商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社/中央公論新社 |
発売年月日 | 2007/07/10 |
JAN | 9784124035124 |
- 書籍
- 新書
ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック
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ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック
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商品レビュー
3.5
13件のお客様レビュー
「リッチ・ボーイ(金持の青年)」だけで☆5。 今、主人公と同じくらいの年になって読むと、うわあああああやめてくれえええええってなる。とても心を抉られる素晴らしい作品です。
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リッチ・ボーイ、とても良かった… 終わりに向かうにつれて増幅していく喪失感がなんとも言えない。 切なさの上を行く、大人になることで感じるノスタルジーよ…
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大変素晴らしい本には変わらないのですが、若い頃の筆なので、村上春樹の若干の女性嫌悪が透けて見える箇所があって、それは結構私にとっては悲しみだった。まず、フィッツジェラルドの晩年の愛人であり、その死を看取ったシーラ・グレアムに対して。どうしてもスコットと同一化している部分があるので...
大変素晴らしい本には変わらないのですが、若い頃の筆なので、村上春樹の若干の女性嫌悪が透けて見える箇所があって、それは結構私にとっては悲しみだった。まず、フィッツジェラルドの晩年の愛人であり、その死を看取ったシーラ・グレアムに対して。どうしてもスコットと同一化している部分があるので、ゼルダのことはかなり神格化されているため、(人間扱いはされていないのだけれど)一定の尊重はされている一方、シーラに対しての記述はかなりひどい。正直なところ、貶めが抑制の効いた筆致にべったりと張り付いていて(「グレアム嬢」といった言い回しがまさに)、スコットが真にこの女を愛していたのか、また後年この人がスコットを利用して大金を稼いだかは知らないけれども、こういう記述は少々アンフェアだし、男性が見せる理想の女性(女神=ゼルダ)に対する、娼婦への視線のようでこれはかなりいただけなくおもった。 また、ゼルダ・フィッツジェラルドの短い伝記は大変素晴らしくまとまっているものだけれど、これは正直涙なしには読めないですね。「2人の同一の体験を小説に先に描く権利はあるのか」これは夫婦なれど大変な問題だと思った。しかし、スコットはゼルダという生にインスパイアされ、それを消費しながら文学を高めていったのに対し、それに耐えられなくなり次第に精神が崩壊していくゼルダという生き方をこちらはかなり見事にまとめているのではないか。ゼルダの伝記を読んで、そもそも女は10代後半〜20代前半に過剰に価値がインフレ状態になることに問題があると感じた。このしっかり人生の基礎を作らなければならない時期に、「なんかこのまま一生いけそうな気がする」ような過剰な何かが起こっていること。そして仕込みをおろそかにし、若さと美しさの絶頂が去った20代後半に愕然とする…。まあでも実際じゃあどうしたらいいのか分からないんですが。 あとは、フィッツジェラルドとヘミングウェイについて描く思い出兼評論文のようなものの翻訳で、「風と共に去りぬ」が酷評されていて私は泣いた。しかし、もうすぐ発表から90年くらいだとおもうが、どうだろう?100年の洗礼は耐えそうではないか?マーガレットミッチェルはいくつこういう言い回しに当たってきたのだろうと考えた。 そして「自立する娘」大変素晴らしいと思った。村上春樹はこの短編を30前後あるフィッツジェラルドのマスターピースより幾分か決定的に落ちると書いていたが、私は意外とそうは思わない。フィッツジェラルドの描く女主人公が大好きということもあるが、男主人公のものと比べてまず全然違う次元の切実さを感じるし、私はこれを非ハッピーエンドだと捉えたけれど。(もし原文がかなり安直なハッピーエンドならばそれは翻訳の問題だと思うが。)この男を愛しているか分からないが、父の死から発される孤独感が猛烈に怖くて、とにかく目の前の腕の中に飛び込んでしまう。この女の混乱ぶりたるや素晴らしい書きぶりだし、このすぐ後にあるのはとんでもない不幸だという予感もきちんとある。背が冷え、切々と哀しくなるような素晴らしい短編小説だった。 とにかくフィッツジェラルドの女主人公短編集が読みたいのだけれど…どこかにそんな編集はないものか。
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