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ブラウン神父の知恵 創元推理文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 東京創元社/東京創元社 |
発売年月日 | 1982/05/12 |
JAN | 9784488110024 |
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ブラウン神父の知恵
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ブラウン神父の知恵
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商品レビュー
4.1
12件のお客様レビュー
傑作短編集『ブラウン…
傑作短編集『ブラウン神父の童心』に負けず劣らずの作品があつまった第2短編集。一気に読んでしまうのがもったいないような良品ぞろいです。
文庫OFF
星新一のショートショートを彷彿させるスタイルの推理短編集。風采のあがらない短躯の神父が常人離れした着眼点により論理を組み立て謎を解いていく。短編ならではのスピード感がある反面、謎の深みが得られない部分に物足りなさが残る。
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さて第1短編集の余勢を買って、私は次の日には5冊のシリーズ全てを本屋で買ってしまった。ずらりと並んだ5冊のブラウン神父シリーズに満悦の笑みをこぼしたものだった。 が、しかし本作は総合してみると『~童心』よりは落ちるという評価になる。というよりも『~童心』が凄すぎたということでもあ...
さて第1短編集の余勢を買って、私は次の日には5冊のシリーズ全てを本屋で買ってしまった。ずらりと並んだ5冊のブラウン神父シリーズに満悦の笑みをこぼしたものだった。 が、しかし本作は総合してみると『~童心』よりは落ちるという評価になる。というよりも『~童心』が凄すぎたということでもあるが。 しかしそれでもなお、本作には後のミステリ・シーンに多大なる影響を与えた作品が収録されている。 収録作12作中、白眉なのは「ペンドラゴン一族の滅亡」と「銅鑼の神」と「ブラウン神父の御伽噺」。 「ペンドラゴン~」は祖先が船乗りで海賊でもあったペンドラゴン家に伝わる因縁をバックグラウンドにしており、ブラウン神父らが同家の屋敷を訪れたところ、ちょうど若き当主が航海から帰ってくるところだった。しかしその夜、同家にある塔が火事になる。ジプシーの協力で危うく消し止めたブラウン神父が語った真相に驚嘆した。 「銅鑼の神」は冒頭からなにやらおどろおどろしい印象が強く、特にブラウン神父らがひょんなことから台座の下に隠された死体を発見し、街中の人間に追い掛け回されるというシチュエーションが怖かった。そして明かされる真相もオカルティックで寒気がした。 そして短編集最後を飾る「~御伽噺」は公民の報復を恐れて城から一歩も出ない独裁者がなぜ城の外で射殺されたのかという謎を扱っており、これが見事に裏返って不可解な状況が納得のいく論理、しかも想像を超えた内容であったのが実に印象に残った。 最後の「~御伽噺」のチェスタトン的逆説とも呼べる論理はこれ以降も様々なヴァリエーションで繰り広げられる。そしてこの3編に共通する、一種狂人の論理とも云うべき内容は日本の作家、特に泡坂妻夫氏の作品に多々見られる。 その他については寸評を。 女性が話していたグラス氏という男性。しかし部屋を覗いてみるといつもそこには女性しか折らず、彼は忽然と姿を消していた。そしてある日グラス氏は女性の婚約者を紐で縛り、そのまま逃走してしまう。果たしてグラス氏とは何者なのかという謎は魅力的な「グラス氏の失踪」だが、真相はかなり腰砕けでジョークとしか思えない。でも今でも記憶に残っているのはやはりインパクトがあったのか。 「泥棒天国」は山越え途中で起きた馬車強盗事件に隠された裏のストーリーが実にチェスタトンらしい。 無音火薬の発明家とそれを中傷する愛国者の決闘という、実にチェスタトンらしいシチュエーションの「ヒルシュ博士の決闘」もミステリ初心者だった当事の私にはあっと驚く結末だった。 殺人犯の目撃者の証言が全て食い違っているという「通路の人影」も蓋を開けてみればほとんど子供騙しなトリックでビックリするが、こういう誰もが思いつくけれど敢えてそれを推理小説のネタにしないような物まで作品に投影するチェスタトンの貪欲さにかえって感心してしまう。 「器械のあやまち」は嘘発見器が犯した過ちを扱ったもので、これにインスパイアされて乱歩は「心理試験」を創作したのか、などと勘ぐったりしてみる。 「シーザーの頭」は遺産相続された3人兄妹に起きる恐喝事件の意外な真相を、「紫の鬘」は同様に紫の鬘を被った男の意外な正体を、独特のロジックで解き明かす。 そして自分の作ったサラダで危うく毒殺されそうになる「クレイ大佐のサラダ」もそこに至るまでのシチュエーションが特異だし、「ジョン・ブルノワの珍犯罪」も殺された卿が死に際に残したメッセージから犯人が最初から解ってはいるものの、そこに隠された意外な論理はチェスタトンが得意とする逆説だ。 単なるワンアイデア物なのに退屈しないのは全編これペダントリーに満ちていて、愉悦の読書を提供してくれるからだ。正直云って、トリックは推理クイズの域を脱しない物も多いが、それを包む物語のガジェットが実にヴァリエーション豊かであることがその陳腐さを上手く覆い隠している。これはやはりチェスタトンという博学者ならではの芸当だ。そして読みにくい訳も相まって、読み終わった後になんだか読む前よりもえらくなった気がするのもこのシリーズを読む理由になったのかもしれない。 そんな興奮を持ちながら私はこのあともシリーズを読み続けるのである。
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