がないから何でもその場凌ぎで、後手に回り、広く物事考えられないからしまいには「多分こうだろ!」と投げやりに動いて自滅する。大東亜共栄圏というイデオロギーまがいのものも結局は追い詰められて危険な道を渡らざるを得なくなった自分達の立場を正当化するためのものでしかなかった。 伊藤整の日本人の思想パターンについての本には、日本人ふくむ東洋人は余計なことに首突っ込まないということを主義としているのに対し、西洋人は積極的に突っ込んでいく、と書いてあったが、それが外交などにも現れている、というか、尾を曳いているというか、そんな気がした。 つまり東洋人はどこまで行ってもやっぱり東洋人なんだなと。 多元的なれ、というのも本書の終わり部分にちょくちょくでてくる警句だが、これについてはプーチンが「二島かえしてやるからそれで手を引け」というのを思い出した。「日本人としては元々四島全部うちのもんなんやから、二島で手を引けとは盗人猛々しい!」と怒りたくなるところだが、プーチンがそれに対して「日本人ってほんまにアホやな」と言った(とか言わないとかいう)のも何となく理解ができる。まさに自分の国の利益しか考えていないというのはこういうことをいうのだなと。勿論、ロシアの真意まではわからないし、ロシアのいうことやることが正しいとは思わないが、いつでも百あったら百とらないと気が済まないということを外交上でやっていては確かに何も得られず終わってしまいかねない。それに振り回されているうちはイデオロギーも思想も糸瓜もクソもない。 気づきが多かった。
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2012.12記。 1960年代に執筆され、今や基本書となっている本。 「不平等条約の改正」という国家目標を達成した19世紀末から太平洋戦争前後までの日本外交を、「基軸となる思想・目標」はなんだったのか、というアングルから振り返る内容。 これを読むと、いかに日本が欧米との摩擦...
2012.12記。 1960年代に執筆され、今や基本書となっている本。 「不平等条約の改正」という国家目標を達成した19世紀末から太平洋戦争前後までの日本外交を、「基軸となる思想・目標」はなんだったのか、というアングルから振り返る内容。 これを読むと、いかに日本が欧米との摩擦回避に腐心してきたか、そしていかに中国が我が国の経済にとって不可欠の存在であり続けたかが改めて実感される。たえずこの二つを意識して現実的な(言い換えれば打算的で確固たる思想のないとも言いうる)外交を進める当局に対し、確固とした外交哲学を持つという理想を追求したのは当初はむしろ民間の有識者であったという。だがそれも「西洋に対する東洋」といった対立関係を軸にしたものに止まっていた、と著者は主張する。 事実の分析もさることながらその背景にある思潮に紐づけて歴史を論じる、という整理の仕方は非常に興味深かった。
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ハーヴァード大学で外交史ないし国際関係論を教える著者が、明治から太平洋戦争後までの日本の外交史を概観した本です。 日本が国際社会の舞台に踊り出た19世紀は、西洋諸国が帝国主義的な覇権を競い合っていた時代でした。そのような状況の中に置かれた日本は、国土の安全と貿易の進展をめざし、...
ハーヴァード大学で外交史ないし国際関係論を教える著者が、明治から太平洋戦争後までの日本の外交史を概観した本です。 日本が国際社会の舞台に踊り出た19世紀は、西洋諸国が帝国主義的な覇権を競い合っていた時代でした。そのような状況の中に置かれた日本は、国土の安全と貿易の進展をめざし、軍事・経済両面での国益を追究することになります。著者は、日本の外交の基本的な枠組みはこうした現実的、実際的なものであり続けてきたと言い、西洋諸国のように宗教的、人道主義的、理想主義的な外交理念が存在しなかったと指摘します。日露戦争以後は、西洋と東洋の調和という思想が、ある程度外交の中に入ってきますが、著者によれば、その場合でも世界における日本の位置づけについての不安に基づいていたにすぎず、日本には独自の外交理念が欠けていたと論じています。
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