商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社/新潮社 |
発売年月日 | 2006/07/28 |
JAN | 9784101182322 |
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- 文庫
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商品レビュー
4.1
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極限状況下における人間への信頼と絶望。戦争下という極限状況だからこそ描かれる、人間の業と哀しさが印象的な作品です。 昭和20年4月の沖縄。アメリカ軍が上陸し、徐々に追い込まれていく日本兵たちと沖縄の市井の人々。11才の少年、安次嶺弥一(あしみねやいち)はある日、大けがを負った二...
極限状況下における人間への信頼と絶望。戦争下という極限状況だからこそ描かれる、人間の業と哀しさが印象的な作品です。 昭和20年4月の沖縄。アメリカ軍が上陸し、徐々に追い込まれていく日本兵たちと沖縄の市井の人々。11才の少年、安次嶺弥一(あしみねやいち)はある日、大けがを負った二人の日本兵と出会う。 追い込まれたときに出てくる人間の一面は、その人の本質を現わすものだと思います。大きなミスをしたとき、正直に言うか。誤魔化そうとするか。誰かに相談するか、一人で何とかしようとするか。 どれが正解かは、よりけりですが、その時の選択というものは普段の上っ面では測れない、人間の真の部分が出ると思います。 戦場で戦う日本兵達に尊敬の念を持ち、怪我をした二人の兵にも好意的に接する弥一。一方で、壕に身を潜める村人達は、二人が日本兵に分したスパイである可能性を考え、彼らと距離を取り、弥一と村をまとめる区長の距離は深くなる。 そして戦況が悪化していく中で、日本兵の中には、村人の食料や安全な隠れ家である壕を奪おうとするものも現れ始め…… 『頼もしい神兵は真面目に死ぬ。 残るのは利己的な兵隊ばかり。』 『口が立派なものほど行動がともなわない。おぼろに理解していたことである』 『特攻隊を送り出す人は特攻しない。アメリカ人を殺せとの記事を書いた人は自分では殺さない』 『行動の苦痛を味わう必要がないからいくらでも大口をたたける』 沖縄を、自分の故郷を守ってくれると信頼していた兵士たち。しかし、戦況が悪化し彼らのメッキが剥がれ、人間の汚い部分が顔を覗かせ始めた時、兵士達は、村人たちにスパイの疑いをかけ、責任逃れをし、そして食料も住処も奪っていく。 少年は絶望しながらも、それでも信じたいという思いの板挟みに。そして少年が最後に取った行動は…… 戦争の悲惨さというものは、単に無残な死だけではないかもしれない、ということを古処さんの戦争小説を読んでいると感じます。 自分だけを優先し、奪い、欺し、あざむく人たち。極限状況だからこそ浮かび上がる人の浅ましさを、戦争を通し冷徹に描く。それが古処さんの文学のカタチのように思います。 そうした浅ましさの一方で、それでも人間的な面を捨てない人もいる。しかし、戦争はその人間的な面を究極的に揺さぶる場面もあります。この『接近』のラストも、情を捨てられない人間の哀しさが凝縮された、なんとも言葉の見つけようのない、複雑な感情が心に残るラストでした。
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古処氏のルールを読了して、すぐに手に取った作品。 ルールよりさらに薄い文庫本。 軍隊の構成や沖縄の地理など勉強不足で読みづらい部分もあったが、読了してみればルールと同じく重量感のある素晴らしい作品。 弥一少年の純粋さゆえの接近が悲しい。 古処氏のほかの作品もぜひ読みたい!
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【本の内容】 昭和二十年四月、アメリカ軍が沖縄本島に上陸したとき、安次嶺弥一は十一歳だった。 学校教育が示すまま郷土の言葉を封じて生きる彼の前に、同じく郷土の言葉を封じたアメリカ人が突然日本兵の姿で現れる。 本来出会うはずのなかった彼らは、努力をもって体得した日本の標準語で時...
【本の内容】 昭和二十年四月、アメリカ軍が沖縄本島に上陸したとき、安次嶺弥一は十一歳だった。 学校教育が示すまま郷土の言葉を封じて生きる彼の前に、同じく郷土の言葉を封じたアメリカ人が突然日本兵の姿で現れる。 本来出会うはずのなかった彼らは、努力をもって体得した日本の標準語で時間を共有し、意思を伝え、距離を詰めていく。 人の必然にしたがって、相容れない価値観は「接近」した。 [ 目次 ] [ POP ] とても淡々と進行していくような雰囲気だったのですが、読み手を突き放したような視点で描かれたものではなく、むしろ戦争をテーマにした事で静かに迫り来ます。 緊張感やどうしようもないジレンマと思いが満ちていました。 日本兵、米スパイ、沖縄の住民達が抱えるそれぞれの個人的な葛藤や国家や村などの集団になったときの葛藤が、リアルに表現されていて、この作品を単なるミステリではなく、もっと複雑なものをもったものにしています。 個人的に残念だったのは、少年の繊細で純粋な心ににスポットが当たっている分、その他の人物の心描写がやや少なく思えるため、どうしてそのような行動をとってしまったのか等想像や考えだけでは少しだけ納得に至りませんでした。 それはミステリということに主眼を置いているからなのかもしれません。 それでもなお、これだけ心に残っているのは。 この作品の持つ力のような気がします。 [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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