商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 河出書房新社/河出書房新社 |
発売年月日 | 2006/04/20 |
JAN | 9784309407937 |
- 書籍
- 文庫
親指Pの修業時代 新装版(下)
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親指Pの修業時代 新装版(下)
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商品レビュー
3.3
17件のお客様レビュー
「主人公は平凡なのに…
「主人公は平凡なのに、彼(彼女)にまつわる出来事、取り巻く環境が異常である」のが旧い時代の小説の在り方である…という趣旨の文学論を読んだことがあります(その後、「昨今の小説はその逆であるからつまらない」、と批判めいた言葉が続くのですが)。その作品はまさにこれです。取り立てて特徴の...
「主人公は平凡なのに、彼(彼女)にまつわる出来事、取り巻く環境が異常である」のが旧い時代の小説の在り方である…という趣旨の文学論を読んだことがあります(その後、「昨今の小説はその逆であるからつまらない」、と批判めいた言葉が続くのですが)。その作品はまさにこれです。取り立てて特徴のない女性の身に起こった不可思議な出来事にそって物語は進みます。徐々に彼女が「顔の見えない女」ではなくなり、一個の独立した人物として鮮やかに躍動していく過程がとても興味深いのです。でも成長小説ではありません。とにかく、すごく、面白い
文庫OFF
1994年女流文学賞受賞作。 タイトルはゲーテ『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』が元ネタか。教養小説の形式で性のステレオタイプを網羅しようとした作品で,最終的には予定調和に落ち着くのも分野としては王道だろう。
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「フラワー・ショー」のメンバーたちと行動をともにすることになった一実は、保と映子の共依存的な関係に巻き込まれてしまいます。そして、無垢であるがゆえに簡単に一実のもとを去っていった春志に代わり、映子の存在が一実の心のなかで大きな位置を占めるようになります。 親指ペニスを中心とする...
「フラワー・ショー」のメンバーたちと行動をともにすることになった一実は、保と映子の共依存的な関係に巻き込まれてしまいます。そして、無垢であるがゆえに簡単に一実のもとを去っていった春志に代わり、映子の存在が一実の心のなかで大きな位置を占めるようになります。 親指ペニスを中心とする展開によって奇妙な性の遍歴をたどることになった一実が、映子との同性愛的なかかわりのなかで非性器的なつながりに気づいていくというストーリーなのですが、そのことが精神的な交流という、従来の性愛表現に回収されてしまうという問題は、著者自身が考えている以上に厄介な問題ではないかという気がします。というのは、こうした問題が生じた理由を、著者の小説家としての技量の未熟さに帰することができないからです。 反性器中心主義的な文学を構築するという振る舞いが、性器中心主義的な文学表現をなぞるようなしかたでしかなしえないということは、一方では脱構築の実践として評価することも可能なのかもしれません。しかし個人的には、けっきょくのところわれわれはクローズド・サーキットのなかで走りまわっているにすぎないのではないかという閉塞感をおぼえてしまいます。
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