商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店/岩波書店 |
発売年月日 | 1947/02/01 |
JAN | 9784003103715 |
- 書籍
- 文庫
寺田寅彦随筆集(1)
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寺田寅彦随筆集(1)
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商品レビュー
4.2
25件のお客様レビュー
彼の視野の広大さと奔…
彼の視野の広大さと奔放さには驚かされる。物理学者というカテゴリーにとどまらず、様々なものを緻密に観察する彼の目は、またある種の才能と見受けられると思う。
文庫OFF
「どんぐり」はこれまで何度も読みました。読むたびに「ああいいなあ」と思ってしまいます。結婚した頃の奥さんは、とても若かったそうですが、子供っぽさもあり大人っぽさもあり。そんなことも知って読むと、また味わい深いものがあり、ますます好きな随筆になりました。
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『寺田寅彦随筆集 第一巻』(小宮豊隆編,岩波文庫 1947年2月第1刷,1963年10月第28刷改版,2016年2月第104刷)を読んだ感想。 寺田寅彦がどのような人かよく知らずに読み始めた。我ながらよくまあいきなり5冊セットで買ったものだと思わなくもない。切っ掛けとなったのは『...
『寺田寅彦随筆集 第一巻』(小宮豊隆編,岩波文庫 1947年2月第1刷,1963年10月第28刷改版,2016年2月第104刷)を読んだ感想。 寺田寅彦がどのような人かよく知らずに読み始めた。我ながらよくまあいきなり5冊セットで買ったものだと思わなくもない。切っ掛けとなったのは『日本近代随筆選』(岩波文庫)で寺田寅彦の『子猫』を読んだことだった。その本には猫随筆が並んでいる部立てがあるが、寺田のものが最も強く私を打った(『子猫』は寺田寅彦随筆集では第二巻に収録されているのでいづれ再読したい)。寺田の随筆全般について言えると思うが、冷静な観察に基づき、この人ならではと思わせる独特の視点で現実に当たり秩序を築いていく認識の行き方が面白く、抑制された詩情、時にあまり見え過ぎる者の悲哀なども感じられ、読んでいて興味が尽きない。 第一巻で最も印象に残ったのは『春寒』だった。床の中でスカンジナヴィアの物語"Heimskringla"の英訳版を読んでいたとき、長女のピアノの練習が聞こえていた、ということが書かれてある。英訳版について「いろいろな対話が簡潔な含蓄ある筆で写されていたり」と寺田は書いているが、寺田が日本語で再話する部分がまさに簡潔な・含蓄ある文で、この様な翻訳があったら読んでみたいと思うたりした。 以下に一部引用する。 [ オラーフ・トリーグヴェスソンが武運つたなく最後を遂げる船戦の条は、なんとなく屋島や壇の浦の戦に似通っていた。王の御座船「長蛇《ちょうだ》」のまわりには敵の小船が蝗のごとく群がって、投げ槍や矢が飛びちがい、青い刃がひらめいた。盾に鳴る鋼の音は叫喊の声に和して、傷ついた人は底知れぬ海に落ちて行った。……王の射手エーナール・タンバルスケルヴェはエリック伯をねらって矢を送ると、伯の頭上をかすめて舵柄にぐざと立つ。伯はかたわらのフィンを呼んで「あの帆柱のそばの背の高いやつを射よ」と命ずる。フィンの射た矢は、まさに放たんとするエーナールの弓のただ中にあたって弓は両断する。オラーフが「すさまじい音をして折れ落ちたのは何か」と聞くと、エーナールが「王様、あなたの手からノルウェーが」と答えた。王が代わりに自分の弓を与えたのを引き絞ってみて「弱い弱い、大王の弓にはあまり弱い」と言って弓を投げ捨て、剣と盾とを取って勇ましく戦った。――私は那須与一や義経の弓の話を思い出したりした。 ] その他で好ましかったものを思いつくままに挙げる。 『旅日記から』と『先生への通信』は海外旅行記であるが、個人的な記録であると同時に時代の記録でもあり面白い。旅行にしても目の付け所は寺田らしいところがあり飽きない。 『丸善と三越』の中のエスカレーターからの連想の部分で「~一度入学さえすればとにかく無事にせり上がって行くのが通例である」と、(エスカレーター式)という言葉こそ出てこないものの殆ど同じ意味の事が述べられているのが興味深い。 しまいまで読んでから巻頭の『どんぐり』を再読した。年譜を見てから読むと実に分かりやすく、良くも悪くも日本的情緒の風土とおそろしく相性が好いと感じられる。解説に「寅彦の書くものの中の、峻厳な批評的精神が、科学的精神がとかく見落とされ勝ち」「寅彦の書くものは、いわば筋金の通った柔らかな手といった感じを持っている」が「寅彦の真骨頂はむしろその筋金にある」と強調されている理由も解る気がする。 言い忘れましたが、寺田寅彦(1878-1935)の作品はパブリックドメインになっているのでWebで見つければ読めますよ。興味を持った方は是非実際に読んでみて下さい。
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