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植物と帝国
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植物と帝国
¥4,180
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商品レビュー
4.5
2件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
サブタイトルが中核であった。つまり、西インド諸島で現地の人々及びアフリカから捕まえられて連れてこられた奴隷の女性が中絶のために用いられていた植物が、ヨーロッパに持ち込まれたもののほとんど利用されなかったということである。それはキリスト教の影響での中絶の問題もあると記載されている。最初の部分で新大陸での植物採集は香辛料や金と同じようにお金目当てであるということで、リンネの分類もそのひとつであることは他書にはない特徴である。日本の朝ドラでは植物の分類ことでこの本の後の方での帝国主義の新発見の部類に入るが、金になる植物ということは日本ではもう取り尽くされていたのかもしれない。 学生がこの本を参考にして、台湾や満州における植物採集の歴史としての論文、あるいはジェンダーの観点からの堕胎のための日本の植物としての論文を書くことも可能であろう。活字が細く薄いので老眼向きではないが、文庫本になれば学生が購入するのは無理ではない。
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プランテーションシステムが新世界を支配し始めた1670年代から様々な植物がヨーロッパの植物学者らによってカリブ(本書ではヴァージニア州ジェームズタウンからブラジルまでの沿岸地域と島々を包括)・インド・アフリカからヨーロッパ諸国に持ち込まれ、薬として用いられてきたが、カリブの女性た...
プランテーションシステムが新世界を支配し始めた1670年代から様々な植物がヨーロッパの植物学者らによってカリブ(本書ではヴァージニア州ジェームズタウンからブラジルまでの沿岸地域と島々を包括)・インド・アフリカからヨーロッパ諸国に持ち込まれ、薬として用いられてきたが、カリブの女性たちが中絶薬として使っていたオウコチョウ(ポインキアーナ・プルケリッマ)は、ヨーロッパに移送されたもののその用途は伝えられなかった。19世紀の人種主義が隆盛するまで多くのヨーロッパ人は新世界の人々の知識を評価していたにもかかわらず、なぜオウコチョウの用途は伝えられなかったのか。伝えられることなく終わった知識(アグノトロジー)として、その背景などを詳しく調査している。●新世界との遭遇が古代の文献の土台を揺るがしそのためヨーロッパ人は新たに経験知を重視するようになった面もある。●オウコチョウは、18世紀を通じて女奴隷が、出産を奨励する植民者への抵抗としての意味もあった。●19世紀にはヨーロッパ諸国が中絶を犯罪とする成分法を定め、中絶への抑圧は実を結んだ。「個々人の命が国家にとって重要になると国民の命を守ることが国家の最も重要な義務となった」フランツ・グュトナー●リンネの植物の命名法は植物を原産地の文化的拠点から引き離し、まず第一にヨーロッパ人が理解できる枠組みの中に位置づける帝国の装置としてはたらいた。リンネは‘宗教的な義務として’‘植物に男たちの名前を刻み込んで不滅の名声を確保’しようとした。●分かる範囲内で、被植民地出身者で植物の名に冠せられたのは、植民者への協力者だった人一人だけ。
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