- 新品
- 書籍
- 文庫
- 1224-14-00
希望格差社会 「負け組」の絶望感が日本を引き裂く ちくま文庫
792円
獲得ポイント7P
在庫なし
発送時期 1~5日以内に発送
商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 筑摩書房/筑摩書房 |
| 発売年月日 | 2007/03/10 |
| JAN | 9784480423085 |
- 書籍
- 文庫
希望格差社会
商品が入荷した店舗:店
店頭で購入可能な商品の入荷情報となります
ご来店の際には売り切れの場合もございます
オンラインストア上の価格と店頭価格は異なります
お電話やお問い合わせフォームでの在庫確認、お客様宅への発送やお取り置き・お取り寄せは行っておりません
希望格差社会
¥792
在庫なし
商品レビュー
3.9
50件のお客様レビュー
『希望格差社会』は、単なる経済格差論ではなく、「希望を持てるかどうか」そのものが社会的に分配されなくなった日本の構造を描いた点で、いまなお射程の長い一冊である。著者の**山田昌弘**は、グローバリゼーションと産業構造の転換によって、戦後日本を支えてきた「安心社会」が解体し、若者が...
『希望格差社会』は、単なる経済格差論ではなく、「希望を持てるかどうか」そのものが社会的に分配されなくなった日本の構造を描いた点で、いまなお射程の長い一冊である。著者の**山田昌弘**は、グローバリゼーションと産業構造の転換によって、戦後日本を支えてきた「安心社会」が解体し、若者が将来像を描けなくなった過程を丁寧に追っている。 本書で繰り返し強調されるのは、「五年後の生活も見えない人に五十年後の年金を語っても響かない」という現実だ。かつては努力の先に、安定した職業と家族生活が“だいたいの人”に約束されていた。しかし現在は、成功体験は能力を持つ一部の事例として提示されるだけで、多くの人は不安定な雇用、家族の不確実性、教育のパイプラインからの漏れにさらされ、「負け組」というラベルを内面化していく。結果として生まれるのが、量的・質的・心理的格差、とりわけ**「希望格差」**である。 ここで本書を現代的に読み直すと、著者の言う「社会の変化に制度が追いつかない」という問題の背景には、政治思想の歪みがあるのではないか、という点が浮かび上がる。すなわち、リベラルが本来担うべき再分配や雇用・生活の安定設計から後退し、人種差別やLGBTといった象徴的・文化的課題に軸足を移す一方で、経済面では「自己責任」を前提とするネオリベラルな制度運営を黙認・補完してきたことが、希望の基盤を掘り崩したのではないか、という問題意識である。 多様性や人権の重視それ自体は否定されるべきものではない。しかし、それが**「生活の再安定化」や「リスクの社会的分担」と切り離された瞬間、リベラルは結果的にネオリベラルを下支えする存在**になってしまう。雇用は不安定なまま、家族も教育も個人責任に還元され、「努力が報われない」という感覚だけが広がる。山田が描いた希望喪失の構造は、まさにこの思想的ねじれの帰結だと読める。 本書の結論は悲観では終わらない。公共的支援や職業カウンセリングを「小出しにしない」こと、若年期からの現実的な進路支援など、希望を再構築するための具体策も示されている。『希望格差社会』は、単なる若者論ではなく、経済的安全網を欠いたまま価値の言葉だけが先行する社会が、いかに人のやる気と未来像を奪うかを告発する書であり、今こそ再読されるべき一冊だと感じた。
Posted by 
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
以前読んだ本に登場した本で、気になっていたので読了。 20年前に書かれた本なので、トレンドとして真新しい物ではないけれど、根本的な考え方、過去を整理するためにはとても良い本だった。 本の中では格差を単純な収入や身分で表すのでは無くて、将来に対する希望感、自己効力感の大小で論じようとしていくのが面白い。 昭和期は、経済が発展する一方で、雇用の喪失とか、不景気のリスクも低く、年功序列で収入が安定して、結婚によって生活は豊かになる物だった。将来が安定して見通せたから、心理的な格差は少なかった。 一方で平成半ばには、就職も教育も結婚も自由選択になって、誰にでも保証されなくなったから、それ自体が不安定で、リスクそのものとなっている。だからこそ頑張っても無駄、というような開き直りに近い希望の喪失、心理的な格差ができる。 そして格差の上にいる人=勝ち組はリスクへの対応も進められるので、格差は広がって二極化していくものの、これを安易に平等にすることは、勝ち組の人から希望を奪うことになるという難しさもあり。 その反面、負け組にとっては理想論のような夢を持つことだけが心の拠り所となっていて、妥協することはこれまでの無駄を認めることだから、フリーターやパラサイトシングルはこそから抜け出せない。このまま何年も経った時に格差が広がる一方だという危険。。 これを20年前に言語化しているのがすごいなという印象。 人は格差に対する「納得」があれば不満を感じない、というフレーズはまさに個人的な小さな世界でも実感していたことで、それが社会問題化として捉えられているのがなるほど、という感じ。 ロバート・ライシュは2000年に、今後企業に求められる能力は、変人=専門的知識と、精神分析家としての資質=マーケティング力だと記したらしく、今の時代まさにそれが正解だと思った。 結婚はかつて、社会の仕組みとして存在していた家族関係の安定性と労働や収入の安定を、絆の充足と快適で守られた生活に置き換える「装置」だった、としているのも面白い。 今となっては、親に頼ったり自分の収入を自分だけが享受できる楽な生活を、結婚は奪うものであり、いつでも無くなり得る不安定なもの、更には家族のリストラや子供の問題に巻き込まれる可能性まであるリスクと捉えられている、というのは表現の程度はあれ理解できるし、 未婚率の増加は、女性の社会進出だ、とか言い切ることはとてもできないことに納得した。 最後の、どうしていくべきか、については資本主義国である限り解決するのは難しいのだろうなと思う。 最後に出てきた案としての、コミュニケーション能力の醸成を政策として進めることは無理だと思うし、(誰が教える?どうやって?何を、正解のコミュニケーションとするのか?) 金銭的な支援(貸し出し)をしたとして、希望のない人が将来返さなくてはならないお金をわざわざ借りない、もしくは将来のために使うことはできないだろうと思ってしまう。 格差がなくなることを考えると、外国との関係が悪化して、景気が停滞して、資本主義国家が維持できなくなる(一部の勝ち組でい続ける人たちは海外に移住する)というのが想像できてしまった。
Posted by 
データに基づいた分析は的確で、20年ほど前のものだが、正に予言のごとく、格差の増大、未婚・離婚の増大・少子化…などその通りの社会になっている。 ただ、基本的に高度経済成長期の日本社会-サラリーマン専業主婦家庭、1億総中流社会-を安定した「良い」時代のように記載し、その前提が崩れた...
データに基づいた分析は的確で、20年ほど前のものだが、正に予言のごとく、格差の増大、未婚・離婚の増大・少子化…などその通りの社会になっている。 ただ、基本的に高度経済成長期の日本社会-サラリーマン専業主婦家庭、1億総中流社会-を安定した「良い」時代のように記載し、その前提が崩れた現代社会をリスクのある不安定な危険な社会という論調には違和感を覚えた。 能力、やる気、努力の有無など人によって千差万別だし、企業は営利団体なのだから能力の有無によって地位や報酬に差異を設けるのは合理的。 寧ろ高度経済成長期に能力に関わらず全員を正社員として採用して保護して仕事の出来に関わらず年功序列で給与を上げたから成長しない貧しい国になったのでは? 格差と騒いでいる人たちはマクロで物事を見過ぎ気がする。個々人の能力や努力(ミクロ)で見ると、やっぱり格差の下に属する人は結局は自己責任なのではないかと思ってしまう。 あと、宗教が心の拠り所(防波堤)になっていたとの分析はその通りだと思う。自分は無神論者だが、海外の人はほぼ何らかの宗教を信じている。昔、海外旅していた時、あなたは何を信じているか?との質問に無神論者と回答したら「では、何を指針に生きているのか?」と言われたことを思い出した。過激派などに焦点が当たりがちだが、本来的には重要な役割を担っているのかも。
Posted by 
