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造物主の掟
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造物主の掟
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商品レビュー
4.2
20件のお客様レビュー
訳者あとがきにあった 本編で作者がいちばん書きたかったのはプロローグの部分ではなかったのではないか? に大きくうなずいた 魅力的な舞台設定の物語でした
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大昔の異星人が残した開拓用建設マシンが自律性を得て、タイタンに文明を築いていたという異色のファーストコンタクトもの。 ホーガン作品の主人公はほとんど科学者だが、本作はなんと心霊術師。しかし悪者に見えた彼が、機械人との邂逅により変質して意外なラストに繋がっていくのはさすが。
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土星の衛星タイタンを舞台にしたホーガン節の傑作。独自に進化した機械人たちの文明は中世西欧風の世界だった――。 冒頭の、ロボットたちが独自の文明世界を構築していく過程が、これぞSFという感じで面白い。その後は、ホーガンおなじみの、組織と人間関係の軋轢の中で真実への探究心を燃やす主...
土星の衛星タイタンを舞台にしたホーガン節の傑作。独自に進化した機械人たちの文明は中世西欧風の世界だった――。 冒頭の、ロボットたちが独自の文明世界を構築していく過程が、これぞSFという感じで面白い。その後は、ホーガンおなじみの、組織と人間関係の軋轢の中で真実への探究心を燃やす主人公たちが登場する。本作ではザンベンドルフとマッシーが対立しつつもやがて信頼関係を築いていく姿が、『星を継ぐもの』のハントとダンチェッカーを思い出させて、やはりこのあたりのキャラの書き方はうまい。ただし、人名が多すぎて読みにくくなっているのもお約束。 ハードSFとしての本質的な部分はプロローグで語り切ってしまっているようで、接触した機械人文明が中世ヨーロッパ風なのもあり、本編は実は人間世界についてのアナロジーな気がする。SFは突き詰めると宗教的な論議になってしまうのか、機械人たちの形而上学的な会話が興味深い。ここから宗教と人間性に関する論点にスライドし、中世文明VS現代文明のような形でドラマが展開する。物語の展開そのものはとても面白く、後半はさすがホーガン、と何度もうならせてくれた。しかし同時に、本書からは「精神的に進歩しようとしない一般大衆」への強い憂慮と批判が強く感じられる。根本にある作者の思いを特に汲み取れる作品だったかと思う。「愚かな大衆はどこまでいっても馬鹿なままだ」――作者の強い悲しみを感じるラストの一シーンに、現代の日本の大衆の姿が重なって見えた。1983年刊、すでに40年前の小説だが、まるで今の時代を見てきたかのような書き方が何箇所もあるのでひとつ引用してみる。 P347 「よかろう、きみが今日の大衆に対して抱いている気持はわかっている」マッシーは両腕を宙にふり上げ、「彼らが二十一世紀に育ち、史上いかなる時代の人々よりも完備した学習と教育の機会に取り巻かれながら、その特権を利用しないほど愚かなら、それはきみの知ったことじゃない。彼ら自身の選んだ道だ」 とはいえ、主人公たちと機械人との交流は希望が持てるものだったし、小気味良いユーモアで後半は何度も笑わせてもらった。なるほどそういう意味だったのか!と舌を巻く、絶妙な「タイトル回収」の巧手も健在。続編は絶対面白いでしょうコレ!
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