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知ってる古文の知らない魅力 講談社現代新書
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知ってる古文の知らない魅力 講談社現代新書

鈴木健一【著】

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知ってる古文の知らない魅力 講談社現代新書

924

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社/講談社
発売年月日 2006/05/20
JAN 9784061498419

知ってる古文の知らない魅力

¥924

商品レビュー

3.7

17件のお客様レビュー

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2025/12/02

古典を教えてほしいという中学生がいた。そんな子に出会ったこともあって、改めて古文を教えることの意義や価値について考え直そうと思って買った本の一冊。そんなことを考えるのは、思い返してみると、学生のとき以来である。 本の論旨は単純で、教科書に載っている有名な古典作品が、実は、近代的...

古典を教えてほしいという中学生がいた。そんな子に出会ったこともあって、改めて古文を教えることの意義や価値について考え直そうと思って買った本の一冊。そんなことを考えるのは、思い返してみると、学生のとき以来である。 本の論旨は単純で、教科書に載っている有名な古典作品が、実は、近代的な意味でオリジナリティがあるわけではなく、様々な典拠に則りながら、独自性を加えることで成り立っているという話である。そして、新しく生まれた古典作品が、今度は典拠となって、様々な作品を生み出していく、その作品の歴史的なつながり過去と未来の両方に向かって紹介していく。 タイトルに「知らない魅力」とあるが、古典をちょっとかじったことのある人にとっては、割と「知ってた」という話も多いのではないかと思う。個人的に一番へぇと思ったのは、『平家物語』の俊寛の話から生まれた歌舞伎、人形浄瑠璃の「平家女護島」では、俊寛が女の身代わりになって島に残る決意をするという人情譚になっているという話だった。全然違う話になり過ぎていて、面白い。人情味の出し方に、どことなく江戸味も感じる。 現代人からしてみたらパクリだろとなってしまいそうな、こうした古典の「創作」のあり方を、この本では、「共同性」と「個性」という言葉で説明している。オリジナリティというものの捉え方が、近代とは根本的に違うのだ。 けれども、著者は、そうした古典的な感覚こそが、現代にも通じる個性のあり方なのではないかという。 真の個性とは、共同生に寄り添おうとする中でも、どうしても寄り添えずにいるものです。それがわかるのは、長い時間をかけて共同性に寄り添い、それが持つ豊穣な感覚が自己に浸透し、熟成していく過程を経た後だと思います。そういう意味では、共同性の中にこそ個性はありますし、個性の獲得とは、同時に共同性を持ち得たことでもあります。(p186) このように古典を捉えるのであれば、古典から学べるのは、現代にも通じる個性のありようだということになるだろうか。 これを授業に落とし込むとしたら、ということを考えながら、難しさも感じる。『ハイデガー入門』という本の感想でも書いたのだが、作品同士の影響関係は、それこそファンにとっては堪らないものかもしれない一方、読んでない人たちにとってはどうでもいいことの一つでもある。古典の教材研究としての必要性は感じつつも、有名なテクストを前にして、「これの元ネタは、実はこれなんだよ」といったトリビア的な情報提供に終わってしまいそうな感もある。 当たり前のことだが、「古典をたくさん読む」ことで気がついてくる魅力の話と、「古典を点で読んでいく」ことの面白みとは、別問題として考える必要がある。この本の中で展開されるような古典世界の理解とは別に、やっぱり個々の作品を読むことの意義を別立てで考えていく必要があるような気がする。ただ、そうすると、この本の言っている「共同性を染み込ませていく」という話を完全に無視することにもなりそうだが。 まあ、簡単には答えは出ないものの、古典教育の意義を改めて考える端緒には、とてもよい本だった。

Posted by ブクログ

2025/08/20

学習院大学文学部教授である著者が『源氏物語』『平家物語』『枕草子』といった古典作品の有名な冒頭を引用しつつ、秘められた魅力について述べた本です。 本書は主に大学一年生対象の講義が基であるため、専門知識がなくても非常にわかりやすいのが特徴です。また、古典作品に対する批評をさまざま...

学習院大学文学部教授である著者が『源氏物語』『平家物語』『枕草子』といった古典作品の有名な冒頭を引用しつつ、秘められた魅力について述べた本です。 本書は主に大学一年生対象の講義が基であるため、専門知識がなくても非常にわかりやすいのが特徴です。また、古典作品に対する批評をさまざまな文献から引用して紹介している点もため、本書を足がかりとして更なる学びに繋げることも可能です。 本書のテーマは古典文学における「共同性」と「個性」について。「伝統性」と「非伝統性」とも言い換えられるでしょう。 序章では『徒然草』の冒頭「つれづれなるままに日ぐらし、硯にむかひて〜」を引用し、この文が実は和泉式部の歌集を元にした表現であること、また、井原西鶴が『西鶴織留』の序文にて徒然草の序文を元にしたことが示されます。 このように、先行文献の言わばオマージュを行うことで一定の共通理解や共感を促すとともに、個性としての差異をより際立たせることができることが指摘され、このありようを楽しむことが古典文学の醍醐味であると著者は述べています。 これは古典作品に限らず現代でもしばしば見られる手法でしょうが、一つの作品に留まれば点のみの解釈となるでしょうが、こういった時間的あるいは空間的なつながりを見出すことができれば、線的・面的に作品の世界を広げていくことができ、文学世界における体験をより多層的なものにすることができるのだなぁと感じました。

Posted by ブクログ

2024/10/14

日本の古典は、過去の古典をリスペクトするからこそ、引用したり、真似たりしている。そして、そこに自分なりのオリジナリティを加えて、次の世に継いでいる。 当時の知識人は、古典の内容が常識的にであればこそ、自分が生きた当代の新しい書物を読む際の解像度が上がったのであろう。

Posted by ブクログ